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「これより第6回王権付与を行う。第6世王アレス・シヴァ・カーマに全権を指し渡すことをここに誓う。第5世王アトラス・シヴァ・カーマ。」
第5世王から第6世王に王権が渡された。
その瞬間、全ての種族が歓声を上げる。
これでとうとう王になっちまったか。
自由は、もうないな。
でも、何故俺なのだ。
まだ血を吸ったこともないのに。
第6世王アレス・シヴァ・カーマことアレスは、世界が畏怖する王であり、吸血鬼なのである。
だがしかし、血を吸わぬ吸血鬼はただの人間と等しい。
そのことをアトラスは、国民を騙し、アレスが吸血鬼であるようにしたてたのだ。
そのため、王権が移り変わったのだ。
「親父。本当に良いのか?俺、まだ血を吸ってないけど、バレたらヤバくない?」
「何を言っておる。バレないように過ごすか、今すぐ吸うか。答えは二つに一つだ。」
二つに一つ。
今すぐは、無理だ。
だか、いつかは吸うだろう。
でも、まだ心の準備がない。
ということは・・・
「仕方ないな。じゃあ騙すしかないか。」
「それがお前の答えならそれで良い。」
満足そうに頷くアトラス。
だが、急に顔つきが変わった。
「お前に最後の使命を与える。」
「使命?」
はて?
使命とはなんだろう。
今までに何度かあった。
最初は、素手でライオンを倒すとこから始まった。
だからきっと、とても危ないことなんだろう。
「お前にしてもらう使命は・・・」
「使命は?」
「学校に行ってこい。」
「・・・はぁぁぁ?‼︎」
学校?
なんだろう?
実のところ吸血鬼は、勉学に励む人は少ない。
何故なら、どんなに弱い吸血鬼でも人間の倍の100を基準だ。
その上、最強の王者の吸血鬼は、その5倍。
約500年以上生きる。
そのため、勉学する時間はいくらでもあり、生きていくうちに分かってくるものなのだ。
一方、九九ができずに死ぬ吸血鬼もいたりする。
なんで学校なんざに?
「何でだ、親父。学校なんて行かなくても大丈夫だろ。」
「いいやダメだ。行ってこい。そして真の王者になるんだ。」
こうしてアレスは、学校に行くことになった。