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第54話消えた二人

 カグヤと由奈が同時に行方不明。それは俺にとってかなりの非常事態だった。カグヤもそうなのだが、由奈が行方不明となるとただ事ではない。それに昨日のあの声の事だって気になる。王国祭が終わったばかりなのに、次から次へと問題が起きるなんて、頭がおかしくなってしまいそうだ。


「部屋は確認しに行ったのか?」


「朝、ユナちゃんに用事があって部屋を訪ねたのよ。そしたら誰もいなくて」


「それって何時くらいのことだ?」


「三十分くらい前よ」


 現在の時刻は、朝の八時。という事は、ココネ由奈の部屋を訪ねたのは七時半。どこか出かけるにしたってあまりにも早い時間だ。それに由奈は早起きが苦手なタイプだ。今の時間なら平気で寝ている。それなのに、彼女は部屋にいなかった。つまり彼女の身に、何かが起きたとしか考えられない。ていうかこんな朝早くから何の用事があったんだ? ココネは。


「でもそれと、カグヤに何の関係があるんだ?」


「実は由奈ちゃんの部屋にこんな書置きがあって、気になって彼女の部屋を訪ねたら、いなかったのよ」


ココネが一枚の紙を渡してくる。そこにはこう書かれていた。


『さようなら。世界はもうすぐ終わりを迎えます。私達の手によって。だからさようなら カグヤ』


「これって……」


 俺が昨日聞いた言葉とそっくりだ、断片的だったとは言え、途切れ途切れだった箇所がほとんど一緒だ。


(じゃあもしかして、昨晩のは……)


 カグヤ自身が残した言葉なのだろうか?


「この書置き、どこかで聞いたことがあるのよね。気のせいなのかもしれないけど」


 書置きを見ながらココネが呟く。もしかして彼女も昨日、俺と同じようにあれを聞いたのだろうか?


「もしかしてココネ、お前昨日変な声を聞いたか?」


「確かに聞いたけど、何であんたが知っているのよ」


「やっぱりな。俺も同じく聞いたんだよ。そしてその言葉が、この書置きの内容とほとんど合致している」


「あっ! 言われて見れば、そうよね。内容がほぼ一緒じゃない」


「断片的にしか覚えてないけど、恐らく間違いないと思う。つまり昨日の声は、カグヤのものだって事だよ」


「でもそれじゃあちょっと不自然じゃないかしら」


「不自然? 何が?」


「どうして私達に伝えた上で、こんな書置きまでわざわざ残したのかしら」


「うーん、それは多分関連付けさせるためとか?」


「それはどういう意味?」


「その書置きが由奈の部屋にあったんだ。何かしらの理由で俺達が聞いた声と、カグヤと由奈の行方不明を関連させておく必要があったんだろ」


「何かしらって何よ」


「それは俺にも分からない。でも一つハッキリしているのは、カグヤが由奈を連れ去った可能性が高いってことだ」


 なぜ彼女が由奈を連れ去ったのかは分からない。何かしらの理由があるとしたら、一つだけ心当たりがある。それは由奈がこの世界に来る際に聞いたという謎の声だ。その声の主が意図的に彼女をこの世界に誘ったとしたら、今回の事件と何かしらの関わりがあると思われる。果たしてその目的が何なのかは分からないが、俺が知らないところで何かが動き始めているのは違いない。でも今はそんな事を考えるより先に、しなければならない事がある。


(由奈、絶対に助けてやるから待ってろ)


■□■□■□

 王国祭が終わって部屋に戻ってすぐ、私の視界は一瞬で暗闇に閉ざされた。その間に何をされたのか分からない。再び視界が戻った時には、知らない場所に私は閉じ込められていた。


「ここって……牢屋?」


 初めてこの世界に来た時も、同じような場所に閉じ込められたけれど、今いる場所がそこはかとなく似ている気がする。でもどうして、こんな所に?


「どうやらお目覚めのようですね。坂本由奈さん」


 何が起きたのか分からず戸惑っていると、奥から私の名前を呼ぶ誰かがやってきた。私の苗字を知っているのは、この世界で圭一君しかいないのに、なぜその人は私の名前を知っているのだろうか? 疑問に思っていると、ようやくその声の主が姿を現した。


「あなたは確か……」


「こうして会話をするのは初めてですね」


 その正体はずっと寝たきりだった少女カグヤだった。圭一君は一度話したことがあるらしいが、私がこうして彼女が起きているのを見たのは初めてだ。


「どうして私の名前をあなたが?」


「それはとある協力者が教えてくれました。あなたは私達の計画の最重要人物だって」


「私が最重要人物?」


 一体何を言っているのだろうか? 私はそもそもこの世界に来てからそんなに経っていないのに、どうして最重要人物なのだろうか? 全くもって意味がわからない。


「まあその話は後々させてもらいましょう。そんな事より、私はあなたに一つ聞きたいことがあります」


「私に聞きたいこと?」


「はい。これはこの先の運命を変える事にもなりうる質問です」


「運命を変える?」


 そんなに重要な質問をなぜ私にするのだろうか? それともそれは私自身に関わることでもあるのだろうか? とりあえず彼女の話を聞いてみることにする。


「あなたは今でも、彼……高山圭一を好きですか?」


「え?」


 あまりにも突飛した質問に思わず変な声を出してしまう。私が圭一君を好きなのか? そんなの、


(あれ? どうして何にも言葉が浮かんでこないんだろう)


 答えは決まっている。決まっているはずなのに、どうしてその一言が出てこないのか。


(もしかして私……)


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