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第53話ココネの言葉 謎の言葉

 王国祭はまだ終わっていないと言うココネに、ちょっと疑問を抱きながらも俺とリタは彼女についていった。途中で由奈も合流したが、どうやら彼女も何かを知っているらしく、何もココネには尋ねずに普通についてきた。


「なあココネ、閉会式も終わったんだろ? このあと何かあるとは思えないんだけど」


「黙ってついてきなさい」


 かと言ってココネに尋ねても答えは同じで、俺とリタはわけが分からないまま彼女についていくことになった。

 そしてやって来たのが、


「なるほどな。これは王国祭が終わりだなんて思わないな」


「だから言ったじゃない。まだ終わらないって」


 王国祭の打ち上げとして題し屋外に設置された特設会場。そもそもそのイベントがあるとは知らなかった俺は、この会場の存在を知るはずがなかった。会場には多くの人達が食事を共にしており、先日のライドアの食事会で見かけた人達もその中にいた。


「でもこんな会場いつ作ったんだ? 俺は頼んだ覚えなかったんだけど」


「今日よ。あんたがちびっ子のために何かしようとしていたのは分かっていたし、もし仮に失敗してしまった時の保険みたいなもので作るように頼んでおいたの」


「今日ってすげえな。この会場を作った人たちもだけど、お前の行動力には驚かされたよ」


「ふん。私だって変わり始めてるのよ」


「本当に変わり始めてるよお前は」


 最初に出会った頃と見違えるくらいに。


 会場に入ってすぐ、ココネは立ち止まるとリタの方を向いてこう言った。


「とりあえずちびっ子。料理人に頼んでおいたから、あんたも手伝ってきなさい」


「で、でも私」


「したいんでしょ? 料理。だったら自分が思う通りのことをすればいいじゃない。あんたの居場所はそこなんでしょ?」


「う、うん」


「分かっているなら行ってきなさい。どうせ私達もやる事があるんだから」


 どうしようか決めかねているリタの背中を、ココネが優しく押してあげる。何だかんだ一番心配していたのは、俺とかじゃなくココネだったんだな。


そんなココネの言葉に何かに気づいたのか、リタは少しだけ考えた後頷いてココネに向けてこう言った。


「うん。そうだよね。私は天才料理人なんだからやりたいようにやればいいんだよね」


「天才料理人は余計だけど、ちゃんと分かっているじゃない」


「ありがとうココネお姉ちゃん。私手伝ってくる」


「行ってきなさい」


 ココネの言葉を聞くよりも先に、まるではしゃぐ小さな子供のように、走ってそのまま料理を作っている人たちの元へと行ってしまった。


「ふう、本当世話の焼ける天才ね」


「でもリタちゃん、私と話をした時なんかよりも、すごく明るかったよ。多分ココネちゃんの言葉が、すごく嬉しかったんじゃない?」


 そんなリタを見送ったココネの呟きに対して、由奈がそんな事を言う。一体由奈はどんな事を言ったのかは気になるけれど、それ以上にココネの言葉が彼女には響いたのかもしれない。


「べ、別に私はちびっ子がいつまでもあんな状態でいられたら、この先の復興が困るから言っただけよ。あとそのココネちゃんって呼び方やめなさい!」


「よっ! ツンデレ姫」


「あんたもよ!」


■□■□■□

 その後二時間ほど王国祭の打ち上げは続き、夜の従事を回った頃にお開きとなった。その二時間の間、リタはずっと料理の手伝いをしていて、すっかり元気を取り戻したのか率先して料理を作る姿が見て取れた。


(最初は不安だったけど、大成功だよな)


 結局俺は空回りを続けただけで、特に何かをすることはできなかったけど、どうせこれからも長い付き合いになるだろうし、何かあったらその時は俺が助けてあげればいい。今度こそあのような事件を起こさせないためにも、今まで以上に頑張っていく決意を俺はその時に固めたのであった。


 そして無事後片付けも終了し、再び部屋に戻ってきたのは夜中の一時。久々に自分の部屋に戻ってきた俺は、何も考えずそのままベッドにダイブして目を閉じた。


(うわ、睡魔来るの早!)


 余程疲れてしまっているのか、目を閉じてすぐに睡魔に襲われた。どうやら今日はいい眠りにつけそうだ。


(明日も頑張ろう)


 俺はその睡魔に身を委ね、深い深い眠りへとついたのであった。


……

‥‥‥‥‥‥

‥‥‥‥‥‥……


『……さ……なら』


 誰かの声が聞こえる。聞いたことがあるような、ないような優しい声。でも何を言っているかまでは、完全に聞き取れない。


『せか……わる……。わた……からで……。だから……なら』


 断片的にしか聞こえないその声。言葉を組み合わせても何を言っているか理解できな。果たして何を伝えようとしているのだろうか? でもその後その声は聞こえることなく、気がついたら朝を迎えていた。



 翌日、昨晩の声の謎が解けず必死に考えていると、ココネがその答えを持ってきてくれた。


「た、た、大変よケイイチ」


「どうしたんだよ珍しく慌てて。俺はちょっと考え事をしているんだ。邪魔しないでくれ」


「そんな呑気なこと言っている場合じゃないわよ。とにかく大変なことが起きたのよ」


「何だよ大変なことって」


「カグヤがいなくなったのよ! おまけに由奈ちゃんまで」


「は? 今なんて?」


 カグヤがいなくなったのも驚きだが、それ以上に驚くことが聞こえたような……。


「だーかーら、カグヤと由奈ちゃんがいなくなったのよ!」


「なんだって!」


 由奈がいなくなった? 


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