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第49話王国祭前夜

 それから王国祭までの二週間は本当に忙しかった。まず会場などの建設。ライドアの方々に手伝ってもらっているとはいえ、それだけでは足りないので男である俺も力仕事を任された。慣れない作業ばかりだったけど、あちらが丁寧に教えてくれたおかげで、俺も無理なく手伝えることができた。ちなみに会場がようやく完成したのは、二日前。本当にギリギリの作業だったので、後で感謝しなければならない。

もう一つするべきことは、ココネに料理を教えること。これが本当に大変で、機械の使い方をマスターするのに四日、美味しいカレーができるのに更に五日かかって、ようやく皆が食べても美味しいと言えるレベルのものに仕上がった。


「何でこんなに私にカレーを作らせるのよ」


「今回の王国祭の目玉の一つにしたいからな。何せこの世界には存在しない料理だし」


「確かにこんな食べ物私も見たことないわ。けど、食べてくれるかしら」


「食べてくれるだろ。何せ世界初の料理だからな」


「それはそうだけど」


 世界初と聞いて惹かれないわけがない。これはある意味、この国の名物になり得る。俺の思惑はそこにあって、こういったものを他国に発信していくことによって、より多くの人にこのナルカディアを知ってもらい、何度も訪れてもらいたい。それが俺の今の願いだ。


 そして時間はあっという間に過ぎて行き、気がつけば王国祭前夜。明日の準備を完璧に終わらせた俺は、眠りにつく前にある場所へと寄っていった。


「おっす、頑張っているか」


「圭ちゃん、どうしたの? 明日も早いんだしそろそろ寝なきゃ」


「分かっているけど、その前にちょっと話があって」


「話?」


 それは最近一人で頑張っている由奈の部屋。彼女もこの国に住んでいるものとして、明日の王国祭にも参加してもらうけど、その前にちょっと彼女に話があったので、ちょっと立ち寄った。


「なあ由奈、リタはまだ駄目そうなのか?」


「うーん、ちょっとまだ外に出れないかも。この前までのココネちゃんより症状がひどいから」


「そっか。それはそうだよな」


「同じ目にあったら多分私も同じようになると思うの。目の前で魔物の襲撃にあったら」


「俺だってそうだよきっと」


 そんな事想像しただけで嫌になる。


「もしかして話ってそれだけ?何かもっと重大な話をするのかと思ったんだけど」


「いや、じつはもう一つあるんだ。実はな」


■□■□■□

 由奈にある事を頼んだ俺は、そのままココネの部屋へ。何か最近当たり前になってきたけど、それが本来のあるべき姿なのかな。


「ふーん、やっぱりまだダメそうなんだ」


「ああ。相当厄介かもなこれだと」


「じゃあ料亭もやっぱり……」


「しばらくは飾りもんだろ」


 今日は明日に備えて早めに眠りたいのだが、ベッドに入ってからやはり眠れず、俺はリタについてさっき由奈から聞いた話をした。


「本当に勿体無いわよね。折角作ったのに」


「不慮の事故だから仕方ないよ」


「でも何か不自然だと思わない? 例の事件のこと」


「不自然って何が?」


「あんた最近セレスの姿見た?」


「いや、見てないけど」


「やっぱり。いつ頃から見なくなったかしら」


「確か襲撃事件の後だった気がする」


 襲撃された事を教えてくれて以来、彼の姿を全く見ていない気がする。


「ねえあまりにおかしいと思わない? あの後すぐに見当たらなくなるのって」


「まあ確かに不自然だけど、それと事件が何か関係あるか?」


「根拠はもう一つあるわ。あの時セレスに私達にこう言ったわよね『ロリータが魔物の襲撃に合いました』って」


「言ってたな」


「よく考えたらおかしくないかしら。あの事件の場にはリタしかいなかったのよ? それなのに何故彼が魔物に襲撃されたって分かったのかしら?」


「あ! 確かにそれはそうかもしれない」


 仮に現場にいたとしても、なぜ彼はその場で戦おうともせずに俺達に救出を求めたのだろうか? 戦えないとしても、リタを救出することぐらいできるはずだ。


「何か益々雲行きが怪しくなってきたわね」


「でもいいのか? 長年仕えていた執事を疑って」


「別に疑っているわけじゃないのよ。ただ、そうでない事を信じたいのよ」


「まあそうだよな……」


 でも不自然な点は他にもある。死者の扉の件についてだ。あれだって、城の地下にあるのはココネとセレス以外にいないはずだ。ココネ自身がそんな事するはずないとすると、可能性はもはや一つしかない。


 セレスが、一連の事件に関係していること。


 考えたくはないが、今一番ある可能性がそれしか考えられない勿論ココネだってそれは分かっているはずだ。


「でも今は、そんな事考えている場合じゃないわ。明日に備えて寝るわよ」


「ああ、そうだな。おやすみ」


「おやすみ」


 お互いそれ以降は会話をせず、そのまま静かな夜を過ごしていく(寝たいのだが、緊張して全く眠れない)。初めて国王として迎える一大イベントは果たして成功するのだろうか? もしもの事がないように願いながら、俺はようやくやって来た睡魔に身を委ねて眠りにつくのであった。


 そしていよいよ、ナルカディア王国祭の当日の朝を迎える。


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