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第39話天才ロリコック

 食事会から三日が経ち、少しずつではあるけどココネとの距離を縮め始めた頃、ナルカディア城に一人のお客さんが来ていた。


「圭ちゃんもいつの間にこんな小さい子に手を出すように……」


「断じて違うからな! 子供なのは確かかもしれないけど」


「私は子供じゃないってば!」


 コック姿のリタが厨房から顔を出す。現在何をしているのかというと、食事会の時に約束した通りリタにナルカディアに来てもらって、只今その腕を見させてもらおうと料理をしてもらっている。あんなに小さい体だというのに、何故かコックの姿がすごく似合っている。


「でも、あんたから話しかけたんでしょ? 彼女に」


「それはたまたまであって、そういう趣味持ってないからな」


「え? 圭ちゃんってそういう人間でしょ?」


「実の幼馴染にそんな事言われるなんて、俺すごくショックなんだけど」


 料理を待ちながらしょうもないやり取りをする俺達。最近由奈とあまり話しを出来ていなかったから、久しぶりにこうやって他愛のない会話ができて嬉しい。まあ、内容が内容なだけあって、俺が怒ってばかりだけど。


(いつからそんな印象を与えたんだよ)


「そういえば由奈、お前勉強の方は順調なのか?」


「うーん、ココネちゃんから本を沢山貸してもらったんだけど、まだまだ勉強不足かな」


「へえ、ココネがお前に貸したんだ」


「何よ、こ、困ってたから手助けしてあげたよ。こっちの世界にきたばかりだから、何にも分からないと思って」


「ふーん」


 何だかんだココネも受け入れてくれたのか由奈の事。しかも由奈に至ってはちゃん付けで呼んでいるし。俺の知らない所で二人も仲良くなっていたなんて、何とも微笑ましい。


「で、あの小さい子供はさっきから何してるの? そもそも彼女は何者? やっぱり幼女誘拐なんじゃ……」


「一度に何個も聞くな。そして俺はそういう趣味じゃないって、何度も言わせるな」


 反論をしながら事の経緯を由奈に説明する。


「へえ、この子が天才料理人なの?」


「そうらしいんだけど、どうも信じられないから、今日実際に作ってもらうことにした」


「あんたまさか疑っているの? 全世界でも有名なのよ彼女」


「ロリなのにか?」


「圭ちゃん、その言葉すごく犯罪者の匂いがするからやめておいた方がいいよ」


 とりあえずリタの料理が終わるまで待つことにする。ココネ曰く百年に一度の秀才と呼ばれているらしいけど、こんなにも小さい子が料理なんてできるのだろうか? 厨房の高さに届かなくて、料理ができないとかシャレにならないし、色々と不安がある。


(まあ、どうなるかは神のみぞ知るだけどな)


 それがどっちに転ぶのかは俺にはさっぱり分からなかった。


 それから三十分後。


 城のメイド達によってリタが作った料理が運ばれてきた。まずは見た目と香りから見るわけだけど、


「な、なあココネ、これって俺達が採った野菜から作った料理だよな?」


「そうよ。だから言ったじゃない、天才料理人だって」


「す、すごくおいしそう」


 出された料理は、俺の世界で言うあんかけチャーハンなんだけど、これは高級料理店の料理並みの出来栄えなのは間違いない。見た目はとても色鮮やかで、香りは空腹の俺の食欲をそそる匂いだ。


「じゃ、じゃあ早速だけど」


『いただきます』


 三人で声を揃えて、一口食べる。


「う、うめえ」


「噂には聞いていたけど、ここまでなんて……」


「わ、私こんなに美味しい料理食べたことない」


 見た目通り味は近場じゃ絶対に食べられないレベルだ。チャーハンと野菜たっぷりのあんかけのマッチングがすごく良くて、次から次へと口へ運んでしまう。


「えっへん。どう私の料理」


 後片付けでも終えたのか、リタが厨房から俺達の所へ戻ってきて感想を求めてくる。俺は率直な感想を述べた。


「まさか子供が、こんなに素晴らしい料理を作れるなんて……」


「本当にすごい。子供を侮っていた私」


「子供の力ってすごい」


「子供言うなー」


 皆が口々に揃えて子供と言う。本人は二十歳だって何度も言うけど、この腕前なら信じてもいいかもしれない。まあ、からかうのが楽しいから子供って呼ぶけど。


「私は楽しくなーい!」


■□■□■□

「はぁ? わざわざここで料理つくる為に」


「引っ越してきたー?」


 とても美味しかった料理を全員が完食した後、リタが突然この城に住ませてほしいって言ってきたので、何事かと思ったらどうやら元住んでいた家を放置して勝手に引っ越してきてしまったらしい。


「だて三日前に私言ったよ? 『三日後にそっちに引っ越すからその時に話そう』って」


「まじか!」


 あまりにい普通の会話の流れで言っていたので、全く意識していなかったけど、思い出すとそんな事言っていた気がする。まさかどさぐさに紛れてそんな事を言っているなんて、何とも恐ろしい子なんだ。


「まあでも、これからかなりお世話になるしいいんじゃないか? ココネ」


「うーん、それはそうだけど、部屋空いてたっけ」


「圭ちゃん最近自分の部屋で寝てないらしいし、そこ使わせてもらえば?」


「げっ! 何でそれを」


 細心の注意を払っていたのに、まさかバレていたなんて。


「へえ、今冗談で言ったけど、本当なんだ。後でその話詳しく聞かせてもらうから」


「あ、騙したな!」


「この馬鹿圭ちゃん!」


 どうやら今夜は別の意味で怖くて眠れないかもしれない。


「と、とにかく部屋は何とか用意するから、それでいいか?」


「うん!」


 こうして天才ロリコックのリタが新たに入り、国の復興活動はまた新たな一歩を踏み出そうとしていた。


「ありがとうお兄ちゃん!」


『お、お兄ちゃーん?!』


 その前に色々と壁が立ちはばかりそうだけど。


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