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第19話俺と姫と幼馴染

  ココネに話をつけて、由奈を牢屋から釈放してもらい、ようやく落ち着ける場所で話をすることができた。


「って、何でお前までいるんだココネ」


「何でって、ここ私の部屋でしょ」


「あ、そっか」


「そもそもどうして、私の部屋に三人も集まっているのかしら。あんたの部屋を使いなさいよ」


「そう言うならさっさと俺の寝床をあっちに移してくれよ」


 早速由奈を無視して喧嘩を始めるココネ。やば、これじゃあ余計変な疑いをかけられるぞ。


「圭ちゃんって、いつの間にロリコンになってたの?」


 予想の斜め上をいく疑いをかけられました。


「誰がロリコンだよ! こいつのどこを見たらロリなんだ?」


「うーん、背が小さいところとか」


「それはお前が大きいだけだ!」


「誰がチビよ、このデカブツ!」


「そしてその挑発にお前も乗るなよな……」


ああ、人が増えたせいで余計疲労が溜まっていく気がする。しかもどっちも似たような性格だから。第三者の俺にとっては面倒くさい極まりない。ていうか突っ込むところそこか?


「こんな小さい子が姫だなんて信じられない。もっとマシな子がいなかったのかしら」


「お前いくらなんでもそれは言いすぎじゃ……」


「これでも私はこの馬鹿王よりマシな人間よ!」


「だから突っ込むところ違うだろ! そして誰が馬鹿だ!」


『え? あんた(圭ちゃん)の事じゃないの?』


「何でそこだけ息が合うんだよ! 怖いわ!」


疲れる。これ以上二人に構っていると絶対に疲れる。誰か俺を助けてください。


「それにしても私の圭ちゃんに対して、あんた呼ばわりとは随分酷いわねチビ姫」


「そうかしら。これは彼にぴったりのあだ名だと私は思うけど」


「それは否定しないけど、そのまま呼ぶのはちょっと可哀想よ」


「せめて否定してくれよ! ていうかそれ、何一つあだ名じゃないからな」


「うるさいわね。じゃあどんなあだ名がいいのよ」


「誰もあだ名をつけてくれと頼んではいないんだけど」


「圭ちゃんにぴったりなあだ名と言ったら……」


『ヘタレ!』


「だーかーら、何でそこは満場一致なんだよ! お前ら何だかんだ言いながら仲いいだろ」


何であだ名が一致しるんだよ。お前たちまだ会って一時間くらいしか経ってないだろ。


「って、そんな事話している場合じゃないだろ。それよりももっと重要な話があるだろ」


「重要な話? 何よそれ」


「これから由奈をどうするかだよ。勿論この城に住むことになるわけだけど、部屋とか色々あるだろ?」


「そんなの最初から決まってるじゃない。彼女は私の部屋で寝て、あんたは自分の部屋に戻ればいいのよ」


「え? 戻っていいのか?」


「カグヤの事も見ててもらいたいし、三ヶ月も部屋の隅っこで暮らしていたんだから、いい加減許してあげるわよ」


「まるで俺が悪いことしたみたいになっているけど、そうしたのはお前だからな!」


実はというと俺はココネの部屋で寝ることになってから、一度もまともな態勢で寝かしてもらった覚えがない。ずっと部屋の隅っこで体育座りをして眠っていた。おかげで普通の態勢で寝れるのか逆に心配になってきたほどだ。


「え? 圭ちゃん彼女の寝床を襲って……」


「何でその発想になった?! 俺はいつからお前の中で変態のイメージが定着したんだよ」


「最初から会った時からに決まっているでしょ」


「そんな馬鹿な!」


俺ってずっと由奈に変態と思われてきていたのか。軽くショックだ。


「実はそうなのよ。毎晩のようにこの変態は私を襲ってきて、終いには告白してきたのよ」


「えぇぇぇぇ! ますます変態のイメージが増えていく……」


「だからやめろって!」


告白したのは事実だけど、俺はいつあいつの寝床を襲った? あ、いや、確かに男の性ならそういうイベントもあってはおかしくはないが、決して俺はそういう人間ではない事をここで宣言しよう。


「と、とにかくそれは置いておいて、由奈がここに来てしまったって事は、もしかしたら扉が開かれているって可能性はないのか?」


「急に真面目な話をするわね。でも多分それはないと思うわ。こちらから開かれない限り世界同士が繋がることは一切ないのよ」


「でも由奈は来てしまったんだぞ? 具体的な事は覚えていないとはいえその可能性は否定できないだろ」


「ま、まあそうかもしれないけど……」


由奈がこの世界に来てしまったということは、世界を繋ぐ何かがあるって事だ。今のところ可能性があるといえばやはり俺が通った扉だ。でもあれは一度閉じられているから、やはり有り得ないんだよな……。


「由奈もなにか思い出せないのか?」


「無理言わないでよ。その話してからまだ一時間しか経ってないのよ」


「そ、そうだな」


「私もどうしてそっちの世界とこっちの世界が再び繋がったか調べてみるわ。それよりもまずは収穫よ収穫」


「おっと、忘れてた」


「人に色々言っておきながら、自分が忘れてどうするのよ!」


「悪い悪い。由奈が来たからすっかり忘れてた」


「何よそれ。私が来たらいけないみたいな言い方」


「別にそうじゃねえって。てかお前もこれから関わることなんだから、ちゃんと覚えろよ仕事」


「仕事って何よ」


「そんなの決まっているだろ。この国の復興のための仕事だよ」


■□■□■□

という訳で、ようやく本来やるべき事だった育てた野菜の収穫へ。


「うわー、すごい。これ半年で育ったの?」


「具体的に言えばもっと短いけど大体そんな感じだよ」


「野菜ってそんな短期間で育つものなの?」


「この国って結構温暖な気候な上、育ちやすいのよ野菜とかが。まあここの野菜が特殊っていうのもあるんだけど」


そういえば本当に今更な話だけど、この国は俺達のせかいと違い、ほとんどが温暖な気候になっている。すごく暑い日があるわけでもなく、すごく寒い日があるというわけではないが、雨が降っている日をあまり見ていないくらい快晴な毎日だ。だから服装にもあまり困っていないのだが、最近服にも少しこだわるようになってきた。それを見るたびにココネに気持ち悪いと言われるが、同じような格好ばかりしているココネには言われたくない(大体ワンピースとか着ている)。


「よし、早速だけど始めるぞ。今日は初収穫だから気合入れるぞ」


『おー!』


まあそんなグダグダな説明もほどほどにして収穫開始。まだそんなに大規模な畑ではないが、どこにでもありそうな田舎の畑の規模の大きさくらいの野菜は育てたと思う。まだ全部が育っているわけでもないが、早いうちに収穫しておかないと復興はは遠のくばかりだ。


「うわあ、珍しい野菜ばかり」


「でしょ。この野菜は私たちの国くらいでしか作ってないと思うわ」


「それを作らされたのは俺なんだけどな」


「うるさいわよ!」


 喧嘩しながら少しずつ収穫していく。半分位終わったところで、一旦休息をとることにした。


「あー疲れた。私こんな事するの初めてだからもうヘトヘトよ」


「大丈夫だ。俺も最初の頃はめっちゃ疲れていたから」


「これ毎日やるの? 私嫌よ」


「文句あるの? 文句あるなら今すぐ出て行ってもらうけど」


「だから喧嘩するなってお前ら」


仲がいいのか悪いのかどっちなんだよ全く……。

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