第3話
今回は新年にあわせて投稿してみました。
説明書はパンフレットのように薄く見えたが以外と量は多かった。
まとめるとこんな感じだ。
まず俺たちには30日の準備期間が与えられている。
その間にダンジョンの場所を決めたり、ダンジョンを作ったり、モンスターを召喚したりする。
そしてダンジョンの好きな場所にダンジョンクリスタルと呼ばれるものを置く。
これが壊されるとゲームオーバー、俺達は死ぬこととなる。
さらにこちらで死んだからと言いって、元の世界で蘇るなんてこともない。
つまりダンジョンクリスタルは俺達の命と同じってことだ。
また、俺達は寿命もなく老いることもない。しかし不死でもない。
なので俺達が剣で刺されるなどすれば、ダンジョンクリスタルが壊されなくとも死ぬこととなる。
またどちらかが死ねば、もう片方も死ぬことになるらしい。
ダンジョンの制作、モンスターの召喚、罠の設置などは全てダンジョンポイント、通称DPが必要になり初めは1組につき1万ポイント与えられている。
このDPはモンスターの召喚や罠の設置以外にも、スキルの習得やダンジョンショップでのアイテムの購入、ダンジョンマスターのステータスの強化などにも使えるが、ダンジョン以外で使うことは出来ず、ダンジョン外でアイテムなどを買う場合はこの世界の通貨、ゴールドでないといけない。
また、自分達が召喚したモンスターを自分達、または自分達の召喚したモンスターで倒すと召喚に使ったDPの半分が返ってくる。
召喚できるモンスターや設置できる罠の種類はダンジョンのレベル、正確にはダンジョンクリスタルのレベルによって増えていく。
ダンジョンクリスタルのレベルを上げるには、この世界で冒険者と呼ばれる者達をダンジョンの中で殺す必要がある。
また、他のダンジョンのダンジョンクリスタルを壊す、またはダンジョンの主、正確にはダンジョンマスターを殺せばその相手のダンジョンクリスタルの獲得経験値の半分を自分達のダンジョンクリスタルが入手することができ、さらにもう1つダンジョンの入口を設置できるようになる。
ダンジョンの階層は最大で、ダンジョンクリスタルのレベルに2掛けた数作ることができる。
また、こちらの世界の人間がダンジョンを作ることもあるが、そのダンジョンにもこのルールは適用される。
ダンジョンの入口は、この世界のどんな場所にでもおくことができるが、おいた場所によって、ダンジョンの地形が変わり、モンスターの中にはこの地形によって、有利になるものも、不利になるものもいる。
また、ダンジョン内部はこの世界とは違う異空間にあり、近くにいくつダンジョンがあっても、広さに影響は出ない。
この世界には魔素と呼ばれるものがあり、ダンジョン内のモンスターは、それを体内に取り込むことで活動している。
そのため魔素が少ないとモンスターが弱体化し、逆に多いと強化される。
魔素は地域によって濃い、薄いがありダンジョン内の魔素の濃さはダンジョンの入口の場所によって決まる。
また、モンスターは死ぬとその場に魔素を発生させる。
ダンジョンマスターは外に出て他のダンジョンに入ったりすることができ、それぞれにレベルやステータス、スキルなどが設定されている。ただし、経験値はパートナーと共有されており、レベルは同時に上がるようになっている。
ダンジョンクリスタルとダンジョンマスターの経験値は、それぞれ独立しているが、ダンジョン内で冒険者が死んだ場合の経験値はダンジョンマスターにもダンジョンクリスタルと同じだけ分配される。
ただし、他のダンジョンマスターを殺したり、ダンジョンクリスタルを壊したりしてもダンジョンマスターの経験値には加算されるのは相手のレベルに応じた経験値のみであり、相手がいままで獲得してきた経験値を得ることはできない。
スキルはDPを使うことによりショップで覚えることができるが、スキルによってはDPを使わずに自力で習得できるものや、自力でしか習得できないものもある。
そして、これら全ての操作はコントロールルームにあるモニターでダンジョンマスターのみが行うことができる。
と言ったところだ。
さらに詳しく知りたい場合はモニターでメニューを開き、ヘルプの項目を使えばいいと書かれていた。
「うーん。ずいぶんと細かくルールが決まってるんだねぇ。」
樹は感心したように呟く。
「あんまり大雑把過ぎると抜け道的なものが増えるからだろ。」
俺は樹にそう言うと
「そうかな?」
と、問いかけてきたので
「抜け道なんて探そうと思えば、けっこう見つかるもんさ。」
と、言っておく。
実際、ゲームなんかじゃ、どうやって見つけたのか聞きたくなるような、バグや裏技が山ほどあるしな。
「とりあえず、俺達のステータスを見てみようぜ。」
と言って、メニューを開き、ステータスを開いてみる。
■■■■■■
Name:柳田 祐人
種族:ダンジョンマスター
職業:なし
称号:なし
HP:80
MP:30
STR:10
VIT:10
INT:10
MDF:10
DEX:10
AGL:10
スキル:なし
Name:篠田 樹
種族:ダンジョンマスター
職業:なし
称号:なし
HP:80
MP:30
STR:10
VIT:10
INT:10
MDF:10
DEX:10
AGL:10
スキル:なし
■■■■■■■
「「うーん。」」
まぁ、何と言うか。
一言で言えば・・・
「「微妙だな(ね)」」俺と樹が同時に言う。
本当にコメントに困る数値である。
試しにステータスを強化しようとしてみると、1上げるだけで1000DPも必要だった。
ぼったくりである。
それに、この世界の平均値がわからないため、低いのか、高いのかさえわからない。
次にショップを選ぶ。すると、大量の項目が出てきた。
ん?モンスターや罠、スキルなんかは分かるが日用品や食品、設備や家具なんてのはいったいなにに使うんだ?
樹に聞いてみると
「これは日常生活をおくるためのものじゃないかな。」
と、言ってきた。
「なるほどな。不死じゃないから、食事もいるのか。となると、他にも風呂やベッドなんかも欲しいところだな。」
「確かにそうだね。」
そう考えると、設備や家具の項目にはお世話になることが多そうである。
それに、必要なものがずいぶん多い。これはかなり大変かもしれない。
「これは以外と大変だね。」
「確かにな。」
樹も俺と同じことを思ったらしい。
こうやって最低限必要だと思う物を挙げていくと、現代での生活がどれ程大量の物が必要で、そんな生活を送れることが、どれ程恵まれているのかがよく分かる。
むしろ、俺達は現代の物をここにだせるだけ、まだましだ。
この世界に普通に召喚されて、冒険者をやるとなればもっと大変だろう。
次にモンスターの項目を押すと、「先にダンジョン制作をして下さい。」とでた。
どうやら、先にダンジョンを作らなければならないらしい。
戻って、ダンジョン制作を押してみる。
すると、「うわ!?」という声が聞こえたので横をみると、樹が後ろを向いて驚いている。
俺も振り返ってみると、部屋の真ん中に紫色の水晶のようなものが現れていた。
いきなり現れたのも驚いたが、何よりも驚いたのはその大きさだ。
なんと、握りこぶしくらいしかない。これは、いくら何でも小さ過ぎる。
「これは・・・、僕も予想外だったよ。」
「確かに。普通はもっと大きいだろう。」
「うん、普通はね。僕の予想では、1メートルはあると思っていたんだけどね。」
「まあ、小さいからといって何か問題があるわけじゃないからな。」
「そうなんだけどね。気分の問題だよ。気分の。」
「諦めろ。現実はこんなもんだ。」
「くっ。異世界に来ても現実の壁は僕を邪魔するというのか!」
「はいはい。」
俺達はそんな馬鹿なことを言いながら、モニターをみる。
そこには、制作とカスタマイズの2つの項目があった。
まずは制作。
これはその名の通り、ダンジョンの部屋や通路を作るものだ。
部屋は大きさによって消費DPが変わる。そして、今作ることが出来るのは、部屋が3種類、通路が2種類で、それぞれ
部屋(大)400DP
部屋(中)200DP
部屋(小)100DP
通路(長)120DP
通路(短)60DP
となっている。
他にも、沼や池、滝何てのもあった。
次にカスタマイズ。
これは作った部屋や通路なんかを拡げたり、特殊な効果を付けたりすることが出来る。
例を挙げれば、部屋に高温を付与することで継続ダメージを与える、部屋の明かりを無くす、などだ。
ただ、特殊効果を付けるにはかなりのDPが必要となってくる。
うーん。今までの説明をみる限りDPをいかに効率良く稼ぐかが重要だな。
じゃないとすぐにDP不足に陥ってなにも出来なくなる。
そんなことを考えていると、樹が話しかけてきた。
「ねえ、祐人。この部屋はダンジョンに入っているのかな?」
「いや、入ってねえだろ。」
「でも、ダンジョンクリスタルはここにあるよ。」
「まあ、確かにそうだけどさ。今はダンジョンがないからじゃねえの?」
「そうだとしたら、あれは何かな?」
樹は後ろを指差した。
「何って、後ろにあるのは壁じゃ・・・」
俺が後ろを向いてみると、いつの間にか扉が現れていた。
近づいて開けようとするがびくともしない。
メニューでダンジョン構造を選択。
これは作ったダンジョンのマップなんかをみることが出来、作った部屋に関してはリアルタイムの映像をみることが出来るものだ。
そして、マップを見てみると俺達のいるこの部屋も表示されている。
「僕達が期日までにダンジョンを作らなければ、そこが外に繋がるんじゃないかな。どこに繋がるかはたぶん、ランダムで。」
どうやら神様とやらは、なんとしても俺達にダンジョンを作らせたいらしい。
「面倒なことを。」
「どうやら、ダンジョンを作らずに引きこもるのは無理みたいだね。」
「まあ、いい。元々ダンジョンは作る気だったしな。」
「そうだったね。じゃあ頑張ろうか。」
「ああ。だが、今日はここまでだ。」
「えっ?」
「時間を見ろ、時間を。」
メニューに表示された時間はすでに午後10時をまわっている。
「えっと、まだ10時だけど?」
こいつは頭はいいくせに、変なところが抜けてるな。
「ベッドを買って部屋に置いたり、着替えを買ったり、することが色々あるだろ。」
「あっ、そっか。」
「ったく、その辺りのこともちゃんと考えろよな。」
とりあえず、樹と2人で自分達のベッドや着替え、体を拭くためのお湯やタオル、洗濯物を干すための紐や歯ブラシを買ってそれぞれの部屋で寝ることにした。
コントロールルームから繋がる2つの部屋はダンジョン構造に表示されなかったため、直接ベッドを出せず、俺達で運ぶことになりかなり面倒だったが。そして自分の部屋でベッドに転がりながら、これからのことを考える。
俺はダンジョン制作を面倒だと考えている。
しかし、どこかに楽しんでいる自分がいるのも事実だ。
俺は、明日以降のことを考えて、少し笑みを浮かべながら、眠りについた。
しかし
「・・・灯が消えない。」
照明もないのに何故かついてる灯を消す方法を探すのに、10分以上かかってしまい、どこか間の抜けた1日になってしまったのであった。
次回も説明回となります。




