あれから…
2話です☆
あれから7年。私は14才になった。私の兄もあの時は中学生だったが、今は22才になっている。そして、私たち兄弟の両親は病気で他界した。もしかしたら、私が原因かもしれない。いつもそう思う。
今日もあの時と同じように桜は咲いていたが、葉桜になりかけている。私は兄が出かけていたため、家で留守番をしていた。そんな時だった。突然、電話の呼鈴がなった。さすがにこの時期。嫌な予感が脳裏で疼いた。恐る恐る受話器を握りしめて耳にあてた。すると、受話器の向こうから兄の声がした。
「いより!あのさ、覚えてるかわからないけど、これからお前が昔いた施設にいけるか?」
私は兄の言葉に疑問でいっぱいだった。
「なんで?」
私が言うと、
「まあ、話はあっち着いたらきくと思うから。」
何のことだろう。また、施設に入れられるのだろうか。そう思うと何だか心がいたい。
「うん。わかった。」
私は受話器を置くと家を出て、施設に向かった。
施設には、相変わらず子供がたくさんいる。私の姿に気がついたのが、若い女の人がこちらえ近付いてきた。
「あら、いよりちゃん‼久しぶり!元気にしてた?」
見慣れた顔に私は思わず微笑んだ。
「どうも。千花子さん。」
昔私がこの施設でお世話になった女性だ。とても優しくて、なんでも話せる。私の一番信頼してる女性だ。
「そういえば、いよりちゃん。いきなりだったけど大丈夫?」
「な、何がですか?」
私は何も聞かされていないと言うと、
「そうなの!まあ、社長から話を聞けばわかると思うから。社長‼海堂さん。お連れしました。」
部屋の社長椅子に座っていたのは、昔とかわらない。金髪に青い瞳を輝かせる女性の姿だった。
「いより。もう来たのか。」
相変わらず、断定口調の社長。社長は、たぶんカナダ人だ。社長は幼い時に事故で親を亡くしたらしい。だから、あの時の私をみて大粒の涙を流していたときいた。
「それで、何で呼びだしたかと言うとな…‼」
ーガチャっー
突然私たちの後ろにあった扉があいた。
「おい‼リサ!まだか⁉いよりとか言うやつは」
私が驚いてふりむくと、少女が怯えた表情で言った。
「お前…誰だ。」
「私は、海堂いよりだけど…で、そっちの名前は?」
少女は8才くらいだろうか。それにしても、全く笑顔もみせないし私たちを敵のようにみている。正直あまり可愛くない。すると、私の顔をじっと見ながら言った。
「私の名は、凛だ。」
その隣で、社長がため息を着いた。
「なんだ凛。もうお目覚めかい?」
まさかとは思うが、こいつが我が家に来るわけじゃないよな。
「それで、今日から凛は海堂家の一員だ。よろしくなお姉さん‼」
なに、お姉さんって‼一応、家に連れて帰ってはきたが、なんだこいつは?電車の扉の開閉に驚くし、人間を見るたんびに挙動不審に動き回る。
ああ、疲れた…
私の疲れなど気にせずにこの少女は菓子をほうばっていた。
「あんたさぁ、菓子ばっかり食ってると太るよ‼」
「ああ…」
それしか言わない。全く愛想もない。こんなやつをうちにおいといて、兄は何を言うのだろうか……
私がそんな事を考えていると、電話の呼鈴がなる。それと同時に凛は机の下に隠れてしまった。私が電話をとると、兄の声がした。
「いより。お兄ちゃん帰り遅くなるから、凛をよろしくな。」
兄はそれだけ言うと、電話を切ってしまった。兄がかえって来る前にこいつをしつけ直さなくては。私は少女をみた。
「やめろ‼」
やはりこいつは愛想がない。凛は噛んだり暴れたり、暴力がひどい…でも、あれから数時間たってだいぶ海堂家の環境に慣れてきたみたいだ。
「ほら、髪乾かせば寝れるから。」
「いやだ‼‼」
いきなり凛は私を蹴り飛ばした。
やはりこいつは可愛くない。ムカつく…
でも、こいつは実私と同じことで施設にいたんじゃないか。
とか思ったけど、わからない。
とっさに走り出した凛を追いかけると、毛布にぐるぐる巻きになって部屋の隅にいた。
「凛…」
凛は、泣いているのか。
「いより、私は…私の両親は事故死したらしい。でも、私には記憶がないのだ。でも、わからない。Please return my family…」
なにか、何処か昔の自分に凛が似ているような気がした。昔をみている錯覚に見舞われた。私の頬を涙が伝う。それと同時に私は何かあたたかなものを抱きしめていた。
それは、とても小さくて、自分を守り切っているようでも、無力な少女。
私には本当の家族はいない。家もない。少女も一緒なのだろう。
「凛…」
「なんだ…」
孤独感のあったわたしにも幸せができた。
思わず、8才の小さな少女の唇を塞いだ。
私はどうしてしまったのだろうか……
「ただいま。」
いよりと凛が仲良くなれてよかったよ。
小さな2人は同じ布団でならんで肩をよせていた。
どうでしたか?
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