01生徒会
私,有空 美春
ただ今中学1年生。
11月のある日の昼休み,担任の先生に呼び出された。
「有空サン,ちょっと」
そういって連れてこられたのは人気のない階段。
最初は,何を怒られるのかとドキドキしたけど,
先生の少しハズんだ声からはどうやらそうではないらしい。
「有空サンさ,生徒会やってみない?」
………え?
想像もしてなかった言葉。
「有空サンすごい向いてるとおもうんだけど-」
…私は,いつもハキハキしていて,成績もいい方だったし,先生には結構好かれている方だ。
今までもリ-ダ-関係の頼みごとはよくされたけど,生徒会は予想外だった。
『え-。そんなセンセ-。ウチより向いてる子いるでしょ-。』
と,とりあえず軽い感じで断ってみたが
「絶対有空サンにやってほしいのよ-」
どうやら簡単にひき下がってはくれないみたいだ。
『じゃあ…考えておきます。募集はまだ先ですよね。』
すると
キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン
チャイムだ。
よかった。
助かった。
『それじゃあ』
そそくさと会話を切り上げて,私は教室へ向かった。
その時,私は生徒会なんて,絶対やりたくなかった。
そのかっこいい響きには多少の憧れはあったが,生徒会本部役員になるには,そう,
選挙をしなくてはならないのだ。
気が小さい私は,選挙に落選したことを考えるだけで寒気がした。
絶対落ちる。
生徒会なんて絶対やらない。
心にそう堅くきめた。