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アンナの理想(全年齢向け  作者: もちごめ


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33

パーティーを途中離席して侍従の後をついて行く4人。


ダニエルはアンナの耳元で囁いて聞く。


「実は初めて謁見の間に行く。アンナ嬢は何度かあるのかな?」


今度はアンナが耳元で囁く。


「私も実は初めてですわ」


ロジャーが咳払いした。


「仲が良いのは良い事だけどね。今は止めておこうか」


「全くもう、ロジャー? 子離れ出来てないって丸分かりよ」


「こっこれは違う。良くない行動だと思ったから口に出しただけで」


ふーん、そう? と目を細めるシャーリーに気まずくなりフイッと視線を逸らす。


割とオープンな気質のお国柄であるワラフー国。

恋人同士、婚約者同士、夫婦と愛し合う者達は大っぴらにいちゃつく事が多い。貴族は確かに場所を選んで行動している者も居るが数はそこまで多く無い。


キスをしたり、顔を寄せ合いハグをしたりと道のど真ん中でいちゃつく猛者も存在する位だ。


ちなみに浮気や不倫をすると生殖器を駄目にする薬を飲まされる事が多い。これは法律で決められているのだ。

結局は身体の関係が多い為に、なら出来なくすれば大人しくなるだろうという考えに則っている。


何代も前の王がやらかして王妃が関係者を皆殺しにする事件が起きてから、そういった汚い関係を持っている者達をリンチする事件が相次ぎ苦肉の策として打ち出された物だ。






「おぉ、これが会話出来る魔法具」


しげしげと見つめながら嬉しそうに顔を崩す王。急に立ち上がると王妃に対になる物を押し付け臣下の制止を振り切って出て行ってしまった。


ビクリと肩を揺らした王妃。


「聞こえております」


上機嫌で戻ってきた王はダニエルとアンナの手を握りブンブン振る。


「これは良い物だ。実に素晴らしい」


2人には褒美を与えようと満面の笑みを浮かべる。これに慌てて返事を返すアンナ。


「恐れながら陛下、私達だけで開発したのではありません」


「ん?......ぁあ、もしや平民の者かの?」


「はい」


「よいよい、その者にも褒美を与える」


有難うございますと4人で頭を下げる。


「真に面白いわい。何が欲しいか決まったら手紙を寄越すが良い。それから何か作ったら真っ先に教えなさい」


こうして無事に商品の献上を済ませ胸を撫で下ろす。王妃が、また騒ぎ出すのではないかと思われていたが何事も無くスムーズに進んだ。


「あんなに喜んで貰えるなんて嬉しくなりますわね」


「本当に良かった」


「私の宝石ちゃんを見て騒ぐかと思ったけど杞憂だったわね」


「王妃には王が釘を刺すとおっしゃっていたから効果があったんだろう」


和やかな雰囲気でパーティー会場へと戻る。扉が開いて中へ戻ると第2王子とその婚約者と鉢合わせた。


「ひぃッ」


小さな悲鳴を上げて婚約者の陰に隠れる第2王子。


「え?」


盾にされている婚約者も困惑している。しかも全く隠れていない。細身の婚約者の身体では到底隠す事の出来ない筋肉の盛り上がりが見えている。

プルプルと小刻みに震えが止まらない。


幸いというか大きな柱のお陰で目立たない位置にある扉付近だった為に貴族達には見られていない。


暫く膠着状態が続いていたが第1王子が早足で此方に来た。


「ローズ公爵家の皆様、我が弟が申し訳ない」


間にスルリと入り弟が視界に入らない様に立つ。

後ろを振り返り婚約者の方に目配せする。


小さく頷いて見せると第2王子の腕を引いて扉から出て行った。


「お恥ずかしい所を見せてしまった」


ああ見えて小心者なのだと笑ってごまかす。


「公爵家御一行に緊張してしまったのだろう。悪く思わないでくれると助かるのだが」


「大丈夫ですよ。第2王子殿もお若いのですから、これからですな」


ロジャーは朗らかに笑って応対する。


明らかに怯えを含んだ行動だったが深く追及しない方が良いだろうと考えたのだ。無礼な奴だなとは思ったが尋常ではない様子だったのもある。





「ラッセル様、大丈夫ですか?」


「あ、あぁすまない」


顔を真っ青にした第2王子に婚約者は寄り添う。


「部屋に戻って何か温かい物を飲みましょう」


「そうだな」


少しふらつきながらも部屋へと戻る。


「ローズ公爵家の方々と何かございましたか? 言いたくないのであれば構いませんわ」


「それが、まだ私がやんちゃをしていた時期に御息女とお会いしているのだ。会ったと言っても此方が一方的に見ただけなのだが」


「まぁ! 才女であり魔法にも特化している、あのアンナ嬢ですわね」


「あぁ、既に成人しているだろう粗野な男に絡まれていたのだ。助けた方が良いだろうと踏み出そうとしたら。無詠唱だ。無詠唱で転がっていた樽を粉にして見せたのだ。そうして男を追っ払った」


「お待ち下さい。お幾つの時ですの?」


「成人のパーティーに出席しているのだから私と同い年の筈。12才位だろう」


「さすが、戦闘狂ローズ公爵家の御息女様ですわね」


初めて耳にした戦闘狂の言葉に首を傾げるラッセル。


「戦闘狂? 魔法省のトップであろう?」


「あら? ご存知ありませんの?」


ローズ公爵家は夫妻で血の気が多く一度戦いに身を置けば先陣切って敵陣に突っ込んで行くのだ。

ローズ公爵家が居れば必ず勝てると言われている。魔力量も多い為に攻撃魔法をバンバン使い大量の敵を屠るのだ。

また夫人は雷魔法が得意で戦う様はとても美しい。バチバチと光を放ちながら踊る様に戦うのである。


辺境においては何度かローズ公爵家の方に協力して貰い魔物の群れを倒して貰っている事もあって少々内情に詳しい。


「私、ローズ公爵家の御息女であるアンナ嬢とお話させて頂きたいと常々思っておりましたの」


そう言った途端にカタカタと震えだすラッセル。


「そそそれッそれは私も、どっどっど同席した方が良いのだろうか?」


カチカチと歯を鳴らす様子は寒いのかと勘違いしそうだ。


思わず吹き出す。


「大丈夫ですわ。私が個人的にお会いしたいだけですもの」


あからさまにホッと息をつくラッセル。

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