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アンナの理想(全年齢向け  作者: もちごめ


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30/32

30声を聞きたい

「という事で離れていても会話が出来る物が必要ですの」


「ほぉ、お嬢様は愛されておいでですな」


「当然よ、私と一緒に居るのよ? のめり込む程好きにならない方がおかしいわ」


フフンと胸を反らして得意気なアンナ。ニコニコと微笑むダンカンはうんうん頷く。


「そうですな! お嬢様は愛されて当然ですじゃ」


ダンカンの言葉は本心からくるものだ。アンナは少しだけ恥ずかしくなり頬を染める。


「声を伝達するのは比較的、簡単ですぞ。問題は双方で短い時間に何度もやり取りしなければならないという点ですなぁ」


「ダニエル様は魔力が少ないのよ?」


「そうでしたなぁ。魔力を消費せずに会話が続けられる物......うーむ」


2人で頭を幾ら捻っても何も出てこない。


「お嬢様、ここは1つ婚約者殿に協力して貰いましょうぞ」


「え? どういう事かしら」


「アイデアを産んだのは婚約者殿ですぞ。もしかしたら良い事をまた思い付くかもしれませんな」


「成る程、そうね。そうだわ。明日呼び付けちゃいましょう」


2人でクスクス笑う。


早速、手紙を書いて白い鳥に変える。


「さぁ、頼んだわよ」


パタタタッと飛び立った白い鳥を見えなくなるまで見送るアンナ。





窓をコツコツ叩く音に顔を向ければアンナからの手紙だ。

直ぐに駆け寄り小鳥を両手に乗せるとハラリと手紙に変わった。


「明日、会えるのか。先生? あー魔法の先生の事かな」


アンナ嬢に会えるなんて嬉しいなぁと呟いてルンルン気分で明日の服を選ぶ。





「お初にお目に掛かります。ダリア侯爵家が次男ダニエルと申します」


「いやいや止めて下され。私は平民ですぞ。頭を上げて下され」


あわあわとダンカンは駆け寄り、肩に手を置くと頭を上げさせた。


恐縮しきりのダンカンにダニエルは笑い掛けた。


「アンナ嬢に魔法を教えた方は大変な実力の持ち主であり偉大な方だと私は思っております」


「止めて下され。お嬢様に魔法を教えるのは楽しくて仕方なかったのじゃ。そんなの偉大でも何でもない!」


「まぁ! 先生は凄い方よ? 教えるのも、とても上手だわ」


アンナはダンカンが大好きだし尊敬もしているのだ。


「わっわ、わしの事は良い! 魔法じゃ魔法の事を考えるのじゃ」


プイッとそっぽを向くダンカンにアンナとダニエルは笑い合う。


「可愛い方でしょ」


「そうだね」


少しだけ恨めしげな顔をするダンカン。


「婚約者殿は何か考えてきましたかな?」


「ぁあ! そうですね。まずは魔法だ」


ジャケットの内ポケットから1枚の紙を出す。


「プロの人に見てもらわないと使えるのかは分からないが」


差し出された紙に目を通してフムフムと頷くダンカン。


「このイルカモドキという魔物の魔石を使うというのは何故ですかな?」


「イルカモドキは仲間同士で遠く離れていてもテレパシーを使って意思疎通を行っている事が分かっている、その魔石を使えば何とかなるのではと思ったのだが......やはり素人考えでしたね」


「面白いですなぁ。やってみる価値はありますぞ」


「さすが私の婚約者様だわ」


ダンカンとアンナでクスクスと笑い合う。


「この魔石を手に入れる為に市場にいきますわよ!」


拳を掲げて立ち上がるアンナ。


「楽しみですぞ!」


「さすがの決断力だ」


3人で市場へと出発する。ダニエルか考えたのはネックレスのヘッド部分を魔石に変えるというもの。


馬車の中では、どんなデザインにするかをあーでもない、こーでもないと話し合っていた。





魔石を専門に扱っている所を見つけて近付いた。


「いらっしゃい、どうだい? ここいらでは1番の品揃えだよ」


「イルカモドキの魔石はあるのかしら?」


「ちょうどデカいやつが入って来たんだ! これだよ」


差し出された魔石は確かに大きく薄紫色をしていてアンナの目の色に近い。


「これは美しい。アンナ嬢の目の様で個人的にも欲しい位です。これにしよう」


「おや? 1つで良いのかい? 群れを倒したらしくてね。沢山あるよ」


ダンカンは小さく飛び跳ねた。


「ほー! 素晴らしいですぞ! ありったけ買おう!」


興奮冷めやらぬダンカン鼻息荒く魔石をチビバックに放り込んでいく。


「ちょっと! 先生、落ち着いて!」


「あ! これは申し訳ないのぉ」


ショボンとするダンカン。


「もう、仕方ありませんわね。全部買うわ」


幾らなの? と魔石売りに問い掛ける。


「入ってきたやつ全部買ってくれるのかい! 有り難いねぇ。安くしよう! ポッキリ10金貨でどうだい」


「良いわよ!」


ダンカンは余りの高さに度肝を抜かれた。目を見開いてあわあわする。


「た、たか、いのぉ」


「あん? なんだって? こんなに程度の良い魔石をまとめて10金貨は破格の値段だよ!」


魔石屋の気持ちが変わってしまう前に急いで10金貨を出して押し付ける事にする。


「こちらで宜しくて?」


笑顔で魔石の手を握り込んで手渡した。


「あ、あぁ良いよ、まいどあり!」


恐らく貴族であろう人から丁寧に扱われて嬉しくなった魔石屋。笑顔で魔石を売ってくれた。


大量の魔石を手に入れて一様に嬉しい気持ちのまま屋敷へと帰る。


「いやぁ素敵な色の魔石だ。これで作れたら肌見放さず持ち歩くだろうね。まるでアンナ嬢の目みたいだから。少しでもアンナ嬢を感じていたいよ」


「も、もう! ダニエル様」


2人の仲睦まじい様子にダンカンは微笑ましくて笑ってしまう。なんと可愛らしい2人だ。


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