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アンナの理想(全年齢向け  作者: もちごめ


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29/32

29王への献上

アニー商会の商品はついに王族の耳まで届いた。


「して、そなたの娘が作ったらしいの」


「娘1人の力ではありませんが関わったのは確かでございます。どうぞお収めください」


「ほほぉ、これが噂の」


金ぴかのチビバックを手に取りしげしげと見つめる。

少しすると試しに羽織っていたマントをしまってみた。


「おー! これは面白い! ブレスレットは対になっておるのであったな! 楽しみじゃ」


これまた金ぴかのブレスレットを1つ王妃に押し付けると臣下の制止を振り払って謁見の間を出て行ってしまった。


暫くしてホクホクとした顔で戻ってきた王様はご満悦の様子で、また座り直す。


「いやぁ実に面白い。そなたの娘に婚約者がいなければのぉ」


ワハハと豪快に笑う王に冗談だと分かりロジャーも一緒に朗らかに笑う。


「あら、陛下。第2王子には婚約者が居ないではありませんか」


第2王子は現在細マッチョからゴリマッチョへと進化を果たした所である。この見た目の変化により近寄って来ていた令嬢達は居なくなってしまった。

斜に構えた困ったさんでは無くなって来た所で性格は以前よりも格段に良くなったのだが、やはり見た目に集まって来ていただけだったのだろう。悲しいものだ。


「王妃よ。その冗談は笑えんな。そもそもアンナ嬢には婚約者が居ると分かっておろう?」


不貞腐れた顔で押し黙る王妃に小さく溜め息をつく王。


「このブレスレットに限って言えば、アンナ嬢が危険な目に遭ってしまった事を受けて 婚約者が 思い付いた物だという話だ......分かるな」


ロジャーに向き直ると王は頭を下げた。


「ローズ公爵家当主に謝罪する。王妃が失礼した」


「謝罪を受け入れます」


敬愛する王が頭を臣下に下げた事で自分がとんでも無い事をしでかしたのだと理解して、王妃は真っ青だ。 


既にローズ公爵家では王妃は少しヤバい奴認定されている。


癒しの力を使えると聞いて聖女の再来だと騒ぎ立て魔力を変質させた物が正体で、才ある者なら直ぐに使えるようになると分かっても目の前でアンナに実演させようと躍起になっていたし。


アンナと個人的な繋がりを持ちたいような手紙を何通も送ってくるようになってしまったのだ。


シャーリーが娘の為に直接、王妃に話をつけに行った程にはしつこかったのである。


王様は今一度ローズ公爵家の気分次第で王城は簡単に落とされると話さねばならないと使命感をおびる。


加えて言えば魔法省も今は国の機関として扱われているが1人1人が膨大な魔力を誇っているし、いつだって独立した機関になる事は可能なのだ。それを国の下に居るという選択を取ってくれている状態なのである。


しかも、その魔法省の面々がアンナ嬢に興味津々なのである。下手に刺激する様な真似は避けたい。アンナ嬢に王家が何かしようものなら国が滅ぶだろう。





一方その頃、アンナとダニエルはイチャイチャしていた。


「ダニエル様」


「アンナ嬢」


ニコニコと見つめ合う様子はとても微笑ましいがダニエルは押せ押せ状態なのだ。これだけで済むはずが無い。


「隣に座っても?」


「はい、勿論」


ダニエルはわざわざ密着する様に座りアンナの手を取ると指を絡めて繋ぐ。


「アンナ嬢、例えばの話なのだが」


「はい」


「離れていても会話が出来る物は作れないのだろうか。短いメッセージのやり取りは出来ているだろう? 逆に声が聞きたくなってしまって辛い」


寂しいんだよと繋いだ手にキスをする。


「存在が大き過ぎて少しでもアンナ嬢と離れているとポッカリと穴が空いたような気持ちになる」


アンナ嬢は私の生きる意味だと呟くダニエル。


アンナはお手上げ状態だ。何も言えずにただ顔を真っ赤にしている。


「アンナ嬢?」


「ぁ...はぃ...そうですね。現存している魔法にも短い言葉を送る物はありますし、やろうと思えば出来そうな気も」


「本当に? 嬉しいよ。アンナ嬢と離れていても会話が出来る様になるとは」


私に出来る事があるなら幾らでも協力するから言ってくれと、おでこ同士をわざわざくっつけるダニエル。


「ぁぅぁ...ひゃい」


実は現在、ダニエルの私室にいるのである。勿論メアリーは着いて来て居るし、ダニエルの侍従も居る。加えて扉は少し開けてあるのだ。


しかし、ダニエルの押せ押せ状態のせいで、まるで意味を成していない様に思える。


とにかく触れたままで居ようとするのだ。片時も離れんぞという気概すら感じる。


アンナが居住まいを正そうとする時ですら邪魔するのである。


「もう、ダニエル様は私の事が大好きなのですね」


困った様に笑いながら話すアンナ。


「何を当たり前な事を? 私にとってアンナ嬢は無くてはならない存在だ」


はっきり告げられる言葉に、またアンナは赤くなってしまう。


「可愛いらしいアンナ嬢」


顎を優しく上げられると触れるだけのキスをされる。何度も何度も繰り返しされるキスに中々慣れる事が出来ないアンナの頭の中はパニックだ。

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