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アンナの理想(全年齢向け  作者: もちごめ


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28/32

28習慣

ここの所ダニエルは暇さえあればアンナの様子を覗き見る事が習慣になっていた。相手からは見られているという事が分からないという点が大きいだろう。


「はぁ、可愛い」


真剣な顔で皆に魔法を教えるアンナは2人で居る時には余り見せる事の無い一面だ。ツンとすました顔で時折、眉間に皺がよる。


ランチの時は友人と楽しそうに会話をしながら綺麗な所作で食べ進める。

音を聞く事は出来ない為に、どんな話をしているかは分からない。ただ時々、ダニエル様と口が動いている気がするのだ。


「私の事を話してくれてるのだろうか」


ますますアンナへの渇望が増していく。学び舎に行く様になったせいで会う頻度が減り、ようやっと慣れて来たというのにブレスレットを使ってアンナの様子を見る度に触れたくなるし声も聞きたくなるのだ。


「これは良くない......でも気になって見てしまう」


悪循環である。


「此方からも見せたいと強く念じれば見せられるのだったか」


試しに強く念じて手を振って見せた。


少し経ってからアンナが手を振る様子を見せられる。良かった無事に通じたのだ。会話も出来ないが2人は繋がっていると実感出来た、これが嬉しくて堪らないダニエル。


先にアンナの様子を伺って大丈夫そうだと思ったら手を振って見せる様になった。


一度試しに紙に見やすく、とても会いたいと大きく書いて持って見せる。

直ぐに私もです、と書かれた紙を持ったアンナを見せられた。もうダニエルは有頂天である。


これなら声が聞けなくても実際に会えるまで何とか耐える事が出来そうだ。


ダニエルはこのブレスレットのお陰で兄や父からの頼まれ事の効率が上がった。日々の鍛錬も短い時間に効率良く動くようになったのである。


何故ならば隙間時間を見つけてはアンナにメッセージを送っているからだ。勿論、余裕がありそうな時を見計らっている。


ミスがあってしまってはそこをフォローする事に時間を取られてしまうし、鍛錬に関してもギュッと時間を凝縮させないとアンナにメッセージを送る時間が減ってしまう。


ダニエルの日常は正にブレスレットを中心に回っていた。アンナとメッセージのやり取りが出来る事に夢中なのである。

最近では愛の言葉を送る事ばかりしている。


愛している。 

会えない事がとても寂しい。

君の声が聞きたい。

どんな花だって君の前では枯れてしまうだろう。君の美しさに勝てないからね。

アンナ嬢は罪作りだ。私は寂しさで死んでしまいそうだよ。

君を想わない日は無い。それだけ私の心はアンナ嬢で溢れているんだ。


アンナは顔を真っ赤にしてお礼の言葉や私も愛しているわと返す位しか出来ない。まだ恥ずかしい気持ちが勝ってしまうしダニエルから贈られる言葉で胸が一杯になってしまうのだ。


2人はこのやり取りにのめり込んでいく。


そして友人達と会話に花を咲かせている時にソフィアから突っ込まれた。


「そう言えばアンナ様は最近こう紙に文字を誰かに向けて書いている、あれは何なのですか?」


カッと顔を真っ赤に染め上げて小さく返す。


「あれはダニエル様にメッセージを返しているのですわ」


「まぁ! でも近くにはいらっしゃないでしょう?」


「このブレスレットに魔法を組み込んでいるの。離れていても、やり取りが出来るのです」


素敵! 欲しいわ! とガゼボで盛り上がる。


実の所、友人同士で揃いで作ったチビバックが冒険者の中で噂になり社交界でも公爵家のアンナが介入したらしいという話で溢れ手紙で作って欲しいと頼まれる事が増えている。


ソフィアは伯爵家である為に頼まれる事がとても多いのだ。一々あれはローズ公爵家のアンナ様に魔法を組み込んで貰った物だから簡単には作れないと断りの返信をしている。


今回も、このブレスレットが噂に噂を呼んで大変な思いをするのでは? と考えた。


「あの!」


「どうしたの?」


「何かありまして?」


3人に見つめられながら、頼まれる事がとても多くて大変なのだと話す。


「それで、今回のこのブレスレットの話も色々な方に聞かれたりするのかしらと心配で」


「それは......大丈夫とは言えませんね」


「えぇ、そうね。ソフィア様は伯爵家だから聞きやすいのかしら」


「ミリーもアンナ様も公爵家ですし、私は侯爵家だものね」


4人でどうした物かと頭を悩ませる。


「あ! アンナ様の商会を立ち上げてしまえば良いのでは」


「それは、うーん。どうかしらね。アンナ様は次期当主なのだし忙しいのではなくて? 今でさえ魔法の授業等もかかえていますもの」


「あら! 私やってみたいわ」


フフンと胸を反らして髪を流してみせた。


「素敵! もうこの問題は解決したわね」


「アンナ様の商会......アニー商会というのはどうかしら」


「何だか可愛いらしいわね」


「えぇ、とても素敵な名前だわ」


かくしてアニー商会の立ち上げとなった。


この商会、ダニエルが手伝う様になりダンカンも手伝う様になり莫大な利益を叩き出す様になった。


サニーにジェニファーにサムも手伝って何とか回っている状況である。


今の所、ブレスレットとチビバックしか商品が無いというのにアニー商会が一大ムーブとなった。


ソフィアに向けて送られてくる手紙の数もぐっと減り胸を撫で下ろす。


ブレスレットに魔法を組み込むのはダンカンが請け負っている為、アンナが持っている様な細かな所までハッキリ見えてしまう問題は起こらなかった。

恋人同士でメッセージを送り合ったり軍事目的で使用されたりと広く使われる事になったのである。


チビバックはデザインを落ち着いた物から可愛いらしい物まで揃えて男性女性に限らず使い易い様に取り揃えた。


残念ながらチビバックの魔法の組み込みはダンカンに教えられながらサムとジェニファーも行っているが、中々数を揃えるに至らず希少価値が爆上がりしている。


バックが持ち込まれ、それに魔法を組み込むというサービスも行っており、これも当たったのだ。

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