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アンナの理想(全年齢向け  作者: もちごめ


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21/32

21いざ学び舎へ

ソフィアが入り口付近で待っているのを発見して駆け寄る。


「ソフィア様!」


「アンナ様! 制服とてもお似合いですわ」


「ソフィア様も可愛らしくて素敵です」


紺色の落ち着いたワンピースで衿元は白く。腰回りには白のリボンがあしらわれている。裾にも白いラインが入ってるデザインだ。


ニコニコと機嫌良く会話しながら中へと入る。これから成人までの2年になるが共に学び舎に行く事になったのだ。

正直学ぶ内容等2人にしてみれば、あって無いような物なのだが見識を広げるという名分の元通う事が決まった。

小さな社会ではあるが人との交遊関係を広げたり、はたまた運命の人との出会いを求めたりと通う名分はそれぞれである。


通うタイミングも自分達で決められるが成人したら殆んどの場合は入れない。多くの生徒が後数年で成人という段階で入学している。


お金のある平民も貴族との顔繋ぎになれば良いと思って通う者もいるのだ。


下位貴族等はこの学び舎でしっかりとマナー等を身につける事を目的としている。家庭教師を頼める程に裕福ではない事が殆んどだからだ。


「エリシャお姉様もミリーお姉様も成人しているから一緒に行けないのが悲しいですわ」


「そうですわねぇ。お2人が一緒でしたら心強かったでしょうに」


少しだけ気落ちする2人だったが、直ぐに顔を上げる。


「でも、楽しみですわ!」


「ぇえ! 私もです」


フフフと笑い合って貼り出されている紙に目を通す。


「まぁ! 私達同じクラスですわね」


「良かったぁ。少し心配でしたの」


仲良く会話に花を咲かせながら指定されたクラスへと向かう。


中に入り適当に空いている席に腰を落ち着けた。勿論、隣同士である。





「皆、席に着いていてるな」


グルリと見渡して確認する教師。


「このクラスは今以上に学ぶ必要が無い者達で固められている。まぁゆっくりと学び舎での生活を楽しんで貰いたい。受けたい講義等、自由に選んでくれ」


そう言い終えると何故か視線が合った。


「先に言っておくが特に優秀な者には教師の補佐に回ってもらう事もあるから、そのつもりで」


そして紙を貼り出す。


「魔法の講義があるが、殆んど実技だ。この講義にはローズ公爵家の御息女であるアンナ嬢に補佐をお願いする」


異論は無いなと見つめられコクコク頷く。周囲からは、さすが公爵家だとヒソヒソと呟きが漏れる。


この教師、ダンカンの弟子の1人である。公爵家で、どんな魔法の授業が行われていたのかは聞かされていない。守秘義務の為だが。

凄い生徒だ! と何度も自慢されていて気になっていたのである。何を隠そう、この教師も魔法馬鹿なのだ。どんな魔法を使うのだろうとワクワクしている。


「さすがアンナ様ですわね」


コソリと耳打ちされる。


「突然の事ですので驚きましたわ」


「アンナ様、魔法のコマ割りが多い様に見えますけど大丈夫ですか?」


「何とかなるんじゃないかしら」


この世界で魔法の存在は無くてはならない物だ。生活に密着しているし魔力が全く無い者は生まれない。

些細な道具まで魔力ありきの作りになつているのだ。


生活魔法等は魔力の少ない平民の間にも広く伝わっている。


魔力の高い者は平民も貴族も関係なく戦争に駆り出されるし結果を残せば報酬が約束されているのだ。


「ねぇ、ソフィア様。攻撃魔法に特化した授業にしたらどうかしらと思うのだけど」


「あら! どの様な魔法ですの?」


「炎の剣や雷の剣なんて如何かしら? あ! 地割れを起こす事も出来ますわよ」


「何だか格好良いですわね」


フフンと胸を反らして得意気なアンナ。


「これは秘密なのだけど......」


コソコソと声を落として耳打ちする。


「私ね。癒しの魔法も使えますのよ。奇跡の力だとか言われている、あれですわ」


ソフィアは驚愕に目を見開きアンナを見つめる。


「本当ですの?」


「えぇ、私天才だもの」


またフフンと胸を反らして見せる。


「お父様に確認して、もし公開しても良いというお許しが出たら魔法の授業の際に披露しようかと」


「素敵ですわ! 私とても楽しみです」


「もしお許しが出なくてもソフィア様には、こっそりと教えますわね」


「嬉しい......有難うございます。私、その言葉だけで胸が一杯ですわ」


ソフィアは秘密を共有して貰える程アンナから信頼して貰えたという事実に胸が暖かくなる。






「ローズ公爵家のアンナ嬢。私の部屋に来て貰いたいが大丈夫か? 話がしたい」


教師の話が終わって声を掛けられた。


「分かりましたわ」


教師の後を付いていき専用の個室へと通される。ソファに座り向き合う。


「私はね、ダンカン先生の弟子なんだ。君の兄弟子になるのかな」


「まぁ! ダンカン先生の」


「それでだね。凄い生徒だと何度も自慢されていて、良かったら......地下に魔法の試し場になっている所があるから見せて貰いたいんだ」


期待が多いに含まれた視線を受けて気分がよくなるアンナ。


「宜しくてよ。私、天才なの」


フフンと胸を反らす。


「決まりだ。早速行こう」


こっちだと歩き出した教師の後を、またついて行く。





「ここだよ。念の為に私達以外には居ないからね」


「それで? どんな物がお望みかしら?」


仁王立ちで腕を組んで大変に武尊な態度である。教師の方は全く意に介せずニコニコとしている。


「派手な物が見たい」


「任せなさい」


ゴォオッと炎が突然舞い上がり蛇の様にとぐろを巻いていた。赤赤と燃え盛るそれは確かに派手である。


「こんなのも出来るわよ」


地面から大きなゴーレムが現れるとタップダンスを踊ってみせる。ドスンドスンと地響が凄い。


フフンと胸を反らして得意気に笑って口を開く。


「私はね雷魔法がお気に入りなのよ」


バチバチと電気が走りアンナの手に雷の鞭の様に見える物が現れる。

手を振ると雷も動きに合わせてしなる、正に鞭であった。


地面に叩きつけられる度にバチバチと広がり当たったら即死なのでは? と思える程である。


「どう? お気に召したかしら?」


「素晴らしいですよ! 威力もコントロールも最高だ! ダンカン先生から聞いていた通り凄い方だ」


大興奮でアンナの手を握りブンブンと勢い良く握手をする。


「ぃいたッ......ちょっと! 振り過ぎでしてよ!」


「おっと、申し訳ない。私は魔法に目が無いもので、少しばかり興奮してしまったらしい」


反省したのか少しだけ俯くも直ぐに顔を上げてアンナに近付く。


「ちっかぁ! ちょっと!」


「あ! 申し訳ない。興奮冷めやらぬとはこの事だ」


素晴らしい、もっと見たいとブツブツ呟き始めた教師を見て後退る。少し怖くなったのだ。


「アンナ嬢! 他に! 他には無いのですか!」


「えぇー......見劣りはしてしまいますが」


光るポニーを出現させて跨りバチバチと放電する剣を出して見せる。


「おぉ! 丁寧に魔力を練り上げているのですね! これは、また素晴らしい! 乗れる程にするには相当の技術がいる筈なのですが......感動だ」


ギラついた目に内心叫びを上げる。ダンカン以上に魔法に執着していて怖い。

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