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チエ12

バーチャルワールド…。仮想世界か。

成る程。私はさっきの装置でバーチャルワールドに意識だけ転移したみたいだ。


そして、嬉しいことにここが今の社会の主戦場らしい。

だったら―――


「チッ。あんたのその目が気に入らないんだ!誰かの苦労を思いやることもせず、自分のやりたいことだけをやろうとするその目が儂は気に入らんッ!」


言葉に合わせて杖で私の胸を何度も突き刺してくる。

結構、私のことが気に入らないらしい。


まぁ、だが、やはりヒダさんだった。ヒダさんの知識は私の知らないことを沢山知っている。

お陰で私の悩みは解決だ。とはいえ、こっちに来たのは始めてだ。試したいことは山程ある。

折角だ。ヒダさんにも手伝ってもらおうか。


「……儂の目的は、あんたにお願いがあるのさ。あんたの友達の計画を止めてくれ。儂の…私達の文明がなくならなきゃいけないなんて、間違ってるッ!」


私に言われてもな…。そもそも、あれは友達じゃないし……。

なんなら、()、直接言ったらどうだろう?


「悪いが、できない相談だ。」


ぐるぐるとした吐き気のする空間が無数の粒子によって眩しいほど白い世界に塗り替えられる。

以前、私が見た未来の光景だ。


そして、私の膝にちょこんとヘビが鎮座した。


「そ、そんなバカな……。あなたには機械を装着していないのよッ!?」


できちゃうんだな、これが。

薄々分かっていたが、未来人は人間としての形を保たず、情報生命体として暮らしている。形のない情報集積体だ。


「その通り。僕達は情報生命体だ。ならば、情報を集める情報機器の内部に入れないわけがないだろう。情報自体をブロックすることはできないのだから。」


キャラを忘れて驚愕するヒダさんを他所にヘビはさらに続ける。 


「君の要望は残念ながら叶えられない。僕達がこの文明の所有者である限り、この文明の価値を上げて別の文明に売るか、出費削減のために消すしかない。それが嫌だから君達はこの文明から逃げようとしているんだろう?」


「出費なら…別の方法で抑えればいいじゃない!わざわざ私達の生命を奪う必要なんてない!」 


ヒダさんは恐怖に怯えながらも怒りの色を浮かべて反論した。根っこはやはり強いのだ。


「……それこそ、ゴミ捨て以上に簡単なことはあるかい?」


ヒダさんはその言葉に唖然とする。

私もそれは初耳だ…。私達は彼等にとってゴミと同等と……。流石に傷つくな…。まぁ、実際はゴミ以上に厄介なものなのだが。


「……ゴミって…私達は一人ひとり、しっかりと生命を持った未来あるべき――」


「君達にとって未来は創るものじゃないのかい?未来があると確実に言えるのは未来予知ができる者だけだよ。それにだ。文明消去はこの文明に限った話にはならない。他の文明だって一生懸命頑張っていたが、結局は消えることになった。だと言うのに君達だけ生存させるというのは別文明の生命に失礼だと思わないかい?」


ヒダさんは諦めずに口を開けようとしたがヘビが先制し遮った。


「逆接で繋げれば反論になるわけじゃない。出来たとしても幼稚な反論だ。それに、今更言うまでもないが僕は君の考えていることが分かる。ここまで言えばもう分かったと思うが僕が君の考えに賛同してない以上、君の考えは無駄にしかならないわけだ。」


ここまで言われると流石のヒダさんでも押し黙ってしまった。取り敢えず、決着はついたようだ。


「さて、時間は有限だ。彼女も文明移住の算段がついたようだし、自由を許すべきだ。」


ヘビが言い終わる前に身体が動くようになり、どうやら発声も可能になったようだ。

身体の自由が効いたと同時にゲームのようなウィンドウが現れた。意識1つで操作することが可能らしい。


私はそれを操作して目的の項目を探す。使うのは始めてだが、社会の主戦場であるならば、きっとあるはずだ。


「ねぇ、ヒダさん。この空間はあくまでヒダさん専用の空間ってことでいいのよね?」


「……そう。自分だけのカスタマイズができる不可侵の空間よ。たった今、その不可侵も破られたけれど。私達は部屋やルームって呼称しているわ。」


返答までに時間は掛かったものの一応、詳しく教えてくれた。

探しものついでに色々と項目を見てみたが、私の勘は割と当たってる。


なるほど、バーチャルワールドはおそらくRPG系のゲームを基盤に設計されていると見てよさそうだ。


「情報ありがと。おっ。見つけた。」


探していた項目は端末の同期だ。現実世界の端末をこっちでも使用可能に出来れば、私の端末を通して未来のネットワークに接続することができる。

というのも、私の端末はヘビ経由で未来のインターネットと繋がっているのだ。


つまり、このバーチャルワールドを未来のネットワークに繋げることで、擬似的な情報生命体である私達は未来へ移動することができ、そこから移住先の文明にアクセスすることが可能になるわけだ。


そして難なくヒダさんのルームからは未来のインターネットに接続できた。

あとは、これを公共化するだけ。

そうなるとバーチャルワールドの提供者と話をつけなければならない。


かなり時間が掛かるが、こればかりは仕方ない。それに下準備はまだまだ必要だ。話がつくまでに余裕を持って終わらせなければ。



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