チエ7
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます!
今年1発目のエモーショナルセイバーでございます。
ハードな内容が続きますが、本年もエモーショナルセイバーを宜しくお願い致します!
興奮冷めぬまま研究室を後にする。因みにだが、この研究室は森の方の研究室ではない。
人体実験用…本当は生物実験用に作られた研究室で、場所は森の外にあり、今は誰も入ることはない。
実験装置は他の研究室や研究所にもある為、わざわざ出向く必要がないのだ。
♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥
「赤ちゃんはもう大丈夫そ?」
ガラス越しに眠っている赤ちゃんを見ながら看護師に尋ねる。
「え、えぇ。今はぐっすりと眠っていますが……。」
落ち着かない様子で看護師は答える。まだ、私の外見に慣れていないのか?
「まぁ、いいや。じゃあ、赤ちゃん貰ってくね。」
私が新生児室へ入ろうとすると、看護師に腕を掴まれる。
「…赤ちゃんになにをするんですか。」
俯いて、ビクビクと震えて、私に問いかける。
「元いた場所に返してあげないと。あそこなら、少なくとも今は死ぬことがないだろうし。」
手を軽く振り払って新生児室に入る。
私だって、本当はあの村に返したくはない。だが、赤ちゃんを見る余裕もなければ、知識もない。したがって、村に返すのが、最もこの子の為になる筈だ。
「女の子か……。小さい時の私にそっくりよね。」
ネームバンドには性別や血液型などが書いてあるが名前だけがない。
名前…か……。
「愛とか?ダブルミーニング的な感じで。」
「いいんじゃない?今の君に最も足りていない感情だしね。」
ひょっこり出てきて悪態をつくヘビの頭を肘でど突き、ゆっくりと赤ちゃんを抱き抱えて、村に瞬間移動した。
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村中は混乱していた。それもそうだろう。村長が完全に消えたのだ。
マヌケな村人達は一生懸命、村中を探し回っている。
「あっ!チエ!お父さんとお母さんを知らないっシャ?」
面倒なことにドッシャに見つかった。
「さぁ、遠くの病院に行くって言ってたけど?帰ってないの?私はこの子だけ預かったんだ。」
滅茶苦茶すぎる返しだが、なんとでもなるはずだ。
まぁ、いざとなればアニマッルを奪って主導権を握ればいいだけの話だし、どう転ぼうが私にとっては心底どうでもいいのだが。
「……疑問は多いっシャけど、取り敢えず信じるっシャ。それでっシャ?何か言ってなかったっシャ?」
私はドッシャの言葉を無視して要件だけ伝えることにした。
「取り敢えず、この子、アイだけ返すよ。あと、私のことはもう、この村で口外しないで。この村とは縁を切らせてもらうから。」
愛だけドッシャに渡してすぐに村から消えた。
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一先ず、私の私欲は満たされた。業務に戻らなければならない。
初めにやることはアニマッルと生命資源間のパスの復旧。
一応、簡易的ではあるが洋服の代わりに腕輪というスペアはある。
その腕輪をアニマッルに持たせて微弱でもアニマッルの能力を生命資源に送り込む必要がある。
腕輪は森の研究施設にある。
そこには骸骨人達もいるし、楽しんでいた銀河文明の研究に支障をきたしたことを携帯端末でも謝ったが、ついでに対面でも謝っておこう。端末越しでもかなり悲しそうだったなぁ。
ヘビの瞬間移動に、またお世話になる。常々おもっていたが、こんなに連発しても問題はないのだろうか?
「問題ないよ。まぁ、3次元体だと身体の一部を動かすことになるから、やりすぎると疲れちゃうけどね。」
そうだった。こいつ人の考えていることが分かるんだった。
別に答えの欲しくない疑問にまで丁寧に答えてくるのは余計なお世話である。
ピチャ、ピチャと研究施設に着いた時に違和感のある感覚を感じた。
その違和感の正体は足だった。いや、というより
「……何の液体…これ…。」
床に広がる鉄臭くて真っ赤な液体。これを踏んだことによる感覚こそが違和感の正体だ。
「紛れもなく血液だろうね。さっき見て興奮してたじゃないか。今更、疑問に思うまでもないだろう。」
……誰の血だ…。
「君にしては察しが悪いね。どう考えても君の言う骸骨人達の血じゃないのかい?」
こいつは本当に先に言った通りのことばかりしてくる。まさか、余計なお世話どころか、胸糞が悪いとまでは思わなかったが。
分かり切ったものはどうしようもない。冷静に研究施設の明かりを点け……ッ!?
「痛っ!?」
ボブの丸みのある後ろ髪を力強く引っ張られ、地面に倒された。
誰だ…?
「遊ぼうゼェッ!嬢ちゃんッ!」
私の上に馬乗りになって汚い声を響かせる男。こんな声、聞いたことないし、本当に誰だこいつ。
私の両肩を地面に押し付け、ベロベロと私の顔を舐め回す。
キンモッ!もう最悪なんだけどッ!
肩が動かないせいで、腕で振り払うことが出来ないし、太腿辺りも男の股間で固定されていて動けない。
「ヘッっっんっ!?んっ!んっん〜〜〜ッ!」
叫ぼうとした私の口に男は容赦なく舌を入れ込んで、私の舌と絡ませて、汚い粘液を口内に撒き散らす。
首をブンブンと振っても男の舌は寸分の狂いもなくついてくる。こいつかなりの変態だ。一体、何人の女の子を襲ってきた!?
「お前は普通だな。甘くもなけれゃ、すっぱくもねぇ、まるで生まれたてホヤホヤの赤ん坊みたいな味をしてやがる。」
気が済んだのか、私の口の中から男は舌を出し、今度は固定している股間を私の股に擦り付けてきた。
すごく、悪寒がする。非常に気持ち悪い。けど、頭は冷静だ。
ただ、口が開いた。ならばッ!
「ヘビッ!」
「ウガッ!?」
何処からともなくヘビが射出され、男の顔面に直撃する。
その威力は絶大で男は宙に浮いた後大の字に倒れた。
今だ…。普通なら、逃げ出す所なのだろうが。私は違う。このまま行けばこいつを仕留めれる。
丁度良い。ストレスもかなり溜まってるんだ。解消させてもらおう。
白目を剥いた男に近づき、両肩に手を置く。そして、左足をくの字に曲げ男の股間に膝蹴りをかます。
「アッガァァァァァァッ!?」
あまりの痛さに男の目が覚める。
無駄だ。私の膝蹴りは既に2発目が入る。
「アァアァァァァァアッ!」
3発、4発、5発……と男の股間に膝蹴りが入る度に男の絶叫が木霊する。
「……ゥ゙ア、なんで…笑っッてやがるッ?」
男の言葉に私の動きが止まる…。
私が笑ってる……?
「無意識ッてわけかッ…。」
男は股間を押さえ、悶絶しながらも言葉を繋ぐ。
「てめェ、モノホンの加虐嗜好だな。俺みたいなニセモンとはチゲぇ…。てめェは…無意識に加虐して、エクスタシーに至ることが出来る……ッ。なぁ、あるだろ?加虐している気は無いのに何故か多幸感で満たされた経験がよぉ!」
男はすっかり調子を取り戻し、私の前に立って、身体を大きく広げ私に問いかける。
…心当たりは…ある。つい、数時間前の出来事だ。……つまり、私は、
「…サディストってこと……。」
「最ッ高だ!なぁ!教えてくれよッ!どうやったらその境地に辿り着けるんだッ!」
男の声は高揚し、私との距離を詰め始める。
この時、私は男から悪意や敵意は感じなかった。それどころか、上手く使うことが出来れば利益を出せるのではと考え始めたくらいだ。
なるほど。こういうところが私がかく言われる所以か………。




