チエ3
「ねぇ、ドッシャ。地球のエネルギーを全部消費できるようになる方法ってある?」
手っ取り早い方法はこれだと思った。
ドッシャ、ミッズ、アニマッルはこの地球を創り上げた妖精達だ。
だったら、地球についてはこの妖精達が一番知っている。その中でもドッシャは大地、基盤を創ったんだから使い方は熟知している筈。
「建設的な方法は思い付かないっシャねぇ…。超大規模地震とかなら思いつくっシャけど…。」
それじゃ、本末転倒だ。文明を自分達の手で壊すことになる。
「でも、やろうと思えばできるの?」
「できるっシャ。やる必要はないッシャけどね。」
なるほど、それくらいのエネルギーはいつでも使えるわけだ。
ただ、使い方が分からない……。
「……チエ。お前、何をする気っシャ?」
悩んでいた所にドッシャの声が飛んできた。
「……この文明を救わないといけないんだ。」
ドッシャはふ〜んと軽い相槌を打つ。
これが本当のことだとは思ってはいないだろう。
それにしても分からないことが多すぎる。ヘビは恒星文明を目指すように言っていたが、その前に惑星文明なるものがあることを明言してくれなかった。
この情報は外で仕入れたものだ。うまいようにヘビを使い、携帯端末という道具を手に入れ、そこで検索をかけるとヒットした。
う〜ん。
場所を移動し、1人になって考える。
まずは、惑星規模のエネルギーを使いこなせないと始まらない。
地球の中央の熱を使ってエネルギーに変換し、そのエネルギーを何かに使うことができたら、それは惑星文明といえるのだろうか。
1人で考えても分からないか……。
「ヘビ〜。どうやったら惑星文明に到達できるか分かる?」
誰もいない無の空間に話しかける。
すると、光が一箇所で集まり、形を作る。
「君達の文明は既に惑星文明レベルだよ。だから僕は恒星文明を目指そうと言っているじゃないか。」
………クソが。こいつに信頼がないから、こんな無駄手間をかけることになったっての。
「未来人の言うことは素直に聞いておくべきだね。君達が僕ら基準の思考プロセスを持っていない以上、僕の発言を疑ってもしょうがないじゃないか。」
こいつの顔を踏み潰したい。人の失敗を糧に自分の正当性を証明するやつは悉く踏み潰してやる。
私は謎の決心をした。
「はいはい。恒星文明を目指せばいいんでしょ。といっても、私は宇宙すら見たことないけど。」
私はぶっきらぼうに言い放つ。
恒星文明は恒星のエネルギー、つまり、太陽のエネルギーを掌握できるようになった文明だ。この文明に到達するには未知の領域に足を踏み入れる必要がある。
碌なことにはならないだろうが、私にはやらないという選択肢は残っていない。
有耶無耶に恒星文明で検索をかける。
そこでヒットするのはカルダシェフ・スケールやダイソン球などの聞き覚えのない単語ばかり。
それらの単語の意味を調べてもピンとは来ない。ただ、恒星文明といえばダイソン球というつながりが少し見えるくらいだ。
ダイソン球か……。ざっと説明すると太陽を覆って、エネルギーを利活用しようという装置だ。
そもそも、太陽の周りに何かを存在させることが可能なのだろうか?
太陽はなんでもかんでも燃やしてしまう印象しかない。
それを打開する案もないまま何気なく画面をスクロールしていくと、『原理解明ダイソン球!』と題した検索結果が現れた。
半信半疑で覗いてみると、そこにはズラッと文字が書かれており、下の方に今後の課題が書かれている。
「システムは完成したものの、それを宇宙に打ち上げて、恒星を包むことができるような物質が見つからないか……。」
そんな時に偶然、宝石の殻をもったダンゴムシが私の前を横切る。
………これだ。これだわ!
私の脳裏に1%の閃きが訪れた瞬間だった。




