勝利
お陰様で800pv突破でございます!!
本当にありがとうございます!
かなり冷え込んで来ましたが、体調に気を付けて是非、エモーショナルセイバーを宜しくお願いします!
「あなたも哀しいの?」
姿を変えた巨大なヘビを見上げ、アイは問いかける。
「いや、これっぽっちも。君の実姉と同じ轍を踏むわけには行かないからね。」
「でも、あなたは哀しみを振りまく元凶だよね。だったら、排除しないと。」
アイは真っ直ぐと巨大なヘビの目を見据え、108の数珠の玉でヘビの周りを囲む。
「ハハハ。どう答えても詰みじゃないか。それにしても君の精神性には参ったね。自分がどれだけ心細くとも、何処かで何時か傷つく誰かを優先するんだからね。」
一斉に照射が始まる。
「まぁ、いい。既に認可は得ているし、今頃、文明消去が実行されているだろう。後はこちらの文明にそれが反映されるまでだ。であれば、何をしようが問題ない。やりたいことをやってしまおう。」
被弾しながら言葉を吐き、巨大な身体で天井を破って地上に出る。
その影響で天井が崩れ、大量の瓦礫がアイに降り注ぐ。
すると、108の玉は円形に集まり、アイの左腕に収まる。
数珠の房は雨のような瓦礫を貫いて伸び、地上に引っかかる。そしてアイを地上に引っ張り上げた。
アイは山のような瓦礫に当たったにも関わらず全くの無傷だった。
地上に上がり、再び数珠が切れ、バラバラに空中を漂う。
玉は全体的に傷ついているが、巨大なヘビが通ったであろう痕跡を辿り始め、アイは大きくなり、広がった房の上に正座する。
痕跡を辿り行き着いた場所はアイ達の村だった。
村では大地が唸りをあげ、巨大なトンボやハチ、カブトムシやクワガタムシなどが総力をあげて巨大なヘビを迎撃していた。
いくら未来の高度生命体と言えど3次元体では変幻自在の大地が原因で、まともに体制すら保てず、隙あらば昆虫達の攻撃が炸裂する。
そんな圧倒的不利な状況でヘビを消すことが目的のアイが加勢することになった。この時点で勝負は決したものだろう。
「最期に1つ質問なんだけど、チエさんの目的は達成されたの?」
房の上からアイが訪ねる。
「転移させること自体は彼女の望む通りだ。問題はその後だね。転移者たちは存在証明に悉く失敗し、消えてしまった。それに、例のシステムで耐性が付与されたお陰で本来は一瞬で消えれたものを時間をかけて消える羽目になったみたいだ。彼/彼女等は苦しかっただろうね。」
不利な状況には似合わない余裕たっぷりな返答に妖精達は警戒を強める。
だが、その警戒は杞憂に他ならない。
3次元体のヘビはこのまま行けば確実に死ぬだろう。ただ、3次元体のヘビはあくまで意識を即席の容器に入れているだけであり、容器が砕ければ意識は未来の身体に戻る。
未来に戻ってしまえば、時間軸から消去されたこの文明に戻ってくることは不可能だ。
それでもヘビに余裕があるのは一重に存在そのものが消えるわけではないからだろう。
「そう……。哀しい結果だね…。」
ヘビの不釣り合いな余裕に一切の疑問を抱かず、アイは感想を述べた。
「それも、あなたが招いたことだから、消えてもらうね。さよなら。」
「流石に土の精を潰すことは無理だったか。とはいえ、目的は達成しているんだ。あとは、精々、残された時間を楽しむといい。」
玉は全てヘビに接触し、慈悲も、憐憫も、容赦もない光線が外部から内部、そしてまた外部へと細胞を焼き払いながら突き抜けていく。
音もなく、静かに巨大な抜け殻は綺麗に瓦解していった。
残ったものは空中を漂う108の玉とそこに何かがいたことを示す土の跡だけだった。
「アイ。おかえりっシャ。」
事が済んだのを確信したドッシャはアイに向き直り、再会の言葉をかける。
「ドッシャも哀しいの?」
そんな言葉には目もくれずアイは単調に標的を変えただけであった。




