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700pv突破致しました!

読者の皆様!誠にありがとうございます!!


終わりが近づいて参りましたが、エモーショナルセイバーズをどうぞよろしくお願い致します!!


突進してくるクソ親父に身体から伸ばした蔓を巻き付け、私がいない方向に投げつける。


「さぁ、イカリ。反撃ブツよ。」


どうして…ショクブッツが……。


ショクブッツは倒れている私の背中に回り、ゆっくりと持ち上げながら身体から生えている草本を操り私の義足を作り出している。


「ショクブッツ!危険ですッ!ショクブッツまでやられたら……」


「大丈夫ブツ。権限は他の妖精に………って、全く。あいつらもとんだ馬鹿ブツねぇ……。」


急に言葉を変えて、苦笑するショクブッツの見ている方向を向くと、大技を連発し、反動で膝をついているアイちゃんの周りで沢山の植物達が影達を蹂躙している。


「あいつらもとことんイカリ達に心酔してたブツねぇ。自分達の意思でここまで来てしまうほどにブツ。」


言葉が出なかった。

ショクブッツどころか植物までも私達の手助けに来るなんて考えもしなかったのだから。


「おいおい。なんだよ、こりゃあ?ふざけんじゃねぇぞ!」


不機嫌な怒号が木霊する。

土煙を立てながら、クソ親父が起き上がる。


巨大な魚も私達に狙いを定めて浮遊する。


黒い影達は既に私の方に向かって走って来ている。


「また、命を奪う日が来るとは思わなかったブツね…。」


え?と私は目を丸くする。ショクブッツは今から人を殺す気なの……?


「イカリは怒りの感情だけを爆発させたらいいブツ。それ以外は考えたら駄目ブツよ。」


頭では分かっていた。今の状況でクソ親父以外殺さずに突破なんて出来はしないと。


トラウマで逃げちゃ駄目だ……。

ショクブッツ達の援護を無駄にしてしまう。


「覚悟を決めるブツよ。」


蔓で斧が持ち上げられる。


そうだ。確かに私は今、怒りの感情で一杯だ。あのクソ親父に対しても。誰一人救えない無力な私自身に対しても。 


だったらッ!


私は息を吐いて、力強く斧を握った。


「よくやったブツ!イカリは親父さんにだけ集中するブツよッ!周りはショクブッツに任せるブツ!」


言葉と同時に背中のショクブッツから大量の蔓や枝が伸び、私に接近していた影達の胸に突き刺さる。


「ごめんなさい。熱いですよ。」


「どんと来いブツ!」


肩からこれまでに出たことのないほどの勢いのある炎が噴き出す。


私の中の炎も確実に私を燃やそうと熱量を上げて、私の胸を焦がし始める。 


炎はショクブッツの蔓や枝にも燃え移り、揺れる度に火の粉が落ちる。


火の粉は風に乗って植物にも燃え移り、アイちゃんの周りは一面炎と化した。


これで、誰もアイちゃんに近づけない。


「なんだよ!俺が劣勢じゃねぇか!」


ヤケクソになったクソ親父は近くにいた影を私に投げつける。


「オネ――――」


1000度にも熱せられた斧は一瞬で鮮やかに影を切り裂いた。


「ごめんなさい。」


私はクソ親父に向き直り、炎を噴射して接近する。


「糞が!魚ァ!てめェもこっちに来やがれ!」


きっと巨大な魚がこちらに来るだろうが、私は気にしない。


「こんな形での再開は望んでなかったブツね…。サカッナ。」


ショクブッツが私を守ってくれる。


だから私はクソ親父に怒りをぶつけることだけを!殺すことだけを考えろ!


背中から伸びる蔓が周りの影を掃討するだけでなく、クソ親父の行動も阻害する。そのお陰で前みたいに簡単には逃げられない。


そんなクソ親父に灼熱の斧が振り下ろされる。


「糞がよぉぉぉッ!」


クソ親父は斧の腹を殴りつけ、間一髪で回避行動を取る。


斧を殴られた反動で私も殴られた方に身体が向き、足が浮く。その燃える脚を延長することでクソ親父に攻撃を当てることに成功した。


「ガぁぁッ!アチィ!」


超高温の斧に触れたクソ親父の拳の装甲も無事ではなく、角張っていた殴る面がドロっとした形状に変化している。


「それがぁ!これが!父親に対する態度かぁ!?てめェは俺の精子だろうが!調子乗ってんじゃねぇぞ!」


激情したクソ親父は装甲から黒い煙を出し始め、装甲の形を変形させていく。


「いくら同じオーバーテクノロジーでもよぉ!てめェらのおもちゃと俺の実戦用の武器じゃ格が違ぇんだよ!」


煙に巻かれてクソ親父の姿が消える。


炎を周囲に展開し、何処から攻撃してきても―――


「おもちゃの火が効くかってんだッ!」


「グッ……ッ…!」


炎の中からクソ親父の蹴りが私の胸に炸裂する。


咄嗟に地面に根を生やし大きく後退するのを防ぐことに成功したが、事態はかなりまずい。


何処から来るか分からない上に炎を掻い潜ってくる。つまり、斧で両断する以外に殺す方法はないわけだ。


「…何か…何かある筈……。」

目を凝らす――――――――黒い―――――ッ!


理解するより先に黒い煙が見えた所に攻撃を合わせる。

案の定、現れたのはクソ親父。

拳と斧が交わり、金属音と共に火花が飛び散る。


「チッ。」

舌打ちが聞こえる頃にはクソ親父の姿はない。

けれど、攻略法は分かった。後は何度も繰り返すだけ。


次―――右ッ!―――左ッ!正面!


後ろはッ!

大丈夫だ。


「グハァッ!」

ショクブッツがいる! 


ショクブッツから繰り出される丸太は頑丈で高速だ。

そんな物をモロに受けてしまえばまともに動けまい。


だから、身体を180°回して斧を振るう。


「え?」

そこにはクソ親父はいなかった。


「イカリ!上ブツ!」


ショクブッツに腕を支えられ、なんとかクソ親父の蹴りを迎撃することに成功した。


パリン


直後、斧が折れる。


クソ親父の攻撃を完全にいなすことは出来ず、クソ親父の足が私の頭を地面に叩きつけた。


衝撃で地面が爆ぜる。


痛みはない。


「――――ッ…。」


ゆっくりとクソ親父の足が私の顔から離れる。その足を私は掴んだ。


「―――ッッ!」


ショクブッツに支えられて立ち上がりクソ親父の足を持って何度も地面に叩きつける。


そして、壁に放り投げる。


炎を噴かせ、距離を詰める。その間にショクブッツがクソ親父に枝を突き刺し壁に固定する。


後は、クソ親父の腹に、この拳で穴を開けて殺してやる。


ゼロ距離。拳を構えて――――ガンッと重い金属が地面に落ちた音がした。


右腕があったところからパラパラと灰が落ちてくる。


チィ。なら、左腕でッ!


また金属音。


……そうだった。炎は私も燃やしている。


太ももも焼け落ちる。私とクソ親父を繋いでいたショクブッツの枝も灰燼に。ショクブッツも限界が近い…。


両肩も落ちて、私という燃料を失う炎は勢いを弱めていく……。


私は四肢を失って、クソ親父はまともに動けずに地面に倒れる。


あと一歩!あと一歩なのに!


私はッ!ここで燃え尽きて終わるのッ!?犠牲だけを払って、何も出来ずにッ!

嫌だ!そんなの嫌だ!ふざけるな!

動けッ!動けよッ!私の身体ッ!


炎で覆われた顔を上げてクソ親父を睨みつける。

顔が青ざめて呼吸すら出来ていない。

炎でも何でもいい!身体が動かないのなら何か別のやつでッ!


「イカリ。」

 

優しいショクブッツの声を聞いて私の頭には村での思い出が駆け巡る。


決して良いとは言えるものではなかったけれど、楽しかったし、嬉しかったし、なにより、愛しい人を見つけた。愛しい妖精さん達、愛しい自然達を。なにより自分にとって故郷と言えるものを見つけた。


かけがいのないものばかりだ。復讐が霞む程に…………。


復讐か……。誰にそんなこと望まれたんだろう……。お母さん?違う。お母さんにそんなことは言われてない。

私か……。でも、私はお母さんの為にやってたんだ………。でも、お母さんは私にそんなこと望んでない。

 

死に際のお母さんはとても笑顔だった。

「笑って、イカリ。」

そして、血塗れの石を私に受け取ってと言った。

その後の言葉から察するにお母さんは私に生きる為の資金を渡したかったんだろうか。


だとしたら、お母さんが本当に望んだことは…………。


「あぁ…なんだ。そういうこと…。気付けるわけないじゃん………。」


生きててほしい。きっとそう望んだんだ。でも無理だよ。あんな状況で。怖いだけだよ。


………私は死ぬ。何も出来ずに孤独に死んでいく。


「ごめんなさ―――」

「イカリは1人じゃないブツ!」


元気な声がして私の身体がゆっくりと持ち上がる。


背中から1本の黒くなった蔓を伸ばして2又に分けるとクソ親父を抱え、私を近づける。


望まれないとしても、やると決めたならやらないと。


「ゴッフッ……!」


クソ親父の腹には私自身が顔から突っ込んだ。


これで逃さない。


「アンガーデトネーション。」


イカリを起点に音が掻き消える程の超巨大爆発が起きた。


爆風がアイを掠める。


 ♥  ♥  ♥  ♥  ♥  ♥  ♥


「ごめんね。上手く伝わらなかったみたいで……。」 


聞き覚えのある声がする。瞼を上げるとお母さんが佇んでいた。


「でも、良かった。イカリの側で、守ってくれる人がいてくれて。」


さらに声は続ける。


「良い家族を持ったね。」


隣にはもじゃもじゃの髪でブツブツ言っている男の人。私とこの人の間には小さい男の子がいる。


あぁ、そうか。


お母さんの方を向いて満面の笑みで答える。


「私、幸せだよ。お母さん。」


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