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イカリ 〜哀愁〜3

お陰様で600pv突破!

さらに10月のpv数が200を超えました!


読者の皆々様!誠にありがとうございます!


この調子なら、1000pvも夢じゃないかもです!

今後ともエモーショナルセイバーズを宜しくお願いします!

怪物を見るような顔から、憎たらしいものを見るような顔に変わっていく。

この先生はロールケーキをあげた食いしん坊な先生だ。


今の先生にあの時の嬉しそうな顔はない。

「どう…どうして早く言わなかったのッ!?」


先生の裏返った声が私の耳に響く。


私は何も言わず、ただ、涙を流しながら先生を見つめる。


「何か、言いなさいよ!自分のやっていることが分かっているの!?」


先生は強い力で私の両肩を掴みグラグラと揺らす。


「……ごめんなさい…。」


私の言葉を聞いて、先生の力は次第に弱まり、まじまじと私の顔を直視する。


「多分、そのお腹じゃ、堕胎は無理よ。もう、産むしかないわ。そうなった時、あなたはお母さんになるのよ。あなたが拒んでもね。」


少し低い声で私に言い聞かせる。


でも、何か変だ。どうして私の心配なんてしているんだろう?


「いい?分かっているとは思うけど、先生の数はこれから極端に減るわ。だからあなたのサポートを常にできるとは限らない。あなたはね、今後、自分で考えて、正しい行いをしていくことが求められるの。」


そう、先生達の数が減る。つまり、先生達は職を失ってしまうんだ。たった1人。私のせいで。


「この件は私が他の先生と施設長に伝えておくけど、友達に言うかどうかはモモが決めなさい。それと、少しづつでいいからお金を溜めておくといいわ。携帯端末を使えば簡単に溜めることもできるでしょう。」


先生は深呼吸をしてゆっくりと立ち上がった。


え?これだけ……?

私が部屋に引きこもっている間考えていた展開は取り乱して、憎悪の籠もった声で私を罵倒し、最悪、私を殺すというものだった。

ずっと、そればかり考えていた。

…いっそ、殺してくれたら楽だった。


「……先生は私を殺したいとは思わないの?」

だって、私は何も悪くない先生達の未来を奪う悪者だ。施設を滅茶苦茶にする悪者だ。死んで当然の悪者だ。だから!殺意を持たれているに違いない!持ってないとおかしい!


「うふふ。なんでそうなるのよ。」


「え?」


先生が微笑んだのも驚きだったし、言葉の内容も驚きだった。


「私は…先生達の仕事を無くすんだよッ!皆で楽しく過ごした施設も滅茶苦茶にしちゃうんだよ!私のせいで私に関わった人達は皆、社会的信用を失っちゃう!原因は全部!全部!私!だからッ!」


先生はため息をついた後、優しく私を包んだ。


「誰が教え子を殺したいだなんて思うもんですか。それに先生達は立派な大人よ。自分の身に降りかかることは全部自分で対処してみせるわ。モモが気にすることじゃない。」


「でもッ!でもッ!!」


涙の流れる量は増えるのに、紡がれる言葉の量は減っていく。


「…じゃあ、せめて、その罪悪感を胸にしっかりと刻みなさい。そして、その感情をあなたの子供にもきちんと伝えるの。」

 

私は先生の胸でひたすら泣いた。ごめんなさいと何度も涙ながらの声で誤って、泣き続けた。

悲しいのか、嬉しいのか、悔しいのか、何なのかは全く分からない。そんなよく分からない感情で何も考えることができず、泣くことに全てを費やした。



 ♥  ♥  ♥  ♥  ♥  ♥  ♥  


数日して、先生達や施設長、そして私を含めて、私の部屋で会議が行われた。

内容は主に今後の施設の運営と私の処遇だ。と言っても、私の処遇はすぐに決まり、今後も施設が面倒を見ると施設長直々に決定が下った。


施設の運営体制はやはり、先生達を解雇していくしかないとのことだ。


子供の母数がかなり減り、信頼性が高い無人施設もある中で、わざわざ有人施設を選ぶ所はなく、その上、有人であるが故に国からの補助金が少ない。


そんな数少ない有人施設だが、インターネット上で公開している寄付ページに様々な人達からの寄付が集まっているお陰でギリギリ運営ができているのだという。


こんな状態で出産費用を出そうものなら多額の借金が必至。さらには養育税という0歳から3歳までの子供を育てる際にかかる税金も払う必要があり経営状態の悪化は逃れられない。


それでも施設長は最低、お腹の子が喋ることができるようになるまではなんとかすると言ってくれており、先生達も協力は惜しまないとのことだった。


感謝よりも罪悪感が勝った……。


 ♥  ♥  ♥  ♥  ♥  ♥  ♥


しばらくして、私は入院することになった。その費用は当然、病院持ち。解雇される先生も出たとのことだ。筆頭はロールケーキをプレゼントした先生だ。その先生は解雇後は寄付は欠かさないと言っており、本当に胸が苦しくなった。


私は入院までの期間中、先生に言われたように資金を集めるために様々なことをしたが、良い成果は得られなかった。



一ヶ月後


とうとう赤ちゃんが生まれた。


―――――私とは似ても似つかない青い髪――――



そうだ。思えばあの男に私達は滅茶苦茶にされた。


あの男に似た髪を見て、私はイカリと命名した。


―――――憤りと皮肉を込めて―――――

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