〜暗黒騎士〜 真相2
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今後とも、エモーショナルセイバーズの活躍にご期待下さい!どうぞ、よろしくお願い致します!
「ぬわああん。疲れたもおおおおおん。」
体感、6時間以上掛かったんじゃないかな?
開催場所の森に着いたけど、人の影が見当たらない。まぁ、そうでもないと○夢語録なんて吐けないし。
「あっれれ―?おっかしいぞー?」
いや、これ本格的におかしくないか!?ふざけてる場合じゃない。ツアーなのに案内人すら見当たらないんだぞ!
「騙された……?でも、誰が何のために……?」
怖くなって後退りをする。
「う〜ん。参加者は1人だけかぁ。」
「え!?」
急な声に振り向くとそこには○がいた。○が喋っている……!?
「まさか…ツ…」
「おめでとう。君の1人勝ちさ。150DMYを献上するから、付いてくるといい。」
そう言って、○はニョロニョロと森の中へ消えていく。こ、これは行くべきなのだろうか……。
「恐怖からの克服………。我が宿願…。生命を繋ぐ者の役割!」
姉ちゃんにも啖呵切ってんだ。そんな俺が止まれるかよ!
幸い○は白く光ってて見つけやすい。
急いで追いかけて、○の真後ろで追尾する。
「ハッハッハ。そんなに怖がらなくてもいいよ。ここには何もいない。全部掃除済みなんだ。」
何のことかはよく分からないが恐らく物騒な意味だ。何もいないって、一体何がいないって言うんだ……。
「うん。もうそろそろだ。よくここまで頑張ったね。そんなに小さいのに。」
○は安心させている気なのかもしれないが、到底無理な話だ。ここはアニメや漫画ではない。それなのにどうして○が普通に喋っているんだ。それに加えて俺の恐怖心を感じたらすぐに機能する筈の警告バンドが全く機能していない。
「さ、中に入るよ。」
○の声に反応して地面が開く。いや、綺麗に縦に割れていく?そう言った方が正しいのかもしれない。
当然、地中は真っ暗だ。そんな所に俺は入る根性があるだろうか……。ここに来てずっと足の震えが止まらないし、心臓が引きつったような感覚になっている。
「ハッハッハ。顔が真っ青じゃないか!まぁ、まだ、年端もいっていないんだ。仕方がないか。いいだろう。一緒に入ろう。」
○は大きくなって俺に優しく巻き付いてくる。不思議と恐怖心が薄れ始めた。
「大丈夫。安心していいよ。」
俺の顔の隣で優しい声色で○は言う。今の俺はたったそれだけでも楽になる感じがする。
「さぁ、入ろうか。」
○がリードして暗闇の中に入ってくれる。動く度に温かい鱗が俺と触れ合う。その度に俺は○に対する不信感や恐怖心を失っていったのだった。
「よし、着いたよ。」
「あ、ありがとう……。」
目の前の大きな扉が開き、奥には白い髪の女の子、姉ちゃんくらいの大きさだ。それと、紫色の髪をした大人の女性が座って作業をしているのを確認することができた。
それにしても、2人とも相当思い詰めていることがあるのか、顔が暗い。
「ツアーの参加者だ。報酬を頼むよ。」
「あ、あぁ、150万だっけ?ほいほい。」
女の子がため息をつきながら電子画面をポンポンと叩いていく。
チャリン
俺の携帯端末が金が入ったという合図の音を鳴らす。
「たった、1人かぁ……。まぁ、いいや。ようこそ。」
……ようこそ……?いや、俺はもうこれで帰れるんじゃ……?
「大丈夫さ。安心して聞くといい。」
この○がそう言うんならそうなんだろう。俺より、ここのことを沢山知ってるに違いないんだから。
♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥
「メールしたのに、全然帰ってこないんだけど!!」
もう、ご飯の時間から3時間以上経ってる。警察官にも相談済み……。あのバカ、何してんの!!
「……まさか、サイトがなくなってるとはね……。」
そう、ケンの言うようにシンが帰って来ないから迎えに行こうとしたんだけど、サイトが消されてて何処に行ったのかすら分からない状況…。警察も「そんなツアーは知らない」って言ってたし、確実に騙された……。でも、それでも警告バンドが反応して警察ドローンがすぐに駆けつけてくれるはずだし…………。ホントに、ホントにホントに何やってんの……!
目の前を警察官が通った。
「あの!シンは!見つかりますか!?」
あたしの言葉に警察官は苦虫を噛みつぶしたような顔をして渋々答えた。
「……シン君はね、ここから出た痕跡すらないんだよ……。だからといって、この家にシン君のバンドがあるかといったら、そういう訳でもない…。そして何処に行ったのかも分からない……。そんな状態で探せって言う方が無茶な話だよ。まるで魔法じゃないか。」
「そ……んな……。」
その言葉を聞いて、涙が止まらなくなった。だって、あれがあたしとシンとの最後の会話なんだよ!
あたしが……あたしが止めていれば…。嘘だって気付いた時に止めていればこんな、こんなことにならなかったのに!
ケンがあたしに寄り添ってくれて、抱き締めてくれる。そんなケンも震えていて、泣いていることが分かる。
お母さん達も完全にパニックになってて、あたし達に構っている余裕すらない。
こうして、あたし達とシンは引き裂かれた。