表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

愛のエモーショナルセイバー!

「ふぁ〜。」 

目が覚めると朝だった。キラキラな朝だ。だけど、少しだけ胸につかえているものがある。

「昨日、寝る前、何してたっけ?」

就寝前の記憶がない。別に大したことではないと思うけれど、なんとなく気になってしまう。

「特に何もしてなかったブツよ〜。」

「あ、おはようショクブッツ。」

「おはようブツ。アイ。」

ショクブッツ。名前の通り植物を司る妖精さん。植物全てを操ることができて、この村の家造りなんかにも協力してくれてる。私の家を造ってくれたのもショクブッツ。

草がモッサモッサ生えちゃってどこがどこなのかすら分からない見た目をしてる。大きさは多分30cmくらいかな?

本体は。というのも、ショクブッツに生えてる草は長いのもあって、それを合わせちゃうとすごい大きさになりそう。そんなのが浮遊してるものだから、村の子供達は怖がって逃げてたなぁ。

「何もしてなかったかぁ。あ!イカリちゃん起きてる?」

イカリちゃんはこの村に迷い込んで来ちゃった子。家族がいないって話だし、1人にさせるのも嫌だから同棲してる。それに、私よりも年下なんだもん。

「ブツ!そろそろ上がってくるブツよ〜。」

私の家は2階建てだ。とは言っても立派な建築ではない。大きな木に穴を開けて、必要な設備を設置している。大体そんなところだ。

「あ、おはようございます。アイちゃん。皆さんの分、終わりました。」

濃い青色の髪と澄んだ青色の瞳はまるで空と海のように美しい。私より年下なのに大人っぽさを纏いつつ、少しだけあどけない。そして、全体的に痩せてる気がする。この村に来た時からそんな感じだった。イカリちゃんは食べても食べても、太らない体質なのだ。

「おはよう。皆の分、ありがとう。でも、ごめんね、1人でさせちゃって。」

「いえいえ、早く目が覚めちゃったので。私達も朝ごはん食べましょう。」

「そうだね。食べよう。」

「朝ごはんブツ〜!」


朝ごはんはいたってシンプルだ。ホカホカごはんに納豆。そしてお味噌汁。具材は豆腐とワカメ。

「「いただきます。」」「ブツ!」

朝からあったかいものを食べると元気が出る。今日はこれから、体力を使うから、たくさん食べておかないといけない。

「プハ〜!おいしいブツ〜!」

ショクブッツの朝ごはんはお水だ。ショクブッツは何故かお酒を飲むみたいな飲み方をする。昔、皆がやってた飲み方が美味しそうに見えたんだろうか。

「イカリちゃん。ご飯足りる?」

「えぇ。大丈夫ですよ。そういえば、今日は何をするんですか?」

なるべくなら、秘密にしておきたかったんだけど、聞かれたなら仕方あるまい!

「ふふふ…。イカリちゃんが苦手なアレ。」

聞いた途端、嫌そうな顔になった。

「あ……アレですか………。」 

普段大人びてるイカリちゃんも可愛いけど、こういうイカリちゃんも可愛い。やっぱり、1人にしちゃいけないんだなぁって。

「イカリは自分のペースでやるといいブツ。あの、アンポンタンはこのショクブッツが滅多滅多にしてやるブツ!」

意気込むショクブッツと、そう言われて嬉しそうなイカリちゃん。そして、その様子を笑顔で私が見守りながら朝食は終わった。

「「ごちそうさまでした。」」「ブツ!」



後片付けを終えて、外出する準備をする。といっても、使い古してる白いTシャツに着替えて、水筒を用意し、念の為、草刈り鎌を持って行くだけだ。

「よし、行こう!」


目的地は小さな公園。やることは、勿論、草刈りだ。

「人間!遅いっシャ!これを見るっシャ!付近に住んでいる虫たちはもう草刈りを始めてるっシャよ!さっさと取り掛かるっシャ!」

いきなり怒声を浴びせてきたのはドッシャ。土とか、砂、石とかを司る妖精さん。大きさはショクブッツとほとんど一緒だけど、草が生えてないから、身体の部位がはっきりと分かる。頭が大きくて、体が小さい。二頭身あるかどうか。体は黒色でお顔は明るい茶色。目は石が入ってるけど、模様のお陰で目として見ることに違和感がない。背面は石が鱗みたいに覆ってる。そして、時間にタイトで、役割に対する責任が人一倍?妖精一倍強いんだ。

「ごめん、ごめん。朝ごはんで盛り上がちゃって。」

「口じゃなくて、手を動かすっシャ!今日はアッメが来るみたいっシャ。だから、いつもよりも急ぐっシャよ!」

本当はショクブッツがいるから、草刈りなんて必要ない。ショクブッツがうまい具合に植物を移動させればいいだけだ。でも、ショクブッツはめんどくさがり屋で、一気に植物を抜いて、適当な場所に無理やり植えちゃう。そうすると、地面も一緒に持っていかれちゃって、後処理がドッシャー曰く大変とのこと。だから、ショクブッツに任せるより、確実な人間とか、他の動物に任せるようにしたんだって。

まぁ、ドッシャがやってることは私達の為だったり、土壌管理の為だったりするから私達が口出しすることはあまりできないんだよね。

「イカリ!いつもながらペースが遅いっシャ!そして、そこには根っこが残ってるっシャ!」

「ごっ、ごめんなさい!」

イカリちゃんは細いからなぁ。1つ引き抜くのに私よりも時間が掛かっちゃう。それで、怒られちゃうから苦手なんだよね。一応、ドッシャも私よりも遅いペースを考えてくれてるんだけど、それにも間に合ってないからドッシャ、カンカンなんだ。あと、今日はアッメが来るからイカリちゃんのペースをもう少し上げて欲しいってのもありそうだけど。

「この、おマヌケアンポンタン!人間には人間に合ったペースがあるブツ!それを無視して、自分の都合を押し付けんなブツ!」

ショクブッツとドッシャは物凄く仲が悪い。だって、めんどくさがり屋な妖精と真面目な妖精なんだもん。それでも、ドッシャは私情を挟むことなく植物の生息地を提供してるんだから、やっぱりすごいなぁ。

「何も理解してない頭お花畑は黙っておくシャよ。ここにいる皆は決められたことを決められた通りに一生懸命こなしてるっシャ。1人だけ優遇なんてしたら他の皆に不公平っシャ。どうっシャ?ちゃんと分かったっシャ?」

言われた途端、ショクブッツは頭にお花を咲かせた。ごめん、これは流石に笑っちゃう。ドッシャも少し笑ってるし。

「い、いや、いいんですよ。ショクブッツさん。私が遅いのがいけないんですし。」

イカリちゃんだけ、困惑しながら申し訳なさそうにショクブッツを嗜めてる。

「物わかりがいい子は好きっシャ。そこまで分かってるなら、こんなどうでもいい言い合いに耳を貸してないで、手を動かして欲しいっシャ。」

「この分からず屋!」

高速で大木が飛んできて、ドッシャを吹き飛ばした。この2匹が揃うとよくあることだ。ここにいる皆は慣れっこ。

「イカリ。見たブツ?ああいうアンポンタンはこうやって捻じ伏せるブツ!」

ショクブッツの頭に咲いてるお花の数も多くなって、とても自慢気になってる。

「ど、どんな相手でも暴力はいけないと思いますよ……。」

「いいブツ。いいブツ。これくらいしないとあいつは懲りないブツ。」

ショクブッツが単にドッシャのことが嫌いなだけなんじゃないかなぁ?そんなことを思いながら自分の担当場所の草刈りが終わらせた。

「シャ。いい感じっシャ。終わった動物はまだ終わってない動物の草刈りを手伝って欲しいっシャ。」

いきなりヒョイと地面からドッシャが出てきた。ドッシャにとってはショクブッツなんて眼中にないのかもしれない。私達が小さかった時はやり返して、自然大決戦みたいな感じで男の子達が盛り上がってたなぁ。

「よし、イカリちゃん手伝おう。」

私は道中の虫さん達の分も終わらせながらイカリちゃんの場所へと向かった。



♡  ♡  ♡  ♡  ♡  ♡  ♡

 

 


黒きマントを風になびかせ、ただ独り、村から外れた丘に漆黒の影が鎮座する。

その目線は雨をもたらす妖精を捉えている。

「雨……か。手始めには丁度いい。」

漆黒の影はゆっくりと腰を上げ、腕を妖精の方へと向ける。

「毒牙よ!()の自然を蝕め!」

その一声と共に、紫色をした光線が放たれる。

「アメ?」

気付いた頃にはもう遅い。

光線は妖精へと到達し、妖精は毒牙により侵され始めた。

二頭身だった容姿は巨大な人形へと変容する。さらに、近くにいた風を司る妖精を取り込み、その自然は暴風雨へと化す。

「アアアアアアァァァ!」

甲高く空を裂くかのような声。この声に気付いた一匹の妖精は様子を伺いに行く。

「これは、マズイナリ……。」

その目に映ったのは水の身体に風の鎧を身に着けた自然を具現化した巨人が周囲の自然を乱しながら、彼女達がいる村へと足を進めている姿であった。



♡  ♡  ♡  ♡  ♡  ♡  ♡



「皆の協力に感謝するっシャ!なんとかアッメが来る前に終わらせることができたっシャ!」

皆の前に土がヒョコリと出てきて、一斉にお辞儀する。これはイカリちゃんの前にも出てきた。たとえ、仕事の効率が悪くても、仕事をしてもらったのだから感謝を示す。そこに私情は挟まない。こういうスタイルをずっと保ち続けてる。すごい責任感だ。

「後は、ショクブッツと一緒にやるっシャから、皆はアッメが来る前に帰るといいっシャ。」

この後は抜いた草や刈った草の後処理だ。こういった草はショクブッツがまた植えれる状態に修復して、ドッシャが指定した土地へと植える。

これは、修復さえしてしまえば植えるのはある程度適当でも大丈夫なためショクブッツだけでも出来るみたい。

「………皆、今日はなるべく強い木の中で過ごすブツ。今日のアッメ、なんか変ブツ。」

周りに不穏な空気が漂う。

「今日は一段と強いっシャね。今はアニマッルがアニマッルが不在っシャから特に人間は身の安全を第一に考えるっシャよ。」

「うん、分かった。ありがとう。」

そう、結構前からアニマッルが不在だ。アニマッルは一部の動物を司る妖精さん。元々は全ての動物を司ってたけど、役割をムッシーとサカッナに分けて今は虫と魚を除く全ての動物を司ってる。そんなアニマッルがいれば私達は傷ついても修復してもらえるし、死んでも生き返らせてもらえる。でも、いないと傷ついたら傷ついたままで最悪、死んだらもう助からない。

その上、アニマッルは今、弱ってる。

理由は単純で、妖精の状態は担当動物にも適用されるからだ。つまるところ、私とイカリちゃん以外のアニマッルの担当動物は弱りきって動くこともままならない。



ドゴーン!


大きな雷の音が近くで鳴り響き、雨がゴオーっと降り出した。

「おかしいっシャ。今日はカミナッリはこない筈っシャ。」

周りの虫さん達はさっきの雷で一斉に退去してる。

「アイ!今日は皆がいる家に帰るブツ!あそこなら、植物の皆が、」

「エエエエエエエエエェェェ!」 

「ヒッ!?」

何、これ。目の前に巨大な………。

「うわッ!」

地面がいきなり移動し始めて、私は体勢を崩した。きっとドッシャが家まで運んでくれるんだ。でも、強力な風が吹いて、私は吹き飛ばされる。

吹き飛んだ私は大きな葉っぱの植物にキャッチされて、皆がいる家の前に辿り着いた。隣にはイカリちゃんもいて、なんとか無事そうだ。



ドゴーン  ドゴーン  ドゴーン


大きな雷が立て続けに3回落ちた。

「何が、どうなってるの……。」

目の前に現れた巨人。きっとあれはアッメだ。アッメが怒ってるの……?


「エエエエエエエエエェェェ!」


アッメの声を思い出す。あれは怒ってるというより、助けを求めてるんじゃないの……?

「アイちゃん。家に入りましょう。服も濡れましたし、風邪ひいちゃいますよ。」

イカリちゃんもショクブッツ達を心配そうにしてるけど、ドッシャが言ったように身の安全を優先してる。

「アッメは助けて欲しそうにしてた。私はそれを見捨てるなんて嫌だ。」

イカリちゃんが私の腕をギュッと掴む。

「アイちゃん。それは私も気付いてます。でも、私達が行った所で解決なんて出来ません。自然の猛威には私達、人間は無力なんです。」

それは分かってる。それでも私が行かないと。

家がギシギシと音を立てる。ショクブッツが疲労してきたのかもしれない。

このままじゃ、きっと誰かがやられちゃう。

妖精がやられちゃうと、担当してる自然全て死に絶える。そんなの嫌だ。

「それでも。それでも私には行く理由があるんだ。私はこの自然が大好きだから。この自然を愛してるから。この自然を失いたくない。大丈夫!私は生きて戻って来るよ!」

私は真っ直ぐとショクブッツ達がいる方を向く。

「駄目です!アイちゃん!」

イカリちゃんの力は強くなったけど、私の腕の力には敵わなかった。

「じゃ!行ってくる!」

強く地面を踏んで、私は走り出した。

「アイちゃーーーーん!!」

涙声になって、声を枯らしながらイカリちゃんは私の名前を叫ぶ。

本当に心苦しい。だけど!私はアッメを助けるんだ!

向かい風に負けないように一歩一歩を力強く踏み出す。

「はぁ、はぁ、はぁ。」

近づくにつれて風の勢いが増してくる。息もしづらい。降りかかってくる雨も痛い。でも、走り続けないと。立ち止まったら、飛ばされる。

急に突風が吹いてきて、身体が宙に浮いた。今回はショクブッツやドッシャのフォローはないから、背中から地面に思いっきりぶつかる。

「ゴホッ…。ッ………ハァ……。」

息が………。十分な空気が吸えない…!

たとえ痛くても身体を無理矢理起こして、一心不乱に走り出す。速度はさっきよりも落ちてるし、視界が暗い。服も水を吸い続けてかなり重くなってる。

「わ……たしはぁ……ハァ………た…すけるん……だ……!」

何も…失わせない!私が守ってみせる!

「だって…ハァ……ここを………ハァ、ハア………愛してるんだから!」



アイはこの時、災禍の真っ只中にいた。当然、3匹の妖精に気付かれ、下がるように言われる。けれどアイには聞こえない。

そんなアイに自然災害が如き巨人の拳が襲いかかる。

アイの頭部に拳が到達せんとする刹那、アイの肩甲骨辺りがピンク色に発光し、その光がアイを包みこんだ。

光の内部でアイは回復し、背中に機械仕掛けの弓が顕現する。

光が霧散し、巨人の拳が弾けた。

現れたのは、黒髪のボブ、黄色の瞳、濡れたTシャツ、濡れたジーンズを身に着け、弓を持ち、背中がピンクに発光している少女。

殆ど変化していないアイである。背中と弓以外に変化点は見られない。

あくまで、外見だけの話だが。


「誰かを思うハートの気持ち!『愛のエモーショナルセイバー』!」



ハートを手で手で作って、なんかポーズを取りたくなっちゃった。

「アイ……それは何ブツ?」

「私だって聞きたいくらいだよ!」

「アイ!ショクブッツ!来るっシャ!」

巨人の足がものすごい速さで襲ってくる。私は逃げるために足を動かしたけど間に合……………った?

私は巨人の足に当たらずに避けることが出来た。

「すごい……これなら…助けれる!」

巨人の方を見ると、巨人の胸に青色の光が2つ灯っている。

「あれは……アッメとカッゼ?2匹とも苦しんでるの!?」

ただ光ってるだけだけど、私には苦しんでいるようにしか見えない!

「アッメ!カッゼ!今!助けるからね!」

光を目掛けて一直線に飛び込む。

「うわッ!」

巨人は私の進行方向、つまり、自身の目の前に竜巻を出した。竜巻に乗って、上空へと投げ出される。 

そして、なんと空から濁流が降ってきた。

「え?」

濁流に呑まれ、地面に叩き落とされる。でも地面はふかふかだ。

芝生が生えて、土そのものが柔らかくなってる。

「無茶をしたら駄目ブツ!」

ショクブッツとドッシャだ。

「ごめん!ありがとう!ショクブッツ!ドッシャ!」

「それより!どうしたらいいっシャ?アイ!」

多分、妖精にはあの光が見えない。だからドッシャは解決法を知ってそうな私に聞いたんだ。

「胸に光があるの!それがアッメとカッゼ!それを救えば2匹は戻って来ると思う!」

「それはアイ以外見えてないナリか!?」

2匹の妖精は悔しそうにコクリと頷く。やっぱり、見えてないんだ。だったら、私しか救えない!

「援護するナリ!2匹をお願いナリ!」

「任せて!………でも、この状況じゃ、」

巨人は竜巻を大量に展開して、地面に穴が開くほど強い雨を降らせて来た。さらに、そんな状態で近づいて来るから、私は逃げる以外にできない。

どうにか、ショクブッツに大きな葉っぱを生やしてもらって、それを何枚も重ねて、雨からは身を守ってるけど、いつまでもつか分からない。

「こっちも、攻めないと。」

弓を構えると、自動で光の矢が装填される。その矢を引っ張って、手を離すと、その矢は飛んでいって巨人の腕を霧散させた。でも、自然には自分で元に戻る力があるから、一時したら腕は元に戻る。

「その弓で、足を射抜くっシャ!」

上手いように土で盾を造りながら、雨の音に負けないくらい大きな声でドッシャが助言をくれた。

その通りだ。足を狙えば、一定時間は動きを止められる。その間に一気に突っ込んだ方が近づける可能性が上がる。

「いっくぞぉー!」

矢を4本一気に放つ。竜巻が邪魔で巨人の状態が確認できない。


ドゴーン!

「いけるナリ!足を失って地面にうつぶせナリ!」

「ありがとう!」

カミナッリが確認してくれた!このチャンスを逃せない!

銃弾のような雨をショクブッツが操る大きな葉っぱで防ぎながら、ドッシャが高速で地面を巨人の方へ動かす。

竜巻の前まで来た。今、私が思い浮かべてる方法で突破できるかなんて分からない。だからといって失敗のことを考えてもどうにもならない。結果が分かるのはやった後だ!

大きな葉っぱを使って、竜巻に乗る。

その竜巻には予め、ドッシャが造ってくれた踏み台がある。それを捕まえて、足を乗せるとすぐにカミナッリが雷を落としてくるから、それと同時に

「私が!飛ぶ!」

ドゴーン!

タイミングはバッチリだ!推進力は私が足で踏み台を飛ぶより、強い!なんたって、そうなるようにドッシャが造ってくれたんだ!


高速で巨人の方へ落ちていく。かなりの風圧が来て、この身体でも息のしづらさを感じる。だからといって助けれないなんてことはない!

私はしっかりと弓を構える。 


「ラブリーエモーショナルシャワー!」


矢の射出方向に大きな魔法陣が形成され、そこから無数のピンク色の光の矢が巨人に向かって射出される。

矢の雨の中にアイが入り、両手を広げて、2匹の妖精を抱きしめた。

「これで、もう大丈夫だよ。」

巨人の姿が消えると共に無数の矢もパッと消える。その場にいるのはアイと2匹の妖精。暴風雨は止み、穏やかな雨と心地の良い風に変わる。

「ありがとうアメ!」

「ありがとうカゼ!」

やっぱり、アッメとカッゼだった。あんなに苦しそうだったけど、今は元気そう。私の力のお陰なのかな?

「アイーー!無事ブツかー!」

ショクブッツが他の2匹を連れてやってきてる。よかった。3匹とも無事っぽいや。

「うーん!大丈夫だよ!アッメとカッゼも無事!」

やってのけたよ。イカリちゃん。私達人間も自然が仲間にいれば、無力なんかじゃないよ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ