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19 決闘者


「あ!魔力ゼロ才能ゼロのフタバさん!また魔術ギルドを訪れたということは、論文の題材になってくれるのですか?」

「今とんでもない罵倒をされた気がするな?まあ、勝手に書いてくれる分にはいいですよ。ただ一つ、代わりにお願いしたいことがあるのですが...」


...

......


ある日の早朝。私は転生初日に入った裏路地を、荷車を引きながら進む。

フライドポテト屋を経営してかなりの稼ぎを出した。今こそ、それを還元する時だ。


「お、あの姿は」

私は初日の逃走劇を思い出した。


「おねーさん!どうしたの?」

嗅覚がいいのだろうか。獣人の少女は私を迎えに来てくれた。そして、足の怪我が治っている。跡が残らなくてよかった。


「あなたが住んでいる場所に案内して欲しい。そこで炊き出しをしたいんだ。」

「ホント!?ありがとう!着いてきて!」



私達はスラムへ入った。ひどい居住空間だ。こんなところで...いやそう考えるのは彼女らの尊厳を侮辱することになるな。

この光景を見て、私は改めて決意を表明する。

「誰もが飯に困らない、パラダイスみてぇなスラム街を作りてぇ。」


そして私は老若男女が集まってくるの中、芋を揚げ始めた。

メニューはフライドポテト、コッコ肉のトマト煮。自作料理に限っては味変してもいいというスタンスにしているので、『制作物の美味しさ<2倍>』を発動している。


そして皆は食事をゆっくり味わうように食べてくれた。やはり、美味しく作るに越したことはないね。


さてと。

炊き出しをしたところで貧しい状況は改善されない。だから、根本を断たねば。


「この辺りの子供達を集められる?お金儲けの方法を教える美人なお姉さんが来たって。美人を強調してね!」

私は獣人の少女にお願いする。


すぐに子供達が集まってきた。100人はいるな。

「いうほど美人か?」

「クレイジーなムラサキ頭だ...」

「平たい胸だ。俺たちより貧しいのかな。」


なんか聞こえるけど、ここは大人の対応をしよう。

「るっせーぞクソガキ!あっ間違えた...諸君、ビジネスをしよう。儲かるビジネスを!」


ふぅん!『子供達の手の器用さ<2倍>』発動!


子供達に呼びかける。

「手が器用なやついます?稼ぎ方を教えますよ。」

「盗みか?任せてくれ。」

「いやそういうのじゃなくてね...」


私は均等に分けた木版と彫刻刀を用意する。その間に数十人が集まって来た。

「あ!これ版画をするのか?」

「知ってるのか。なら話は早い。」


続けて魔術ギルドから持ち出した魔物図鑑を取り出して、中にある絵を子供達に見せる。

「この図鑑に載ってる魔物を木板の上半分にだけ彫って欲しいんだ。本は汚さないでね。借り物だから。」

「分かった。やってみる。」


私はまた呼びかける。

「文字書けるやついます?稼ぎ方を教えますよ。」

「特殊詐欺か?任せてくれ。」

「いやそういうのじゃなくてね...」


私は集まった数人に、事前に彫った木版を見せる。

「魔物の版画の下スペースにテキストを彫って欲しいんだ。ただし左右反対向きで。できそう?」

「この呪文とか攻撃力2000ってなんだ?まあ、何度か練習すればいけると思う。」

「よし、頼んだ。」


懐かしいな。図工の時間にやった版画は。

私は小学生の頃、彫刻セットのデザインを一番カッコいいやつにしたが、まさか中学生になってからも"DEVIL BRACK DRAGON "のお世話になるとは思わなかったよ。お母さんには無難なのを選んどきなさいって笑われたっけな。


「ムラサキのおねーさん、私たちは何をすればいい?」

「おっと、そうですね...」

最後に、私は黒板を荷車から取り出して呼びかける。

「他は全員集合!文字を教えます。稼ぎになるかは分かりません。でも頭が良くて損はしませんよ!」


私は転生する際に言語能力を習得しているため、この世界の文字を教えることができる。

だから子供達には頭が良くなる単語をたくさん教えてあげよう。


「続けて読んで。強靭!無敵!最強!」

「「「きょうじん!むてき!さいきょう!」」」

「粉砕!玉砕!大喝采!」

「「「ふんさい!ぎょくさい!だいかっさい!」」」


計算も教えておこう。

「攻撃力4000のオークが攻撃!それを防御力5000のゴーレムがブロック!勝つのはどっちだ!?」

「「「ゴーレム!」」」

「正解!じゃあオークがパワーアタッカー+2000だった場合はどうなる?」

「「「オークが勝つ!」」」

「パーフェクトだ!お前らは東大に行けッ!」



昼頃に、子供達は木版を持って駆け寄ってきた。

「できたぞ!」「こっちも!」

「はやっ。しかも私より上手い。」

私は子供達と違い、細かいテキストを左右反対に掘ることを苦戦した。やはり小さな手は細かい作業に向いている。


「版画にしては小さいし、よく分からない文章もある。これでどう儲けるんだ?」

子供の一人が疑問を示す。


「大丈夫。後少しで飯のタネが完成だよ。」

ここからは私がやる。

彫った木版へ墨汁を塗りたくり、厚紙に押し付ける。これで魔物の絵とテキストの写った厚紙になった。裏面には渦巻き形デザインの木版スタンプを押し付ける。


後はハサミでチョキチョキと切り取れば...


「はい!3マナ、攻撃力1000、コッコのカード出来上がり!」

「「「お、おお?」」」

子供達はピンと来ていない。カードゲームは一枚じゃできないからね。

それから私は『作業効率<2倍>』によって、流れるように40枚×2セットのデッキを作り上げた。


そして『解説力<2倍>』発動!コスプレ装着!


「これよりデュエル・マモノーズのルールを説明するッ‼」


挿絵(By みてみん)

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