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初めての共闘


「ふ、ふふふ……私のタックルを避けるとは、さすがはサトウさんですわぁ……」


 ぶつけた鼻を押さえながらカレンさんがフラフラと立ち上がる。痛そうなのになぜか嬉しそう。ていうかタックルだったんかい。


 そしてこちらをロックオンするかのように両腕を広げて、今にも飛び掛からんという態勢をとった。諦めが悪いな!?


「ちょっと落ち着いてください。とりあえずこれどうぞ」


 落ち着かせるためにポケットからハンカチを取り出し、カレンさんに渡す。鼻血は出ていないみたいだけど顔が汚れてしまっていて、せっかくの可憐な顔が台無しである。


「あ、ありがとうございますっ。一生大事にしますわ」

 

 あれ、おかしいな? 俺のハンカチがカレンさんのポケットに吸い込まれていくぞ?


「ええと、それでカレンさんはどうしてここに?」


 華麗にスルーしつつ疑問を投げかけてみる。


「それはもちろん、サトウさんに再びお会いするためですわっ!」

「は、はぁ」


 もちろんと言われても、なにがもちろんなのか分からない。そういえばついさっきサインをねだられたけど……もしかして誰かと勘違いされてる?


「あの、もしかして誰かと勘違いしてませんか?」

「???」


 コテンと首を傾げるカレンさん。

 

「いやそんなキョトンとされても」

「勘違いなんてしてませんわよ? だってサトウさんがあのブログを書いているんですわよね?」

「そうですけど」

「ということは、ルナスターズを助けたのもサトウさんですわよねっ?」

「は、はい」

「つまり、サトウさんはジャパニーズニンジャということですわよね?」

「???」


 今度は俺が首を傾げる番だった。

 どうやらカレンさんの中で俺=ジャパニーズニンジャという構図が完全に出来上がってしまっているようだ。……まぁ、俺が適当に嘘をついたのが原因だから自業自得なんだけど。


「ところで、サトウさんはどうして一人なんですの?」


 と、ここでカレンさんが俺に直球どストレートを投げ込んできた。ダンジョンは普通、パーティを組んで潜るもの。だから俺が一人なのが不思議だというのは分かる。


 分かるがっ……! 心の傷は深い。


「それは……ニンジャだからですよ……」

「まぁ! さすがですわね!」


 俺の言葉になんの疑問も持っていなさそう。

 カレンさんが純粋、無垢、純真すぎて心が痛い。

 今なら高級な壺を買わせられそうだ。これがニンジャになるのに必要なのですよ、とかなんとか言って。


「というか、カレンさんってめちゃくちゃ強いんですね」

 

 アークエンジェルを一撃で倒していたし、無駄な動きがほとんどなかった。あの疾さは相当の実力者と見た。

 

「むふふ。サトウさんに褒めていただけて嬉しいです。ですが、あのブログの情報があったからこそなんですのよ?」


 カレンさんはドヤ顔で胸を張っている。ぷるんと揺れる。なにとは言わないが。


「お役に立てたようでよかったです」

「はい。それでサトウさん、これからどうされますの?」

「今日はもう探索は切り上げて、帰ろうかと思っていたところです」

「まぁ……!」


 目がキラキラ。なにか嫌な予感がする。


「……あの、おうちにお邪魔しても?」

「誰のですか?」

「もちろんサトウさんのおうちですわ」

「ダメです」

「なっ……!?」


 そりゃあ……ねぇ、ダメでしょ。

 今日会ったばかりだし、俺はカレンさんについて何も知らないし。今分かってる情報といえば、【エレナさんの姉】【実力のある探索者】【ちょっとドジ】くらい。


「まだカレンさんのこと全然知りませんし」

「これから知っていけば大丈夫ですわっ」

「エレナさんに怒られそうですし」

「私から言っておきますわっ」

「部屋、散らかってますし」

「私が片付けますわっ」

「お金ください」

「あげますわっ! いくらですのっ!?」


 この人、やっぱりダメかもしれん。いつか絶対悪い人に騙されそう。

 エレナさんに注意するように言っておかないと(使命感)。


「とにかくダメです。それにカレンさんは可愛いんですからそんなこと簡単に言っちゃダメですよ」

「か、かわっ……!?」


 財布から何枚かのお札を取り出そうとしていたカレンさんが、顔を真っ赤にして動きを止めた。


「それじゃ、また」

「可愛い……かわ……」


 完全に機能停止したカレンさんをおいて立ち去ろうとする。しかしその時、俺は二つの気配に気がついた。


 第一階層に現れる《アークエンジェル》が二体、こちらに気付いてやってきている。そりゃこれだけ騒いでたら気付かれるか。


「カレンさん、しっかりしてください。敵が来てます」

「はっ……! ホントですわね……!」


 緩んでいた顔をキリッと引き締めたカレンさんが武器を構える。切り替えが早い。かなりの修羅場を潜ってきているのだろう。


「ここは一つ、協力といきましょうか」

「も、もちろんですわっ! サトウさんのお背中、私がお守りします!」



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