表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26年の再生  作者: 鯵のNo.付け
2/5

冬の日本海

 博多を発車した『まつかぜ2号』は工業地帯へと進み、小倉に到着した。

 小倉にも博多と同じく新幹線ホームの工事が追い込み段階となっていた。同じ福岡県内の都市であるが、博多とは雰囲気が全然違う。日本の鉄鋼業を支える誇りが感じられる。それにしても、博多・小倉両駅名は市名ではないというのも特徴である。

 小倉の次の門司を出ると九州ともお別れである。

関門トンネルから地上に出ると、そこは本州・下関である。そして日本海側へと進んで行く。

「今から切符を拝見致します。乗車券・特急券をお手元に御準備お願い致します。」

 長距離列車定番の儀式が始まった。

「お、大阪まで御乗車ですね。」

 車掌さんが私と忠さんの切符を見て少しびっくりしたようである。あくまで「少し」である。山陰本線経由で博多-大阪間を通し乗車するなど、世間一般で考えて乗客にメリットは殆どない。あるとすれば岡山での新幹線乗換が不要な点位である。新大阪-岡山間は約一年前に延伸開業し、博多延伸開業迄の期間は大抵乗換が必要となる。であるからと言って、わざわざ日本海側を迂回して直通特急に乗る人など一部の物好きだけ言っても過言ではない。即ち、私はその「物好き」の一人である。

 

昼飯時が近付いてきた。忠さんと二人食堂車へと向かった。この食堂車はエンジン付きであるが故、良く揺れる。

 食事する側は少し食べにくいが、調理する側は非常に大変かと思う。防火上の点からガスコンロは設置されていない。揺れる車内にて火力の高くない電気コンロでの調理、同業者として色々ときにしてしまう。

 注文していたミックスフライ定食が運ばれてきた。実に美味しい。厨房での苦労が伝わってきたように感じる。食堂車の車窓には波荒れる冬の日本海。店の皆は元気にやっているであろうか、還暦越えて昔より風邪ひきやすくなった父が体調崩していないであろうか。そう思いながら東へ進んで行った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ