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初心者講習

商店街に着いた俺は、最初に防具屋を探して路面店を覗いた。

目ぼしいのが無いか確認していると店の元気なおばさんが


おばさん「お兄ちゃん、初心者だね?ならこれなんてどうだい!このマントと革靴セットで銅貨6枚で良いよ!」

とおばさんは勧めてきた。

俺の手持ちは銀貨2枚。

この世界の貨幣価値は


銅貨10枚=銀貨1枚

銀貨10枚=金貨1枚

金貨10枚=神貨1枚


ちなみに相場は薬草1枚=銅貨1枚。

普通の宿屋は素泊り銀貨1枚、朝晩食事付きだと銀貨2枚になる。

ドリスの家に泊まれるから基本食事代が有れば何とかなるが銀貨1枚は残しておきたい。

勧めてきた物の隣に厚手の布で出来た冒険者風なベストとズボンがあったので少し値切ってみることにした。ゲームでは無理でもリアルならワンチャン試してみる。


俺「初心者だから一通り揃えたいんだけど手持ちもなくてね〜。隣にあるその服とズボンも付けてくれたら銀貨1枚で買うけどどうかな?」


おばさん「お兄ちゃん、そんなに安くしちゃあウチも商売上がったりだよ!ん〜ヨシ!靴と服とズボンで銀貨1枚でどうよ!」


俺「買った!」


おばさん「まいどあり〜!また稼いだら来ておくれよ!」

俺は銀貨1枚を渡して3点を受取り片手を上げて挨拶して店を後にした。

一度ドリスの家に行き、買った服に着替えてみると勝手にサイズがピタリと合い靴もフィットした。

ドリスから貰った服は自分で裾上げや袖を捲らないと丈が合わなかったのにどうなっているのかと不思議に思っていたが、分からないのでとりあえずステータスに変化があるか確認してみた。




名前:タイチ  性別:男  種族:人族  属性:闇

ジョブ:冒険者

レベル:1(10)


装備 

体上:厚手の服  

体下:厚手のズボン  

靴:冒険者の靴


力:2

素早さ:2(1)

体力:2(2)

智慧:3

器用:2

運:1

HP:10

MP:2


スキル:無し



防具分少し上がったね。


魔法職を目指す俺にとって武器はそれほど重要では無い。

そこそこ時間が経ったので先ずは講習を受けねばとギルドに戻った。


ギルドに入って先程の女性に声を掛けた


俺「タイチですが、初心者講習を受けに来ました。」


受付「タイチさんですね。後10分程で始まりますのでそちらのドアから地下に降りて訓練所で待っててください。」


俺「わかりました。」

受付の女性がカウンターの横にあるドアを指差して案内したので、それに従いドアを開けて地下の訓練所に向かった。

地下5階分位の階段を降りて真っ直ぐな廊下を抜けると広いドーム状の空間があり視線の先では冒険者達が模擬戦を繰り広げていた。

外の方には大小様々な的があり、魔法や弓の練習をしている人もいた。

受講時間までやる事も無いので模擬戦を鑑賞していると俺と似た様な感じの人達が4人入ってきてすぐにドリスが現れた。

すると模擬戦をしていた冒険者達が手を止めて互いに握手をした後に訓練所から出て行った。

的当て練習をしていた人達もドリスに気付いて訓練所から出て行き、ドリスと俺達だけになった。


ドリス「これから初心者講習を始める。講師は俺、ドリスだ。知ってるとは思うが一応ギルドマスターをしている。よろしく頼むな!

これから受講者の名前を呼ぶから呼ばれたら返事をしてくれ。

まず、アリサ。」


アリサ「はい!」

身長170位で赤いショートヘアーの活発そうな女の子。

目鼻立ちも良く育ちが良さそうな感じがする。


ドリス「カイン」


カイン「はい。」

身長は俺と同じ180位で銀髪のオールバック、ガタイの良い男。

顔は…まぁ男に興味はあんまり無いからスルー。


ドリス「グリン」


グリン「はい!」

身長160位でチリチリ頭の男。

手足は太く、ドワーフでは無いか?


ドリス「ジーク」


ジーク「はい」

身長は俺より少し低い位の赤髪短髪の色黒な男。

細マッチョで顔もまぁ良い方では無いかな?


ドリス「タイチ」


俺「はい」


ドリス「5人とも初めてだな。まずそこの箱に受付で確認した武器を用意したので受け取ってくれ。講習は今から90分間行う。途中10分休憩入れるから実質80分だな。みっちり鍛えてやるから覚悟する様に!

では最初に40分間ひたすら俺と鬼ごっこだ。武器を使って反撃しても良いからな!10数えたら始まるぞ。ちなみに捕まったらウサギ跳び訓練所一周な!では、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1」


ドリスが数えている間に5人とも一斉に散開した、訓練所の広さは縦横100メートル位の広さはあり、ドリスが訓練所の真ん中にいるので皆50メートル位は離れた。

ドリスは数え終わるのと同時に周りを見渡し一人一人の位置を確認し終えると凄い速さで走り出した。

最初の標的はカイン。

カインはドリスの左側に居て向かって来るのを確認したら慌ててカインから見て右側に逃げ出した。

カインの逃げる方にはアリサが居た。

アリサはカインが近づいて来るとカインから逃げる様に右側に走り出した。

ドリスはカインの逃げる方に先回りする事無くスピードはそのままにカインを追いかける。

アリサはカインから逃げる様に走る先にジークが居て、ジークもアリサから逃げる様に走ると先にグリンが居る。

グリンがジークから距離を取ろうと助走を始めるのを見てドリスを見るとカインとアリサを捕まえていた。

勢いそのままにジークに向かっていくドリスだか、ジークは諦めたのか武器である斧を持って構えた。


ジーク「チクショー!こうなったら一矢報いてやる!」

叫びながら斧を横凪に振るうとドリスは斧の上を人間魚雷の様に飛び越え、ジークの胸にダイブして捕まえた。


ドリス「ウサギ跳び!」

と大きな声でジークに叫ぶと同時に俺とグリンの間に向かって走ってきた。

グリンは慌てて先程助走したとは逆方向に走り出したが、俺は腰を落としてギリギリまでドリスの狙いが定まるまで待った。

するとドリスは右足を蹴って俺の右側に回り込もうと動き出したので、俺は逃げずにドリスを正面で迎え撃つ様に身体を右側に向けた。

ドリスはそんな俺を見てニヤリと笑って突進してきた。

ドリスが近づいて右手を伸ばしたので咄嗟に左手でドリスの手をはたき、左側に身体をずらしてドリスを躱した。

ドリスは止まる事無くそのままのスピードで今度はグリンに向かって行った。

グリンとの距離は結構あったがドリスのスピードが早すぎるのでものの数秒で追いつき、襟を掴まれていた。

ドリスはさっきと同じ場所にいる俺を確認して走り出した。

俺は先程と同じ様に避けようと身構えていると、ドリスが俺の少し手前で止まってゆっくりと歩き出した。

腰を落として両手を広げて近づいて来るドリスに何か逃げる方法をと考えるが手立てが無く、そうこうしている内にドリスの手が伸びて来てあっさり捕まった。


ドリス「最初に躱したのは見事だったぞ!ウサギ跳び!」

笑顔で背中をバシッと叩かれた。


その後も鬼ごっこは続き、40分の殆どがウサギ跳びの時間となったのは言うまでも無い。


ドリス「10分休憩!」

休憩時間は全員大の字に寝転んで肩で息をしていた。


ドリス「休憩終わり!これから武器の扱い方を教えてる。先に物理系を説明するからタイチはあっちの的の方に行って待っててくれ。」

そう言って俺以外の4人はドリスと訓練所の真ん中の移動していった。

俺は言われた通りに的がある方に歩いて行き、的に着いたら座ってドリスを待っていると


ドリス「待たせたな。ではロッドについて説明する。ってもロッドに使い方なんて殆ど無いんだよなぁ〜。」

頭を掻いて困った顔をしている。


ドリス「とりあえず、魔力を掌に集める練習しろ!MPあるはずだからできるはずだ!今から見本見せるから真似してみろ。」

と言って両手をお椀のようにすると青白い光の球体が浮かび上がった。

俺も同じ様に両手をお椀のようにするも何も起きない。


ドリス「自分の中にある力を集める感じだ!個人毎に感じ方が違うから説明しづらいがコツを掴めばすぐだ。色々試してみろ!」

そう言ってまた他の4人の方に戻って行ってしまった。

仕方がないので練習する事にしたのだが、感覚がわからない。

まず力を感じる事が出来ないとどうしようも無いので昔見た漫画やアニメを思い出す。

何となく的に向かって手をかざし、力を飛ばすイメージをしたらポンッて青白い何かが出た。

今度はその感覚のまま手をお椀にして力を球体にするイメージをするとドリスと同じ様に青白い光の球体が浮かび上がった。


ドリス「タイチ!頑張ってその状態をキープしろ!」

遠くからドリスの声が聞こえたのでイメージが崩れない様にじっと姿勢を保ったまま青白い球体を眺めていた。


ドリス「お疲れさん!今日の初心者講習はこれで終了だ!」

気づいたら40分経っていた。途中何度か球体が消えたりしたがその都度作り直してを繰り返していたらあっという間だった。


ドリス「申込の時にスキル購入した奴はこの後受付に行って受け取って帰れよ。」

そう言ってドリスは訓練所を後にした。

俺も後に続いて行き受付でスキルを貰ってドリスの家に帰った。



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