冒険者になります。
ドリスの家の路地から表通りに出て少し歩くと人が増えてきた。
周りをよくみると様々な店があり、武器、薬草、食材の店が立ち並んでいる。
ドリス「ここらへんはこの町の商店街になっていて、夕方になると人が一気に増えて歩くのも大変になるぞ!」
俺の様子を見て教えてくれた。
俺「そうなんだ、何もかも新しい事ばかりだから目眩しそうだよ。」
ドリス「今は初めての事ばかりだが、そのうち慣れるもんさ。」
俺「そうかもしれないな。」
そんな会話をしながら商店街を抜けると中央に大きな塔がある建物の前に着いた、よく見ると建物の両脇に大きな壁が伸びていた。
ドリス「ここが冒険者ギルドだ。ギルドは町の壁にくっついていて砦の役割も果たしてんだ!」
俺が不思議そうに見ていたせいで横に並んで説明してくれた。
ドリス「中に入るぞ。」
正面にある大きな扉を開けて中に入ると右にカウンター、正面に掲示板、左に酒場があった。
ドリスは右にあるカウンターに向かって行き、受付の人に話し掛けると
受付「畏まりました。」
と一言告げた後、奥から書類を持ってきてドリスに渡した。
ドリス「とりあえず2階の俺の執務室に行くぞ。」
ついて来いと首を捻って俺に告げた。
ドリスってお偉いさんか?と思ってついて行き、執務室と言う部屋に入ると手前に応接用のテーブルと両脇にソファー、奥に大きな机があり机の上には大量の書類が積まれていた。
手でソファーに座る様に勧められたので腰を下ろすとコンコンと扉がノックされた。
ドリス「入れ。」
女性「失礼します。言われた物をお持ちしました。」
受付とは別の女性が入ってきて、手には小さなプレートと、ルーペの様な物を持っていた。
ドリス「コイツはタイチ。冒険者になるから登録してやってくれ!」
女性「畏まりました。」
女性がドリスの指示を受けてルーペの様な物で俺を覗いて見てきた。
受付でドリスが貰っていた書類は応接デーブルの上に置いてあったので、女性がその書類にスラスラと何かを書いては俺を覗くを繰り返すと手が止まり。
何やらぶつぶつと呟いたかと思ったらテーブルに置いてあったプレートが光だし消えた所で俺に渡してきた。
女性「タイチさん、冒険者登録が終わりましたのでこちらをお渡しします。
これが登録証になり、世界共通の身分証替わりになりますので無くさない様にお願いします。念の為ご自分の職業を確認してください。」
女性からプレートを受け取ってステータスを確認すると
名前:タイチ 性別:男 種族:人族 属性:闇
ジョブ:冒険者
レベル:1(10)
力:2
素早さ:2
体力:2
智慧:3
器用:2
運:1
HP:10
MP:2
スキル:無し
俺「おー!変わってます!ありがとうございます!」
女性「手続きも終わりましたので、失礼します。」
と言って一礼して部屋を出て行った。
ドリス「これでタイチも冒険者だな!あっ、言ってなかったが俺はここのギルドマスターだ。改めてよろしくな!俺はここで仕事しないといけないから冒険者の詳しく事は下の受付にでも聞いてくれ。これは俺からの餞別だ、最低限の身の守り位は買えるだろ。お前が一文無しなのはわかってるから一週間だけ俺の家に泊めてやる。その間に仕事して独り立ちの資金を集めろよ!」
と言いテーブルの上に銀貨3枚を置いて机の方に行き、出て行けと言わんばかりに手を振った。
俺はテーブルの銀貨を手に取り
俺「ドリスありがとう!頑張って1日でも早く独り立ちするよ!」
と言って執務室を出て1階の受付に向かった。
受付の女性に冒険者について質問し、基本的な事を教わった。
*冒険者ランクがあり、個人は下がE、最上級はSSSまで。
パーティーだと下がE、最上級はSS。
この町の個人最高ランクはAが3人いて、パーティーの最高ランクはAが1パーティーとの事。
ちなみに個人の世界最高ランクはSSが2人いて、SSSは100年以上慣れた人は居ないらしい。
*掲示板にあるクエストは1パーティ3つまで、ソロの場合は2つまで受ける事が出来る。
*クエスト失敗時は無条件にランクが1つ下がる。
*個人、パーティーがCランク以上から指名クエストを受けられる。
*ランクアップはポイント制。ランクアップ後はポイントリセットされる。
昇格必要ポイント
D:20ポイント(初心者講習修了者は10ポイント)
C:50ポイント
B:100ポイント
A:300ポイント
S:1000ポイント
SS:2000ポイント以上取得し、3人以上のギルドマスターの推薦が必要。
SSS:5人以上のギルドマスターと2人以上の国主の推薦が必要。
*Cランク以上の冒険者は災害時の緊急要請を断る事は出来ない。Sランク以上の冒険者又はSランク冒険者の所属パーティーはAランク以上のクエスト中に限り断る事が出来る。
ゲームと同じルールもあるが、無いものもあるのでリアルとのギャップを感じつつもルールには気を付けようと心で思った。
俺「説明ありがとうございました。ところで初心者講習を受けたいのですがどうすれば良いですか?」
受付「修了検定を受けるには5回受講して頂きます。講習は無料ですが、修了検定は銀貨1枚必要です。講習は毎日朝、夕の2回受講出来ます。今日だと夕方の受講が可能ですがどうしますか?」
俺「お願いします!」
受付「畏まりました。ではプレートを拝見します。」
受付の女性に冒険者プレートを渡すと
受付「タイチさんですね、講習で使用する武器を教えて下さい。」
俺「ロッドでお願いします。」
受付「畏まりました。ロッドかメイスを使われる方にはスキル書[回復魔法(水-小)]と[攻撃魔法(火-小)]を銀貨1枚で購入出来ますがどうしますか?」
俺「えっ?…買います。」
ゲームではどちらか一つしか買えないのにリアルだとセットになってて少し焦った。
受付「では今日の講習が終わったらお渡ししますので、講習後にこちらまで受取に来てください。以上で講習の手続きは終了です。こちらをお返ししますね。」
受付の女性からプレートを受け取ってその場をはなれたが講習まで時間がありそうなので、装備を整えようと商店街に向かった。