教室にて
ホームルームにはなんとか間に合った。
さっきあんなことがあって転入生とは気まずいし、人々の前に立つのはストレスだ。だが、引き取られたばかりの私生児という特殊な彼女の立場から、自己紹介の時は側についていたほうが良いだろう。
「ヴィクトリアさん。お疲れ様でした。ではローラさんはみんなにご挨拶を。」
担任のクリストフ先生が自己紹介を促した。
「はい。ローラ・ニクソンです。半年前、ニクソン伯爵家の三女になりました。
私はヴィクトリア様の事を世界で一番尊敬していて、彼女のことが大好きです。まずは彼女の親友になるべく研鑽を積み、今度の試験で首席を取る事をここに宣言します。」
ローラの形の良い小さな唇は不思議な言語を発した。
教室はざわつきを増し、彼女に対する好悪様々な言葉が聞こえる。
ヴィクトリアは現実逃避してしまった。だが、このままいるわけにもいかない。彼女は席に一刻も早く着きたいのだ。
「頑張ってください。負けません。」
ヴィクトリアはそれだけ話して席に戻った。
しばらく教室を沈黙が覆ったが、クリストフ先生が気を取り直したように手を打ちホームルームを終わらせた。




