輝く黄金の瞳
とうとう今年最後の大会競技、剣術部門が始まった。
アレックスが試合に出てくる度に地が震える様な歓声が沸く。
女性の歓声も多く、ヴィクトリアは少しだけそわっとした気分になった。そんな自分を不思議に思っていたが、再び新たな試合が始まる為アレックスが下の競技場に出てきたので、ヴィクトリアは深く考えずに試合に集中する事にした。
「勝ってください!アレックス王太子殿下!」
「アレックス王太子殿下!頑張って下さい!」
アレックスは歓声に手を振って答え、その後ヴィクトリアにも微笑んでくれた様に見えた。
ヴィクトリアは自分にでは無いかもと思いながらも照れ臭そうにはにかんだ。
危なげなくアレックスとレスターは勝利し続け、決勝で二人が当たった。去年の一位と二位の対決である。
レスターはアレックスに今年は負けないと宣言し、アレックスは今年も勝たせてもらうと受けて立っていた。
二人の黄金色と黒色の対比が美しく、試合が始まる前から各所で感嘆の声が漏れ出ている。
二人共をしっかり応援しようと周りの歓声に負けじとヴィクトリアも声を掛けた。
「頑張ってください! アレク!」
その時あんなに煩かった周りが急に静かになっている事に気づき、レスターと続けて声を掛けようとしていたが、ヴィクトリアは一旦応援を止めて恐々と周りを見回した。
ヴィクトリアが戸惑っているうちに、一拍置いてから爆音が上がり、観客が口々にアレックスにおめでとうございますと言い始めた。
え?まだ試合始まってないよねとヴィクトリアはドキドキした。
何故もうおめでとうなんだろう。私も言うべきかな。
するとアレックスは破顔し、こちらに叫んだ。
「ヴィー!!ありがとう!!」
隣でウィリアムは苦い顔をしていた。
そして試合が始まった。
アレックスとレスターは実力が均衡していて、毎年白熱した戦いになる。
試合開始と同時にレスターが先に動いた。
間合いを詰め、横薙ぎに斬りかかる。
アレックスは素早く受け流し、逆にレスターに踏み込み斬りかかった。
攻防がひたすら続く。
試合は真剣で行われ、かなりの怪我人が出る事もある為、ヴィクトリアはドキドキしながら試合を見守った。
その後も危なげなくお互い攻め合っている様に見えたが、次第にレスターの動きが鈍ってきた。
それを見逃さずアレックスが攻め切り、剣を弾き飛ばしたところで試合が終わった。
どちらにも目立った怪我が無い事にホッとしたヴィクトリアは、柄にも無い事に気分が盛り上がってしまい、ドタドタと音を立てながら急いで立ち上がり大声を上げた。
「とても格好良かったです!」
アレックスが目を輝かせ、観客は固唾を飲んで未来の王妃が決まる瞬間を待っていた。
「ありがと「二人とも!!」
え?という周りの雰囲気にも気づかずヴィクトリアは幼馴染二人の健闘を称えていた。
「二人とも絶え間ない努力を続けていたからこの様な結果を得る事が出来たのだと思います。
本当におめでとうございます!」
ヴィクトリアは割れんばかりの拍手を二人に送りながら、さっきは乗れなかったおめでとうの波に今度は一番乗りじゃないかと自分を自画自賛した。
その言葉を聞きウィリアムは早々と元気を取り戻し、瞳を輝かせながら〝二人の健闘を幼馴染として讃えるなんて、リアは本当に幼馴染想いだなぁ″とアレックスにとどめを刺した。
先程からレスターは巻き込まれない様にと息を殺していた。
アレックスは黄金の瞳を滲む涙でより輝かせながら励ます様な温かい声援に手を振って答えた。




