転入生は突然に
学園長室に到着した。ノックし、ほがらなかな返事を受けドアを開けると、簡素な制服を着た美しい栗色の髪をした極めて可愛い少女がいた。
「ごきげんよう。遅くなって申し訳ございませんでした。」
「いや、時間通りだよ。お迎えありがとう。こちらが君のクラスに転入することになるローラ・ニクソンだ。ニクソン伯爵家に新しく迎えられた三女になる。」
「お話は常々伺っておりますわ。ニクソン様。私はヴィクトリア・リヒターと申します。」
少女は緊張したように話した。
「リヒター様、私のことは是非ローラとお呼びください。お噂をお聞きし、お会いしたいと思っていました。今回は私のようなもののお世話をしてくださると聞き、大変嬉しく思っております。」
「私のことはヴィクトリアとお呼びください。では始業も近いので教室に向かいましょう。」
ヴィクトリアは基本的に家の名前で呼ばれることを好まない。プレッシャーに感じるからだ。
余計な時間を使うのは面倒だとさっさと学園長室を後にする。
「彼女をよろしくお願いします。」
学園長の声は真剣だった。何故かわからないが、波乱の予感に胸騒ぎがした。
深く聞くことはなく、ヴィクトリアは足を少しの間止めて返事をした。
「もちろんです。」