ペンは剣よりも強し?
「ヴィクトリア様、本当にありがとうございました。大変なご迷惑をお掛けして申し訳ございません」
「いいのよ」
よく分からないがあの歩く下半身はローラに粉をかけていたらしい。ローラの素性を知っているかは不明だが、警戒しなければならない。恋愛沙汰での国際問題は避けたい。
ヴィクトリアはスタスタと歩きながら、そういえば文房具を購買で買えると聞いた事はあるものの、行った事がない為、道が分からない事に思い当たった。
「ローラさん、ペンはどこで手に入れる事ができるのかしら?」
ローラはその言葉を聞きハッとした。王弟に盾突くとリヒター公爵家でもただでは済まない。自分のせいで危うい均衡が崩れたのだ。あの男をこのままにしておけば、表立っては彼女を処罰できなくてもあの手この手で権力を使い嫌がらせしてくるだろうことは想像がつく。ヴィクトリア様が王太子殿下に伝えれば対処してもらえるだろうが、それでは根本的な解決にはならない。
彼女はペンは剣よりも強しと常日頃から仰っているらしい。この学校にある社交クラブに、常日頃の王弟の所業を大々的に学内新聞に載せるよう彼女が告げれば、王弟の所業に泣き寝入りしていた人々も声を出し、彼は下手に動けなくなるだろう。
「流石です、ヴィクトリア様。私では考えつきませんでした。先手必勝ですね。
ご案内致しますので、直ぐに向かいましょう」
ローラは何時でもヴィクトリアの役に立てるように様々な学園の情報を調べていて、学内の見取り図は予め全て頭の中に入っている。
ローラの言葉を聞き、少し違和感を感じながらもホッとしたヴィクトリアはローラに返事をした。
彼女は自分が運動音痴である事から剣を敬遠し、勉学に力を入れている事が曲解されている事を全く知らなかった。
「転入したばかりなのにローラさんは流石博識ですね。
案内、よろしくお願い致します」
ローラはその言葉を聞き感動に身を震わせながらヴィクトリアを先導した。




