馬車の中で
「ヴィーは凄いな。」
「どうかしましたか?」
ヴィクトリアはアレックスの言葉に心底不思議そうに返した。
アレックスは、彼女は自分の手柄としてヴィクトリア基金が大きく寄与する領地の発展を誇るのではなく、ただ当然のように考えているのだなとますます感心した。
ちなみにヴィクトリアは質問の意図をよくわかっていない。だが、急に褒められてしまったからには褒め返そうと意気込んだ。
「アレクの方が凄いです。」
ヴィクトリアは鸚鵡返しの術を使った。
「どうしてかな?」
〝り、理由を聞かれるとは″と予想外の事態に戸惑いながらヴィクトリアは言葉を発した。
「このように実際に地に足を運び、学んだ事を貪欲に吸収していらっしゃるところも尊敬しております。
政務にも広く関わっていらっしゃいますし、学園でも皆をまとめていらっしゃいます」
ヴィクトリアは言い切ったと胸を張った。
アレックスはチラッと胸にも目をやりながらも、照れ臭そうに笑った。
「ありがとう。側近のレスターにも大分支えてもらっているがな」
アレックスの言葉に頑張って誉めなきゃとヴィクトリアは張り切った。
「レスターも凄いです。学園の情報を握っていますし、背もかなり伸びてこの中では一番高いですよね。眼鏡も段々と黒縁が太くなってきて眼鏡が本体になって来ていますし、足もそれなりに長いし、この前のクロワッサン鯛焼き美味しかったですし、変態さも隠せているし、、」
ヴィクトリアはレスターの褒める場所があまり思い付かず、それでも何とか頑張って絞り出した。褒め返しをもっと続けたかったが、後は特に無いなと思って諦めた。
アレックスは自分より多かったとレスターを睨みつけた。
レスターはあんな褒め言葉で上司に睨まれるのは割に合わないと心中で涙した。




