勘違いは多方向に拡散する
試験の結果が出た。個人にも後に配布されるが、朝に上位十名はいち早く掲示される。
掲示板は騒然としていた。あの私生児が満点超えをし、王太子殿下を超える二位という結果を出したと口々に皆驚きを表現していた。
一位ヴィクトリア・リヒター 810点
二位ローラ・ニクソン 807点
三位アレックス・ステイリル 805点
四位レスター・ブルドン 785点
………
ヴィクトリアは首位を守れてホッとした。父に入学時『試験についてはわかっているな。結果を出すように』と言われていて、一位から転落した暁にはどんな目に合うか分からないとヴィクトリアは警戒していた。
ローラは試験結果を見てがっかりしたようだった。
だが直ぐにこちらを見て走り寄って来た。
「ヴィクトリア様、大きな事を言って首席になれず、恥じいるばかりです。
初日から貴女様とずっと一緒にいたいという思いが先走り、不躾な物言いをしてしまい大変申し訳ございませんでした」
ローラに頭を下げられたヴィクトリアは、よく考えたら虐めていたとか捉えられて隣国の公爵に抹殺されたらどうしようかとドキドキしてきた。
「ローラ様、頭をあげてください。全く何とも思っていません。寧ろ貴女の言葉で今回はより勉学に打ち込めました。ありがとうございました」
ヴィクトリアは当日読書で夜更かししていた事などおくびにも出さずにフォローした。
アレクは、ヴィクトリアをいつものように流石だと言った後、ローラへの風当たりを弱めるために君にはやられたよとローラを褒めている。ヴィクトリアは彼の秀麗な顔を美形だなぁとぼーっと眺めていた。
それを見ていた周囲は
『相変わらずヴィクトリア様は誰に対しても分け隔てなくお優しい。
だがあの切ない眼差しを見るに、やはりヴィクトリア様はアレックス様がお好きなのだろう。ローラ様に温かく声を掛けるアレックス様を寂しそうに眺めていらっしゃる』と誤解を深めた。




