勘違いは止まらない
ヴィクトリアは馬車から降り、いつも通りクラスに向かう。
だが普段より動きやすく、気分が良い。周りのざわめきを一切気にせず、いつもより軽快な足取りで歩いた。
教室に着くと、より大きなざわめきが起こる。やっとヴィクトリアも喧騒の中心が自分であることに気がついた。あれ?何か髪にでもついているのかな?クロワッサンのカケラが付いてたらどうしよう。ヴィクトリアは少し不安になり、髪を何度か梳いた。
すると、キャサリンが急いで側まで来た。
「ヴィクトリア様。その格好、驚きました。でもすっごく似合ってます」
実際圧倒されるほど美しかった。素材が良ければシンプルな制服も高貴になると証明されている。
ヴィクトリアの黄金色の髪と美しいはっきりとした青色の瞳はどのような装飾にも勝ると人々が絶句していた。
ヴィクトリアはどんな時でも寄親へのヨイショを忘れないキャサリンに感動して、目を潤ませた。ざわついたと思ったら静かになった周りに少し怯えていたのだ。
「そんなことないわ。でもありがとう」
そうこうしているうちに、泣きそうだが、同時に歓喜で上気させた顔をしてローラが来た。
「ヴィクトリア様。そんな、私の為に、、、
本当にご迷惑をかけて申し訳ございません」
ヴィクトリアは何のことか分からなかったが、周りでの恐怖で潤ませた目のままにっこり笑って応えた。
「いいのよ」
そこでクラスメイト達はハッとした。
質素な制服を着るローラ。先日孤児出身と馬鹿にされている声を聞いたヴィクトリア様。
そうした状況を受け、ローラがこれ以上浮かないように、そしてヴィクトリア様がお世話をしているので手を出さないようにと示すように、同じようなシンプルな制服を着て来たのだと気づいた。
だが、ヴィクトリア様もリヒター公爵家の事を考え、周りの反応に緊張していたのだろう。
キャサリンが声をかけるとホッとして泣きそうになっていた。
ヴィクトリア様の慈悲深さにクラス全体が感動し、口々にヴィクトリア様を煩わせたことに対する謝罪と、彼女の美しさを讃える言葉を発した。
ヴィクトリアは異様な空気に圧倒されながらも、よくわからないがいつも通りに微笑んだ。
「いいのよ」
そんな時、ヴィクトリアに学園長からの呼び出しがあった。また厄介事かとヴィクトリアは警戒しながら学園長室に向かった。




