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彼から見た彼女

(他者視点)


(アレックス王太子殿下)


執務用の王太子室で今日の事を思い出し、アレックスはクスッと笑ってしまった。

ヴィクトリアは昔からいつも自分の想像のはるか上を行く。



行政府の中までは着いて行くつもりはなかったが、結局キールスの横槍を避けるために宰相室までエスコートしてしまった。

宰相は詫びも兼ねてか、勉強がてらによかったら見ていくと良いと言ってくれたので、お言葉に甘えて見学させていただくことにした。


そこでヴィクトリアは、一人一人の話を殆ど口を挟まず聞きながら、要所要所で『それをする意味は?』と皆で掘り下げさせていた。一人でさっさと進める事は簡単だが、そうしていては周りは成長しないし、不満が残る。

技術者達は、それがどういう意義があるのか、必要なのかをヴィクトリアに向かって忌憚なく話すことで、立場やその者の属性に関係なくしっかりと必要な事柄は掘り下げ、不要な事は退けることができた。

その上、彼女は自分の功績として誇ることなく、『皆様のおかげです』とにっこりと笑っていた。

その美しさに皆が見惚れていたが、彼女は頓着することなく、今後のスケジュールを聞くとサッと帰りの馬車に乗り込んで家に帰ってしまった。




学校でも色々あった。アレックスは彼女の艶めいた照れた顔を思い出し、一人で悶えてしまった。


朝からヴィクトリアは活躍していた。公務の関係でギリギリで教室に入ると、ヴィクトリアが頬を赤く染め、瞳を潤めて座っているところだった。何があったのかと驚くと、ローラが複数人に責められているところに彼女が割って入り、どちらに着くでもなく素早く仲裁したそうだとレスターが耳打ちしてきた。


そこに、揉めていただろうローラと数人のクラスメイトがお互いを尊重するように近寄っていき、口々にヴィクトリアに謝罪をしだした。


それを聞きながら、ヴィクトリアは感じ入ったようにより瞳を潤し、だが微笑みながら『いいのよ』と返していた。その姿はさながら慈悲深い聖女のようで、クラスメイトの幾人かが手を組みながら膝をついていた。レスターも跪こうとしたので、睨みつけて止めておいた。馬車でヴィクトリアに一緒にいて楽だと選ばれたり、けしからんやつだ。


その後もクリストフ先生が授業でヴィクトリア基金などのヴィクトリアの功績を讃えた時も、恥ずかしそうに机に目を落とすのみで、彼女は自分の成果を誇る事はしなかった。



放課後に馬車を出たところでキールスに絡まれた時も、余裕のある態度で受け流すのみで、侮辱するような態度を相手にせず、逆にキールスの言葉を利用する形で、戦わずして圧倒していた。

キールスは離宮で普段から王位に相応しいのは自分であると口にしていることが確認されている。三月の災いの予測の一つには、あの者による王位継承争いがあり、王宮では警戒を高めている。

だが彼の血筋の不透明感や、能力が疑問視され、彼に着く貴族はほとんどいないことから、その場合は、軽微な損害で済むと目されていることから、捨て置かれている。膿を出し切ることに活用できるかもしれないからだ。


ヴィクトリアに打ちのめされたキールスの顔を思い出すと、いつも彼とは会う度にげんなりさせられていたが、これからは爽やかな気持ちで接することができるなとアレックスは思った。


ヴィーは小さい頃から不思議な子どもだった。遥か先に歩いているのに、隣で寄り添ってくれてもいるような、、、

私はずっと誰よりも近くで彼女の側にいる権利が欲しい。


婚約を申し込んだ後の宰相の返事の端々にも出ていたが、キールスに乱されるような王宮の現状ではヴィクトリアは守れない。

ヴィクトリアは他国からも、彼女の有能さからその身を望まれており、その上血筋だけでも王女待遇で外国に嫁げるほどのお姫様だ。

彼女の澄んだ青い目に映すのは私だけでいいのに。

そのためには、まずは三月を乗り越えなければならない。


宰相は十八まで婚姻を伸ばしたのだ。きっと予想もつかない条件を出してくるだろう。

力をつけて絶対に彼女を手に入れる。

アレックスは決意を新たにして執務に身を入れた。


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