兄が来た
放課後になると兄のウィリアムが教室に来た。今日は父に呼ばれ王宮に向かうことになっているため、日頃からよく城へ通っている兄が付き添いをしてくれるのだ。
「ヴィクトリア、行こうか」
ヴィクトリアにそっくりの金髪で青目の、鼻筋の通った冷たそうなイケメンだが、妹の前ではデレデレとして原型がない。
ヴィクトリアは頷いて立ち上がった。
そこに焦ったように王太子のアレックスがやってきた。
「良ければうちの馬車に一緒に乗っていかないか?
幼馴染同士でたまにはゆっくり話そうじゃないか」
中々ヴィクトリアも自分も忙しい事から学校で一緒に過ごせないので、王宮に来るなんてチャンスだと素早く声をかけた。
「アレックス殿下、私たちは遊びに行くのではありません。公務で呼び出しを受けて行くのです。
あなたは別にこの件では呼ばれてませんよね?」
ウィリアムは冷たい眼差しで一瞥した。妹に向けていた優しさは180度転換し、虫ケラを見つめるような冷えた目になった。
だが、ヴィクトリアは暑苦しい自分の兄と二人きりよりマシかもと、コクリと了承した。
「えっリア〜なんで〜」
兄の情けない声は無視してさっとヴィクトリアは馬車へと向かった。
アレックスは輝いている瞳を余計に輝かせて、ウィリアムに向かってにっこりと笑いかけた。
「さぁ、行こうか」




