表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/58

生きた禁断の人類最終兵器


「許さなくて結構。この辺境伯公子様は上級貴族で王族とも関係を持っている。辺境伯である父上様に訴えれば女といえども処刑は簡単なんだよ」「大人しく媚びていれば輝かしい学園生活を満喫していたろうに」「公子といえど伯爵より辺境伯の方が立場は上、何を憚ることがあろうか。女のくせに身の程を弁えてもらおうか貧乳」


 取り巻き達は位が低い分際で我が物顔に擁護する。辛辣な言葉が飛び交った。

 しかしながら聞き捨てなら無いワードを耳にする。卿達よそれは禁句だ。

 案の定途端に空気が変わる。笑顔を浮かべているが、「貧乳?」禍禍しい程の瘴気がドクトルを纏った。

 これはまずい。ムーンレイクが一瞬で死霊の街になる。魂とゾンビ蠢く姿が目に浮かぶようだ。

 少女を中心に紫の魔法陣が舗装してない地べたを彩る。


「殺す殺す殺す殺す」

「ドクトルストップだ!」


 直ぐ様緊急用干し肉を無理矢理口を抉じ開け、暖炉へ薪をくべる要領で放り込む。

 肉塊を噛み砕いている間に死霊術を外部から強制キャンセルした。

 

「止めるなナタクよ!」

「止めるである。この街を廃墟にする気か?」

「おーおー、メスネコはよく鳴くなぁ。この俺に逆らったから学園では生きていけないんだぜ」


 魔法陣を展開した事を全く理解してない無知はドクトルを煽る。その度に激しい歯軋りが我輩の耳を陵辱した。


「貴様らこそ覚悟はできているんじゃろうな。ナタクだけでは無くわーをも愚弄してただでは家に帰さんわい」

「なんだその喋り方、ババアか?」


 自己のアイデンティティーに深く溝を掘られたのだ。これはドクトルも退くに退けないか。


「やはりこの場でゾンビに変えて食い合いを……」

「待てビャクヤ・ヴァーミリオン、これは我輩の問題だ。口出ししないでもらおうか。後々兄達が出張ってきたら面倒である」

「なーよ、奴らを殺せ。懺悔しながら涙と糞尿を垂れ流しながら無惨にな。わーが許すのじゃ」

「素が出ているぞな。落ち着け」


 心を隠すことがまだ下手のようだ。それでは駆け引きばかりしている貴族の社交界デビューは程遠い。

 それにしても口が上手いドクトルをここまで焚き付ける辺り、向こうが一枚上手。言葉巧みに操りクラスを数で牛耳っているだけはある。


「仕方ない、このままでは王国一美しい街が歴史から消滅してしまう。辺境伯公子様、如何様な事がお望みか?」

「からぐた、てめえは目障りなんだよ。学園から出ていけ。既に親に見捨てられた野良犬だ、別に何処で野垂れ死のうと公爵家は手出しして来ないだろう?」

「それは聞けないな。我輩はモンスターテイマーにならなければならないのだよ。夢を諦めてなるものか」

「ならここで死ね」


 一斉にモンスターが前衛へ。


 スライムと一角ウサギに蟻。

 ステータスで確認するとコモンと数匹とレア一匹だった。能力的にも大した事は無い。よって同期しているテイマー達も特筆する程大した事が無い訳だ。

 これで貴族を名乗っているのだから、王国の未来はとても明るい。破滅のラッパ音がヨハネを伴って聴こえて来そうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ