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プロローグ


今宵は王女殿下の誕生日パーティーだった。

その日、侯爵令嬢でああるアイリス・クレモンティーヌもそのパーティーに参加していた。



だがそのパーティーにて断罪が始まった。



「この場でレジーナ・マラドーナ嬢との婚約破棄をさせてもらう!」


騒めく会場。

本来ならばめでたい席のはずが、こんな騒動が起きるなんて誰が思っただろうか。


「理由をお聞かせください」


「理由だと?貴様は私の愛する人、カレンに陰湿な嫌がらせをしたではないか!」


冷静な態度で前を見据えるのは王太子、ウィリアム・フロリアだった。



「私はそのような真似をしてはおりません」


「嘘をつくな。陰湿な嫌がらせをしたではないか…私とダンスを踊るなと苦言を申し、公の場では恥をかかせ…」


「お言葉ですが、婚約者である私の前で殿下とダンスを踊るのは無礼だと申し上げました。他にも男性に過度なスキンシップをしないようにアドバイスをしたしました」


「黙れ!貴様に発言は許しておらんわ!カレンは未来の王妃となる女性だ…王妃に手を出した罪な許されることはない…貴様は国外追放並びに島流しだ!」



「解りました」


ぐっと唇をかみ締める中一人の青年が前に出る。


彼は近衛騎士団に所属し、王族の護衛騎士をする立場にある。

クラハドール・ジーベスタ。





「殿下、発言をお許しいただけますか」


「何だ?許そう」


「殿下は、婚約破棄をなさるということですね」


「ああ」



王族直属の護衛騎士でもある彼を信頼しているウィリアムは発言を許した。



「レジーナ様と婚約破棄されるのであれば彼女を妻に娶ることをお許しいただきたいのです」


「は?」


「私はずっとレジーナ様を愛しておりました。ですか貴方様の婚約者故い諦めておりましたが…殿下にその気持ちがないのであれば私はレジーナ様を諦めることはできません」



一瞬、その場が凍りついた。

何を言っているのだろうか、この男は。


誰もが思った。

この断罪の場で国外追放になるレジーナを妻に娶ると言うことは…


「貴様正気きか!レジーナ嬢は…」


「はい、私は真実の愛をレジーナ様と共に」



堂々と公衆の面前でレジーナを抱きしめる。



「クラン様」


「レジーナ様」


二人は愛し合う恋人のようだった。



「貴様には婚約者がいたはずだ」


「はい、ですが愛などありません。私の愛はずっとこの方に…」


堂々と婚約者を捨てレジーナと生きると告げられ、その婚約者である人物は冷ややかな目を向けられる。



「アイリス様お気の毒ですわね…」


「でも、以前からレジーナ様とは噂がありましたわし」


「ええ…ずっと浮気をされていたのではなくて?」


貴族令嬢は噂好きでひそひそと囁く。



晒し者に合うアイリスは耐え切れず、そのままその場を去って行く。



「アイリス!」


公爵令嬢でウィリアムの従兄弟関係にあたる令嬢アンジェリークはアイリスの後を追いかける。



そこに国王陛下が声を荒げる。



「いい加減にせんか!馬鹿共が!お前達はしばらく謹慎じゃ!」


「警備隊、このお二人を拘束なさい」


続いて王妃が命じる。


「レジーナ嬢、貴方には申し訳ないことをいたしました」


「王妃様」


「この度は息子が勝手にしでかしたこと…ですが、貴方には謹慎していただきますわ」


「えっ…」


安堵するも束の間、王妃から告げられた言葉に耳を疑う。



「不貞を働いた罪を、クラハドールは爵位を取り上げ平民として追放いたします」


「王妃殿下!」


「王族の親族として恥をさらし、近衛騎士の名を汚しました。許されることではございませんわ」




断罪が行われた当初、被害者に過ぎなかったレジーナは一瞬にして加害者となる。


そしてクラハドールも同様に。



本来ヒロインを断罪し、悪役令嬢が勝者となるこのイベントは。


ヒロインと共に破滅の道を進むもう一つの乙女ルートに突入するのだった。


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