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chapter 99 輝く場所 枯れない花

ご愛読ありがとうございます

 大きな町は砦というより要塞化していた。ここは火計を用いる事になったようだ。

 早朝、日の出と共に攻撃が仕掛けられる。町の規模が大きいので長期戦の予想だ。

 西の領地からアストレーアの軍が主攻で参加している。アルカディア軍は町の東側に陣取った。今回はアストレーアの軍が火計を行うので、アルカディア軍は全員配置について陣形を整えてある。

 アストレーアの軍はアルカディア軍の10倍以上の数がいるそうだ。


 だが……


 アルカディア軍は東側を請け負った


 単純に4分の1を担当している


 それだけ強いと言う事だ


 自分はクレアの第3部隊の一員として戦うつもりだったがファリスからの要請でビッケ隊の副将として第4部隊に応援で参加する事になった。


 フグミンがまだ帰ってこないからだ


 ビッケは強いが戦い方が特殊だ。誰かと組んで戦った方が力を発揮する。フグミンが凶悪な毒を撒き散らして戦うと敵は必ずフグミンを狙う。先に倒さないと危険だからだ。フグミンを狙った敵はビッケに隙を突かれて倒される。

 フグミンを放置すれば毒でやられ、攻撃すればビッケにやられる。敵にとっては最悪の組み合わせだった。


「フグミンの代わりにはならないと思うけど頑張るよ」


「ナック兄なら大丈夫だよー」


 町から黒煙が上がり始めた。瞬く間に炎が燃え拡がっていく。そろそろ敵が来る頃だが太鼓の音も鐘の音もしない。


 もう必要無いくらい練度が上がっているのだ


 恐ろしい程に静かだが前線で戦いが始まっている


 陣の中に敵を誘い込んで粛々と駆除しているのだろう


「ここまで来れる敵はいないかもねー」


「今のザッジとクレアを抜くのは困難だな」


 隊長だけではなく、周りまでみんな強い。訓練に訓練を重ねた上に実戦経験も豊富になってきた。


 ビッケの部隊はクレアの補助を担っている。クレアが駆除しきれない分がこちらに来るのだが全く来ない。遠くを見るとクレアの第3部隊が陣形を細かく変えているのが分かる。


 まるで生きているかの様に滑らかに陣が変化している


「クレアさんは指揮官としても優秀だねー 僕にはああいうのは無理だよ」


「自分の出来る事をすればいいのさ。彼女は自分の場所をしっかりと見つけた。きっと誰にでも輝く場所がある」


 ゴブリンと戦う事を恐れていた者が今では大きな部隊を見事に率いている。


 カン! カン! カン! カン!


 不意に鐘の音が4回なった


「ナック兄! クレアさんが危ないって合図だよ!」


「何!? 全然そんな感じには見えないぞ!」


 ワァーーーーーー!!!


 ザッジの第1部隊の方から大きな声が聞こえてきた。


「伝令です! 南のアストレーア軍を突破して強力な魔物のパーティーがこちらに突撃して来ました! 各隊長は備えよとの事です」


 戦況を見ているファリスからの指示か!


 ザッジの所を抜いてクレアの所に来るのはこの陣形、唯一の弱点っと言っていたな……


「ナック兄! クレアさんの所に応援に行くよ!」


「分かった! かなりの強敵だぞ!!」


 精鋭を引き連れてクレアの元へと急ぐ。


「何だあれは! 馬鹿でかいオークがいるぞ!」


「ここからでも見えるなんて無茶苦茶デカイぞ!」


 第1部隊の方を見ると……


 巨大なオークがトロールとオーガを引き連れてアルカディア軍を横切って行くのが見える。


 見た事の無いクラスの敵だな!


 ナイト以上……ジェネラルかそれより上か!


 防御柵を破壊しながら一直線に陣を崩して突撃してくる。恐ろしい程の破壊力、突進力だ!


「敵はもっと大きなパーティーでしたが、今は先頭の3体だけです!」


「あまりの勢いに誰も止めれません!!」


「ステラ達がヤツを止めようと必死に応戦しています!」


「ザッジ騎士団長も応戦しながら移動しています!!」


 次々にビッケの元に伝令がやってくる。


 騎馬でクレアの方へ急行しているがクレアとオーク達が接触するのと同じくらいの到着になるか……



 クレアが南西を向いて1人で立っている


 陣形が変更されて南西方向を警戒しているのが分かる


 クレアの白桃色の鎧はジェロ特製の最新式のフルプレートミスリルアーマーだ。大盾にはアルカディア国の国章『ローリエ』が描かれている。剣はナイト向けのディフェンダーと呼ばれるやや短目で幅広の剣だ。大盾も剣もミスリル製だ。


 クレアが重心を低くして、左手に装備した大盾を構えた


 巨大なオークが大戦斧を振り回して我が物顔でアルカディア軍を突き崩していく。

 その周りでオーガとトロールが各1体、同じ様に大暴れしていた。ザッジとステラ達が必死に勢いを止めようと攻撃を仕掛けているが全く止まる気配はない。


「オークは私が引き受けます。副将、指揮をお願いします」


 巨大なオークがクレアの存在に気付いたようだ。一気に速度を上げてクレアに向かっていく!!


 巨大なオークが両手で持った大戦斧をクレアに向けて振り下ろした!!


 ドォーーーーーン!


 クレアが大盾で大戦斧を受け止めた!


 あまりの衝撃にクレアの周りの地面が円形に窪んでしまった。


 だが……


 クレアは少しも後ろに下がらずに巨大なオークの渾身の一撃を見事に受け止めた。


 オークが動きを少し止めた瞬間にクレアは右手の剣でオークの手首に攻撃を加えた。


 オークがほんの少しだけ後ろに下がった


 オーク達の突撃が停止した……


 ザッジ、ステラ達5人の美少女騎士が止めれなかったオーク達の突撃をクレアは1人で止めてしまった。


 さらに巨大なオークと一騎打ちを開始している


「みんな! いつも通りに囲んでトロールとオーガを駆除して! ここは私達で大丈夫よ! 持ち場に戻って!」


 大きな声でクレアが周囲の者に声を掛けた


 トロールとオーガは盾を構えたフロンティア騎士団に囲まれていく。そして、少しずつ攻撃が加えられる。


 素晴らしい! 訓練通りだ!


 やっとクレアの所に到着したがクレアから持ち場に戻るようにと言われてしまった。


 ザッジ、ステラ達も驚きながら戻っていく。


 ルナも近くまで来ていたが戻っていった。


「ここはクレアの持ち場だ。本人がああ言っているんだから戻るしかないな……」


「そうだねー 心配だから癒しスライムを置いていくよ」


 ビッケは背負っていたリュックサックからファリスの癒しスライムを出してクレアの補佐するように指示した。


「ディスペルマジック!」


 せっかく来たんだからオークの強化を消しておく。


 クレアはオークと正対しながらも軽く頷いた。


 これでいいみたいだ。


 ただでさえオークの体力は凄い。そんなに簡単には倒せないのでどうしても戦いが長くなってしまう。あんなに巨大なオークなら恐ろしい程の体力があるだろう。


 クレアは1人でオークと戦う決意をした



 みんな持ち場に帰ってそれぞれの役割に戻る。遠くを見ると巨大なオークがクレアと戦っているのが見える。


 ビッケの部隊にもかなりの敵が来るようになった。当然だろう。第3部隊の隊長が一騎打ちをしているんだから。


 アルカディア軍のどこからでも巨大なオークの姿が見えるだろう。


 あそこでクレアが1人で戦っている……


 アルカディア軍の、いや、全軍の士気は最高の状態になっている。


 体の奥から勇気が湧き出てくる!


 敵は明らかに今までよりも強い


 だが


 それ以上に士気が高い!!


 誰も恐れていない!


 自分達はしっかりと積み重ねてきた


 クレアと同じように


 クレアは確かに豊かな才能があるのだろう


 でも1番のクレアの才能は努力を続ける事にあった。


『クレアの才能はゴブリン達と戦い始めた時からずっと開花している』


 苦手な事を克服する為に少しずつ努力を積み重ねた


『クレアはこの状況を想定してナイトタイプのオーク、レベル14を単独で倒せるまで訓練している』


 倒すのに半日掛かるが最高レベルのオークを1人で倒すまで努力をしているのだ。


 

 ビッケと一緒にオークの群れを駆除していく。全く危なげなく倒せる。しかし、もう夕方を過ぎている……


「ワァーーーー!」


 大きな歓声が第3部隊の方から聞こえてきた。


 巨大なオークの姿が見当たらない


 素晴らしい才能だ


 絶え間無く続けられる努力という才能


 『努力の天才だ』


 戦いに関わった全ての人達が大きな勇気をクレアから受け取った。


 どんな事でも乗り越えらる勇気を貰った


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