chapter 9 面白い遊び場
登場人物 紹介
ナック 錬金術師 のんびり生活が好きな青年
村外れの小高い山の上で1人暮らし
祖父から薬草作りと創薬の技術を学ぶ
釣りが得意
ザッジ 戦士 村の門番 正義感が強い 熱い男
ナックの幼馴染
ヒナ 狩人 エルフ双子姉妹の姉 村長の娘
活発で陽気な女性
オレンジのショートヘア
ナックの幼馴染
ルナ 狩人 エルフ双子姉妹の妹 村長の娘
落ち着いた女性
青白色のロングヘア
ナックの幼馴染
ビッケ 漁師 浜に近い森の中の小屋で1人暮らし
ナックの弟分 素潜り漁師
幼さの残る気楽な少年
カナデ 裁縫師 村1番の黒髪美人
風呂に入ると最高に気持ち良かった。変なニオイも慣れたら心地良くなっていたし、何より広いのがいい! お湯を出した時は気付かなかったけど少しヌルッとしていて白く濁った湯だった。
「みんなのジョブ鑑定をやったらどうなるかな?」
必死に頑張って戦士や狩人になったのに、よくわからないのに変わったら申し訳ない。
まあ、誰にも言わなければいいだけか?
そしてダンジョンだ!
錬金術師からダンジョンマスターになってしまったが、どこか共通点があるような気がした。
よし! 作ってみるか!
風呂から出て服を着ようと思ったが間抜けな事に気付く。
「むむ! 体を拭く布を持ってない……」
仕方ないので服で拭いてそれを着た。家に帰って着替えをした。必要な素材をもって、館へ行こうと外に出たらビッケが遊びに来たので館に一緒に行く事にした。
待てよ……
「ちょっと待っててくれ 忘れ物さ」
ビッケを連れて館に入って2階に行く。ビッケは館に入るのが初めてなので見て周りたいようだけど、ちょっと付き合ってもらう。
「ビッケ、昨日のジョブ鑑定で漁師と鑑定されただろ? それ違うジョブに変わったら嫌かい? それとこの前、漁師と鑑定された紙は持っているかい?」
「ジョブなんてなんでもいいよー 紙はナック兄の家の机の上に置きっぱなしだよ 何か試すの?」
使用済みの虹羊の羊皮紙をビッケに見せて説明した。
「もしビッケが未知のレアジョブと鑑定されても前に鑑定した紙を出せば誤魔化せるだろ?」
「ワルだよねー 面白そうだ やろやろ!」
「虹色羊の皮は一緒に戦った者にしか使わないからね」
虹羊の羊皮紙を作ってビッケのジョブ鑑定をする。
ビッケ マスターアサシン レベル 3
「んー なにこれ?」
「やばそうなのが出たな……暗殺者だ……」
「ふーん……わからないや」
他にも試したい事があるので羊皮紙をいっぱい作る事にし、ビッケが手伝ってくれた。とりあえず10枚作っておいた。羊皮はまだある。虹色羊の羊皮紙も5枚作っておく。こちらの皮もまだ少しあるけど必要な分だけにした。
「ありがとうな。ビッケ、後はひとりでやるから館を見てきていいけど、先にいい物があるんだ。一緒に1階へ行こう」
ビッケをお風呂に連れて行き、体を拭く布を渡した。
「まだ温かいと思うんだけど、どうだい?」
ビッケは楽しいそうに泳いでいる。
「うん! 熱いくらいだよ! 最高だね!!」
「2階にいるからな」
2階に戻って今度はダンジョン作りだ。
まずは虹色羊の血を使ってインクを作る。錬金術の本にあるインクの作り方を参照して、錬金術の道具を駆使して錬成した。王子の本は分かりやすくてインクは簡単にできた。この道具もいいのかも知れない。
ビッケが部屋に戻ってきた。とても気分が良さそうだ。
「なあ、ビッケ? 前にも聞いた事があるんだけど、ここで一緒に暮さないか? ここなら2人いても平気だぞ?」
「……ナック兄。確かにここは凄いけど、あそこがいいんだ。何かここに来たら余計にそう思うんだよ」
「そうか……そうだな。俺もここで暮らしたいとは思わないんだけど、もしビッケが一緒ならいいかなと思ったんだ」
「家族の顔も思い出せないけど、あそこにいると一緒に暮らしている気がするんだ。多分、ナック兄も同じだよね?」
「ああ、爺さんの薬草畑もあるしな。まあこの話は無しだ。
こんな事を聞いたのはもう一つ理由があるんだよ」
「なんだい?」
「ダンジョンだよ」
ビッケにダンジョンの説明を簡単にした。まず問題なのがダンジョンを「どこに」作るかだった。
ここでビッケが一緒に住むと言えば、館の1階のどこか。
一緒に住まないと言えば自分の家。
「ビッケ、ダンジョンを作りに帰るけど一緒にくるか?」
「もちろん行くよー 楽しそうだね」
ダンジョン作りの素材を持って、館を閉じた。風呂の栓は抜いておいた。家に着いたら早速取り掛かる。
まず、本を参照してダンジョンの設計図を書く。と言っても円形の部屋と通路を1本書くだけだ。最初はそれしかできないらしい。
虹色羊の血を使って作ったインクで虹色羊の羊皮紙に設計図を書き込む。キノコのような形だ。そして虹色羊から出た虹色の魔石を隠し場所から持って来る。
ダンジョンの入り口は家の中で家具が置いてない場所にした。そこに設計図の書かれた虹色羊の羊皮紙を置いて、その上に虹色の魔石を置く。
魔石の上に手をおいて床に押しつける
「準備ができた。成功したら魔石の横に階段ができる」
意識を集中して良い物を作るイメージをする……
あの満月の夜に作った薬のような 「最高の品質」を
「ダンジョン メイク!!」
魔石が物凄い虹色の光を発し、設計図が吸いこまれた。家の全体がガタガタ激しく揺れている。魔石を必死に抑え込んで魔力を注ぐ。さらに魔石が強烈な光を発したら、前が全く見えなくなって、「ドン」と衝撃音がした。
「成功だ! これがダンジョンだ」
部屋の中に地下へと続く階段ができていた。覗き込むと木の扉が見える。
「中はどうなってるの?」
「本によるとこの階段を下りたら扉があって、扉を開けると部屋があり、そこには1匹だけレベル1の羊がいるらしい」
剣を装備してビッケと一緒に階段を降りて扉を開けて開けてダンジョンの中に入る。
「あ……羊だ……」
「凄く弱いと書いてあったけど、危ない時は扉の外に出れば追ってこない。ダンジョンの外には出れないみたいだ」
そっと近づいて剣で斬りつけた。すると1撃で羊は倒れてしまった。 本当に弱い。
「……びっくりするほど弱いね。 解体しようか」
「いや。解体したら全て無駄になるらしい。しばらくすると死体が消えて魔石が2個出る。運が良ければ戦利品が出るみたいだ。戦利品なら持って出れるみたいだ」
「へぇー 普通は魔石1個だよね。凄いかもねー」
羊がスッと消えて地面に小さい豆粒くらいの丸い魔石が転がった。館にあったよりも大きな皮もある。
「ん? 5個もあるぞ? しかも羊皮は小さいと書いてあった。本と違うな」
「まあ。 いいんじゃない? 得したみたいだから。でもこれからどうすればいいの? もう羊倒しちゃったよ?」
「3日程過ぎるとまた羊が湧くと書いてあったけど……」
とりあえず部屋へ戻らないといけない。
「戻ってこの魔石を虹色魔石の横に置けば作業完了だ」
「何で魔石を置くのかな?」
「魔石1個につき1体の羊が湧くみたいだよ」
「ふーん……え? さっき5個出たよね!」
「ああ、これは凄いダンジョンができたのかもしれない」
部屋に戻って虹色魔石の横に小さな魔石を置く。
「これで稼働開始だ。ダンジョンの初期設定らしい」
羊皮紙を持ってきて魔石の鑑定をする。
ナックのダンジョン レベル 1 品質 上質以上
ん? 品質?
品質があるなんて本には書かれていない。
確かにどうせ作るなら最高の物をとイメージしたけど。
「どうも本と違う部分があって気になるな」
「ナック兄、面白そうだからここに遊びに来ていいかな?」
「敵も弱いし、いいよ。ただ危ないと思ったら逃げる事」
「うん! いい遊び場になりそう! ありがとう」
ダンジョンの入り口と虹色魔石をビッケに手伝ってもらって隠した。ここに来る人はほとんどいないけど領主になったし、誰か来るかもしれない。今日は仮で隠しておいて何か考えよう。
「ダンジョンの事は全部内緒だよ」
自分でも安心して読めるような内容にしてます