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chapter 88 覚悟

ご愛読ありがとうございます

「ナック様……大変申し上げにくいのですが、各騎士団から訓練を一緒にして欲しいと依頼が来ています」


 フロンティア村で診察と視察をして館に戻るとファリスが申し訳無さそうに話をしてきた。


「ん? 何でだろうな? 別に構わないんだけど」


「フロンティア騎士団が全員ナイトになったのがすぐに各村に伝わりました。次は自分達の所に来て欲しいと慌てて各騎士団から使者が出されました」


「は、早いな! 昨日の夜の話じゃないか……」


「毎朝、フロンティア村のパンが必ず各村に届きます。恐らくその時に一緒に伝わったのでしょう」


「そうか……訓練とジョブ鑑定、診察をセットにして日程を組み直せるかな?」


「可能ですが各騎士団に合流するのはアルカディア村にして下さい。あまりにナック様への負担が大きいです」


 情報とは恐ろしいな。でも戦力が上がるなら大歓迎だ。


「クレアがパラディンになった。セレスも聖女として立ち上がってくれたよ。杖を用意する約束をした」


「それは大収穫ですね! ナイトとパラディン用の魔法をフロンティア村に届けます。杖はあの木の杖でどうでしょうか? カナデさんはあまり好きでは無いようですし」


 カナデは豪華な杖を好んで使用している。魔力の制御が楽みたいだ。


「玉の杖もあるし、アルカディアの杖もあるから好きな物を選ばせてあげてくれ。もちろん新しく作ってもいい。彼女の力が必ず必要になる」


 装備で底上げできそうなのは服か……聖女にふさわしい服と言えば神官のような服かな? それとも神話に出てきそうな女神の着る様な服か?


「なぁファリス。武器はいいんだけど、君達の服は魔法使い専用の物にした方が良くないかい?」


「服ですか。もう凄い本を頂いたのでそこまでは……」


「いや。本と同じさ。魔法を使える人は少ないし、良い物を用意してくれないか。ほんの少しの事が勝敗を分けるかもしれない。後悔しないように準備は徹底的にしよう」


「分かりました。ジョブが変わる者が多そうですので装備の見直しを検討します」

 

「うん。頼むよ。装備はみんななるべく最高の物を。1人の命も失いたくない。ダンジョンも遠慮なく利用してくれ」


 節約して命を落としてしまったら後悔しきれない。


 命だ 命が大事なんだ


「みんなに生きて、幸せになって欲しい……」


「ナック様……」


 アルカディア国だけではなく、全ての人達に幸せになって欲しい。協力し合う事が出来ればいいのに。


 でも出来ないんだ……


 なぜだ? なぜ助け合えない?


 世界が滅んでしまうぞ……


「ナック様。無駄の多いやり方ですが計略があります」


「聞こう」


「ゴブリンの洞窟を村に置き換えて考えます。嘘の村を作って特殊部隊で倒していた様に敵を倒します」


「わざと襲わせて駆除するのか!」


「はい。本当の村ではないので直接の被害は出ません。しかし資材が減ります」


「火計を使えば木材は燃えてしまうな……」


 木は沢山あるが……


「石材や鉄材を多く使って木の使用を減らし、火計も使わない様にしましょう」


「では、どうやって敵を村の外に出すんだい?」


 陣形に向かって来てくれないと駆除出来ず、どんどん魔物の数が膨れ上がってしまう。


「村に入れる秘密の通路を作っておき、中に侵入してリーダー級を暗殺しましょう。ビッケを中心に特殊部隊を暗殺のプロにします。さらに構造的な弱点を村に組み込んでおいて、そこから一気に攻め込んで駆除してしまいます。ダンジョンが出来る前に駆除を終わらせます」


「凄い計略だな……だが、魔王を減らせないな」


「そうですね。敵の弱体が目的になります」


「2種類作るか……弱体用と魔王撲滅用だ。魔王の方は再利用出来なくてもいい。いや……3種類だな。本当の砦もだ。相手からは見分けれない様にして嘘か本当か分からなく出来たら最高だ。北の畑の様に」


「簡単に退却して明け渡す時もあれば、激しく抵抗して守り抜く時もある。敵には全く理解出来ない。こんな感じですね」


「ああ。常にこちらが主導権を握るんだ。相手が迷えば迷う程、こちらが有利になっていく」


 徐々に北上し、長城の門を目指したい。魔物を駆除すれば隣国とも話し合いがしやすい。


 一緒に長城を管理してくれれば……


 魔物の進出は抑えられる


 そして東へ駆除を拡大していけばいい


 村長が話を上手くまとめてくれればいいが、どうもあの人はズレている部分がある。


 王都を凍らせて戻って来ないだろうな……


 心配になってきたぞ


「ファリス、村長は大丈夫だろうか?」


「高潔なエルフの魔法使いですからね……正直言って考えが分かりません。時間の捉え方も合いませんし」


 やっぱり俺も行けば良かったかな……


「ウエストゲート村の診察を帰還予定日に合わせましょう」


「助かるよ。なんだかとても心配になってね」


「ルナさんが居ないからでは?」


 それもあるな……ルナがいるから王として頑張れる。


「ルナさんと婚姻なされば良いのでは?」


「……それは出来ない。世界を平和にするまでは……アルカディア国の皆への責任を果たさないといけない。ルナの為にも……」


 世界が平和になって 


 アルカディアが幸せになって


 そして 自分の幸せを


 自分は最後だ 


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