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chapter 8 気持ちいいよね

 登場人物 紹介


ナック  主人公 のんびり生活が好きな青年

         村外れの小高い山の上で1人暮らし

         祖父から薬草作りと創薬の技術を学ぶ


ザッジ  幼馴染 村の門番 正義感が強い 熱い男


ヒナ   幼馴染 エルフ双子姉妹の姉 村長の娘

         活発で陽気な女性

         オレンジのショートヘア


ルナ   幼馴染 エルフ双子姉妹の妹 村長の娘

         落ち着いた女性

         青白色のロングヘア


ビッケ  親友  浜に近い森の中の小屋で1人暮らし

         ナックの弟分 素潜り漁師

         幼さの残る気楽な少年



 



 

 王子から館の鍵を受け取った。王子御一行は王都に戻りながら村々でジョブ鑑定をするらしい。北に向かい、橋を渡って隣り村に行き、宿を取り、それから南西部に行く予定らしい。

 本当はここから真西の方に行きたいが、川に橋が架かっているのは北側だけなので迂回して行く事にしたそうだ。


「そういえば北の橋は立派な石橋だったな。王が架けたと自慢されていた」


 その橋なら何度か渡った事がある。あれは立派な橋だったのか。「基準」が無いから全く判断できない。今度、渡る時によく見てみよう。


「領主交代の発表はどうやるのでしょうか? ここにいた方がいいですか?」


「別にいなくていいさ。館の壁に掲示板があるから、そこに書類を貼っておく。それだけだ」


「そうですか……良かった。家に一旦戻ります」


「わかった。もう出発するぞ。次に合うには王都だな、館の戸締まり用に鍵がもう一つある。それは村長に渡しておく」


 急いで家に帰って本棚に向かう。羊ハンターに荒らされてたら大変だ。魔石を見てホッとする。解体の終わった羊も変わらずにあった。羊は見えない所に片付けて、魔石は床下に隠した。手に入れた剣を腰に装備してビッケの住む小屋へ向かった。


 ビッケはいつものように干物を作っていた。


「おはよう。ビッケ。ちょっと聞きたい事があるんだ」


「おはよー ナック兄。 何だい? 剣なんかつけて」


「羊を狙っている、知らない人を見なかったかい?」


「ん? 1ヶ月くらい前に森で知らない人を見たよ」


「そうか……その人は羊ハンターだ。乱暴な人もいるみたいだから注意してくれ」


「へー わかったよ、やっぱり怖い人だったんだね」


「いい人もいるかも知れないけど気をつけてくれ。それと例の羊の事は絶対に誰にも言うな。絶対にだ」


「誰にも言ってないよ。 食べちゃったしね」


 よし、これでビッケはいい。残りの3人も抑えておかないとな。急いで村に向かい、同じ話をした。ヒナとルナは母親に羊の事を相談するか迷っていたらしい。いずれ話すかも知れないが今は内緒にして欲しいと頼んだ。2人は了承した。


 王子御一行はもう出発していなかった。館の掲示板には貼り紙があった。



 領主交代のお知らせ 新領主 ナック 


               以上


 これだけかよ!!


 まあいい! 落ち着け……


 館の扉は閉ざされていた。中を見てみたいけど、昨晩、思いついた事を試してみたい気持ちが強い。まずは家に帰り、素材を袋に詰め込んで館に戻ってきた。

 鍵を開けて中に入り、扉を閉めて念のために中から鍵をかけておいた。

 館の中はとても広かった。部屋の扉を開けて全部の室内を確認していく。従者の宿泊場所のようだ。

 奥の方に調理場があった。見た事ない豪華な調理場だ。そこの水場に変な形をした銀色の金具があった。触って操作してみると急に綺麗な水が出てきた。


「うわっ!」


 しばらく眺めてみる。水の流れは止まらないようなので戻してみる。それを何度も繰り返した。


 どうなってるんだ?


 さらに奥の方へ行くと少し雰囲気の違う部屋があり、変なニオイがする。そこの部屋には大量の水が貯めれそうな場所があり、水が出てきそうな器具があったので操作してみた。

 しばらく何も起きなかったが、チョロチョロと変なニオイのするお湯が出てきて、次第にお湯の出る勢いが強くなったが小さい穴から下に流れ落ちている。周りを見ると栓があったので使って見るとピタリと嵌った。


「風呂ってやつか。デカすぎるぞ。何人用だこれ?」


 お湯が貯まるまでかなり時間が必要なようだ。お湯を触ってみるとかなり熱い。放置して他を見ることにした。


 館の1階を確認し終わり、2階へと登って行く。宿泊用の小部屋が2部屋ありその奥にかなり大きな部屋があった。

 

「ここは領主の部屋だな」


 その部屋は見るからに豪華で、今までの部屋と内装が全然違った。床には絨毯が引いてあった。

 錬金術の本に書いてあった道具がいっぱい机の上に乗っていた。部屋の隅に素材が積み上げて置いてあった。王子が用意してくれたのだろう。

 大きなベットが置いてあり、あまりに豪華なので思わず手で叩いてみたら、かなり弾力があった。

 窓を開けて外をみたら村全体が見渡せた。村人達が畑を耕しているのが見えた。


 

 全く違う生活をしている……



 腰につけていた剣を外し、道具の置かれていた机に行き、椅子に座った。机の上に紙が置いてあった。


 ここの物は全て自由にして良い


 羊皮は置いていくから羊皮紙を自分で作れ


 照明器具は魔術具なので魔石をセットして使用する


 困った事があったら村長に相談しろ


 10日後、必ず王都に出発してくれ


 

 魔術具? 部屋の中に確かに照明具があるがロウソクが置けそうな感じはしない。


 魔石で光るのか……

 

 村のルールでは、魔物から得た魔石は村長に渡す事になっていた。その魔石を持って1年に数回、村の代表者達が王都や近隣の村に行き、必要な物資を仕入れて村人に配っていた。申請すれば農具や武器等の金属製品、布製品は支給される。


 まずは羊皮紙を作ってみよう。アレを試そう。

 錬金術の本を開いて手順に従い作業を進めていくと簡単に作る事ができた。そしてもう一枚羊皮紙を作って、羊皮紙で羊皮紙を鑑定してみる。アイテム鑑定だ。

 机の上に2枚の羊皮紙を重ね置き、上の紙の端っこを指でつまみアイテム鑑定をしてみた。


 羊皮紙  品質  普通


 上手くいった。次からが本番だ。

袋から虹色羊の皮を取り出して羊皮紙にした。そして虹色羊の羊皮紙を使って自分のジョブ鑑定をしてみた。



 ナック ダンジョンマスター  レベル 3



「……大変な事になった……」


 

 おおい! 錬金術師 1日で終了かよ!


 やらかした気もするけど、他の事を思いついた。虹色羊の羊皮紙を普通の羊皮紙で鑑定してみた。


 虹羊の羊皮紙  品質  上質以上  使用済


 

「ほっ 鑑定はできたぞ」

 

 しかし、品質がいいのは間違いないが、しかも使用済か。

虹羊の羊皮紙で虹羊の羊皮紙を鑑定してみたいが、もったいないな。数に限りがあるからな。

 

「ふぅ とりあえずここまでにしとくか」


 片付けて窓を閉めた時、何かを忘れている気がした。


「あ! お湯出しっぱなしだ!」


 慌てて1階にいき風呂場に入ると真っ白な湯気と変なニオイが充満していた。何とか窓を開けて風呂を見るとお湯があふれ出ていた。お湯が出るのを止めて、貯まった湯に触れてみると相当熱い。


 「入ってみるかな……」


 服を脱いで湯に浸かる


 熱い! 熱いがこれは!


 「 最高かよ!!! 」


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― 新着の感想 ―
[良い点] はじめまして。 昔やっていたようなRPGを思い出して、あたたかい気持ちになりました。 こういうゲームやりたいな、と。 まだ読み始めたばかりなので、正直なところどのような方向に進むのか、あら…
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