chapter 12 夜明け
ご愛読ありがとうございます
登場人物 紹介
ナック 錬金術師 のんびり生活が好きな青年
村外れの小高い山の上で1人暮らし
祖父から薬草作りと創薬の技術を学ぶ
釣りが得意
ザッジ 戦士 村の門番 正義感が強い 熱い男
ナックの幼馴染
ヒナ 狩人 エルフ双子姉妹の姉 村長の娘
活発で陽気な女性
オレンジのショートヘア
ナックの幼馴染
ルナ 狩人 エルフ双子姉妹の妹 村長の娘
落ち着いた女性
青白色のロングヘア
ナックの幼馴染
ビッケ 漁師 浜近くの小屋で1人暮らし
ナックの弟分 素潜り漁師
幼さの残る気楽な少年
カナデ 裁縫師 村1番の黒髪美人
何にでも限界はある。カナデは助かったのだろうか?
なぜか自分のベットに横になっている。机で薬を作ったはずだ。村で薬を作るのが自分の仕事なのに肝心な時に薬が無かった。剣が欲しかったんだ……あの薬は交換すべきでは無かった。何個か作ってから余った時に交換しないといけなかった。自分の欲のために仕事を怠った。
お金があればな……石を金に変えればみんな幸せかな?
永遠の命を与える石があればな……薬もいらないな
世界は「死」であふれているのに遠いものに思ってしまう
なんでだろう? すぐに忘れてしまうのは?
何度もたくさんの命がなくなったじゃないか?
数えきれないほどの……
青白色の長い髪の毛が見える。いつ見ても綺麗だ。手を伸ばしてそっと撫でてみる。しっとりしてる様に見えたけど、思ったよりサラリとしていた。横に尖った長い耳にも触れて見たいな。銀色のシンプルな耳飾りがついている。控え目な感じが似合ってる。
泣いていたのかな? 顔がちょっと赤い。
「 ルナ 」
ベットの横に座って隣りで眠っている。まだ見ていたいけど喉が渇いたので起き上がってみる。体は何ともないけど、頭がふらつく。小川の水が飲みたいな。
外は真っ暗で星がたくさん見える。何も植わっていない薬草畑の横を歩いて小川までいく。山脈から流れてくる水は、いつも冷んやりしていて飲むと疲れが取れる。
「 ナック 」
ゆっくりと歩いてこっちに近づいてくる。
「カナデは助かったのかい?」
「うん……自分でしっかり歩いて帰ったよ」
「そうか、良かった」
少し喋ったら喉がまた渇いたので水を飲むと後ろからルナが抱きついてきた。
「私達がいけなかったの……」
カナデは何とか狩人になろうと努力していたが結局、裁縫師と鑑定された。みんなで狩りに行くとヒナとルナの矢は前より更に命中するのに、自分の矢は外れてしまう。
「ナックに再鑑定してもらえばいいから諦めないでって」
獲物を求めて遠くまで行って熊に出会ってしまったそうだ。急に襲われて怪我を負ったけど何とか逃げて、村の門でザッジに応急処置をしてもらってここに来たのだ。
「村長はどこに行ったんだろ? 村から出るなんて珍しい」
村長は治癒魔法が使える。村の医者でもあった。
羊ハンターの事を聞いて気になる事があるからと、村人を数人連れ、馬に乗って調査に行ったそうだ。カナデの怪我を知ったルナは村長を探しに行っていた。
空が少しだけ明るくなってきた。
朝が近いみたいだ。
空に一際、明るく輝く星があった。日の出の近い時間に見える変わった星だ。あの星を見ると何だか不思議な気持ちになる。真夜中の満天の星を見るのも好きだけど、あの星は何か別の星のように思える。前に進める気分になるんだ。
でも今はもう少し眠りたい。2人で家に戻った。
肉の焼ける香りがしてきた。目を覚ますとルナが料理をしていた。テーブルに行くと厚切りのステーキを皿に盛り付けて出してくれた。
「早く元気になってね。そうだ! お母様が動ける様になったら領主の館に来るようにって」
肉しか食材がないからな。有り難くいただくよ。
扉を開けてカナデが入ってきた。とても元気そうだ。大きな深皿を持っている。中には野菜のスープが入っていた。
「助けてくれてありがとう。お礼にもならないけど、何が喜びそうかビッケに聞いたらスープがいいって」
「ありがとう。お礼なんていいんだよ。無事で良かった」
温かいスープを食べると凄く美味しい。一気に全部食べてしまった。こういうのを食べたかったんだよね。
「幸せそうな顔で食べてるわね? そんなに美味しい?」
「あ……ああ、美味しいよ……」
ルナとカナデが対照的な顔をしてるんですけど……
違うんです!
肉がキツいんですよと心の中で言い訳しとく
ビッケーーー!!
「なあカナデ、裁縫師がそんなに嫌なのかい?」
「嫌じゃないよ。家でも針仕事は好きで良くやってるもの」
「王都に行く時に一緒にいかないか? 少しは気が楽だろ?」
裁縫師がどんな風に仕事をしているのか見るだけでもいい
「……行ってみる……ナックが一緒に行くなら……」
村長と会うために館へ行く。ルナとカナデと一緒に小道を降っていくと村では大変な騒ぎになっていた。人を襲った熊は危険だ。大勢の村人が狩りに出てて退治することになっていて、みんな出発の準備をしていた。
多くの人が中央広場に集まっていて声をかけてくる。
「ナックよくやってくれた。こっちは任せろ!」
皆が感謝の言葉をかけてくる。大きな変化があった。薬を作っている村人ナックはカナデの事を自分の畑を犠牲にしてまで救った。錬金術の使える素晴らしい領主と、村人の認識が変わっていた。
館に入って1階のジョブ鑑定をした部屋で村長と話す。
「ナック、ここで私の代わりに医者をやりなさい」
「薬は作れますが医者など無理ですよ」
「ルナをあなたに付けます。共にここで学びなさい」
いろいろ相談した結果、ルナと曜日を決めてやってみる事にした。昨日みたいに村長がいない時もあるのだ。自分には薬の知識があるし、できる事から始めればいいんだ。
「それと子供達の教育もここで行いなさい。それはヒナに担当してもらいます。任せるので相談して決めなさい」
今までは村長が全てやってきた。医者も教師も全部だ。
「領主はあなたです。しばらくは私も助けますが若者達が育ってきました。あなたが中心になってやってみなさい」
「……そうですね。王都から帰ったら始めてみます」
「王都にはザッジ、ヒナ、ルナ、カナデ、あなたの5人で行き、村に必要な物質を仕入れてきなさい。リストはできています。それから、私の秘蔵葡萄酒を王に渡して武器と交換してもらいなさい。手紙を渡せばやってくれるでしょう」
そう言って手紙を渡された。武器がいるのか、なぜ?
「外を見て周りましたが何かおかしい。羊ハンターの他にも何かある気がするのです。最近、違和感を感じているのです。何かわかるまで警戒せねばなりません」
村長と打ち合わせを済ませて家に帰ると中でビッケが待っていた。昨日の事をいろいろ話した後にダンジョンを行くことになった。
「羊はいると思うよー 魔石が全部ないんだよねー」
「全部だって? またおかしな事が……虹色魔石を鑑定してみよう」
ナックのダンジョン レベル 2 品質 上質以上
ダンジョンポイント 10
ダンジョン設計変更 可能
レベルが上がっているぞ……
1個1ポイントなら魔石を全部吸い取っているな……
部屋を追加してみるかな
ちょっと苦しみました
評価ありがとうございます
びっくりするほど読んでくれて感謝です




