表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/130

chapter 118 防衛

ご愛読ありがとうございます

 かなり統率が取れてきた。各自の役割分担がはっきりしてきて、手が空いた者は休憩を取れるようになった。


「落ち着いて戦えば大丈夫だ! 交代で休憩を取って食事をしてくれ!」


 朝からずっと戦い続けている。限界にきている者も多いはずだが、みんな歴戦の兵士だ。全く泣き事を言わずに戦ってくれている。


 問題は休憩を取った後に動けるかだな……


 緊張が切れてしまうと中々立ち直れない


「ナック、しばらく竜で攻撃するからみんなを休ませて」


「ルナ、いけるのかい?」


 竜は全力でアルカディアまで往復して、さらに攻城兵器を運搬してくれた。


「ええ、かなり休ませてもらったわ」


「よし、様子を見ながら休憩させるよ」


 ルナが竜に乗って飛びたった!


「ルナの竜が攻撃するぞ! 注意してくれ!」


 竜は飛びながら白いブレスを吐いて敵に攻撃を開始した。しばらく攻撃を重ねてから着地し、さらにブレスを吐いた。


 アンデットをなぎ倒していく


 城壁の前を移動しながらアンデットを寄せない様に攻撃してくれているので、壁を登ろうとする敵がほとんどいなくなった。


 いけそうだな


「今の内に休憩を取るんだ! 魔法使いは多めに下がってくれ!」


 ルナは北側に降りたので俺は南側に向かう。中央付近ではザッジ達が奮戦している。


「敵が登ってさえ来なければいいんだ! もっと下がれ!」


 まだまだ頑張ろうとする者が多い。真面目すぎる国民性はこういう時に困る。


「下で戦っている者の想いを無駄にするな! 元気になって戻ってくるんだ!」


 魔法を放ちながらみんなに声をかけ下がらせる。ルナがいる北側はかなりの人員が下がったみたいだ。建設部隊は全員下がっている。南側も様子を見ながらだが下がる者が増えてきた。


「1度も休憩していない者は必ず休憩するんだ!」


 しばらく戦っていると休憩をしてすぐに戻ってくる者も出てきた。短時間でも休憩出来れば大きい。


 北側はごく少数しか人が残っていない


 そうだ! それでいい!


 南側も時間を決めて交代しているようだ。


 城壁の上は問題無いな!


 問題は下で戦っているザッジ達だ……


 ずっと戦い続けている


 今は耐えるしかないか。みんなが休憩を終えて戻ってきたら退却させよう。


 ルナのいる北側を避けてアンデット軍は南側に集結してきた。


 やはり竜は強力だな


 敵がこちらに来てくれた方が対応が楽だ


「北も警戒だけは怠るな!」


 中央はザッジ達が奮戦している


 南に人員を集中出来るという事は休憩も長く取れるいう事だ。


「ナックさん! 水とパンを持って来ました」


「おお! 助かるよ! ありがとう」


 水分の補給は1番嬉しいな


 これは本当に助かる


「君! ザッジ達の分も下に準備してくれ!」


「了解しました!」


 しばらく待って退却の鐘を鳴らす。


 カン! カン! カン! カン! カン!


 ザッジ達が鐘の音を聞いて退却するのが見えた。そしてほんの短い間だが休憩してまた出撃してきた。


 ビッケがこちらを見て嬉しそうに手を振っている


 俺も手を振って返す


「ナックさん! 騎士団長達も交代で休憩するそうです」


 下をよく見るとミルズとアオイがいないようだ。


 全体をよく見て確認をする。崩れそうな所は無いな。


 いや…… 馬だ!


 馬が休んでいないぞ!


「馬を交換してくれ! この馬を休ませるんだ!」


 セレス隊の者がすぐに代わりの馬を連れてきてくれた。乗って移動するとかなり前の馬と動きが違う。


 危なかった……馬を潰してしまうところだった


「馬も休ませてくれ! 元気な馬を連れてくるんだ!」


 こちらにとっては持久戦だ


 アンデット軍は疲れなど無いのだろうな……


 これがアンデットの恐ろしいところだ


 ヤツらは疲れない 眠らない 


 他の生き物と全く違うんだ



 ド!ド!ド!ド!ド!


 西から馬の蹄の音が聞こえてきた


 来たか!!


「西から騎馬隊が接近! アストレーア軍です!!」


「よし! まずは休んでもらってくれ! 状況説明も頼む」


「了解です!」


 全力で援軍に来てくれたはずだ。こちらはまだ耐えているから落ち着いて合流してもらえばいい。


 西側に移動してアストレーア軍を見ると……


 先頭には白馬に跨がったアストレーアの姿がある!


 なんとアストレーア自ら援軍を率いて来てくれた!


 ステラが俺に気付いて手を振っている


 俺も手を振る! よくやってくれた!


「みんな! もうひと踏ん張りだ! アルカディア軍の意地を見せるぞ!」


「「おお!!」


 援軍が来たのはみんな分かっている。


 下を見るとクレアとミンシアが下がっている。


 いいぞ。アストレーアとの打ち合わせに最適だ。


 しかし……


 あまりに敵の数が多すぎる


 体力、魔力、矢弾には限界がある


 食料が無くなる事はないだろうが……


 何か打開策が必要だな


 膨大な数のアンデットで埋め尽くされた東側を見つめる


 とても俺には策が思いつかない


 地味だがしっかり耐える事だけ考えよう


 自分の出来る事をやるしかない!


 全体をよく見て、みんなを励まし、危ない所を援護する


 建設部隊が休憩を終えて戻ってきた。建設部隊のリーダー役に指示を伝える。


「敵は南側に集中しているから、攻撃は南に集中させよう」


「はい! すぐに兵器の向きを調整します」


「着弾地点を集中させる事は出来るかい?」


「出来ます! この兵器はとても精密ですから」


「よし! すぐやってくれ! 分散すると火が消えやすい」


 建設部隊が集合して話し合っている。


「局面を打開するにはみんなの力が必要だ! いいアイデアがあったら実行してくれ! 少しでも工夫して戦うんだ」


 建設部隊が農耕馬を連れてきて兵器の位置を移動し始めた。今までは城壁に均等間隔で設置していたが、3台並べて配置する事にしたみたいだ。


「ナックさん! これで少しですが人員を減らせそうです」


「いいぞ! 戦いながら改善していくんだ! 考えながら戦わないと無駄な力を消費するぞ! これは持久戦だ!」

 

 再び火球による攻撃が始まった。3つの火球が同じ場所に着弾している。着弾した場所は今までより大きな炎が上がっていて燃焼時間も長い。


 その様子をみんながじっくり観察している


 次の攻撃はほんの少し位置をずらした場所に行われた


 炎が燃え広がっていく


 しかも消えない! 炎がさらに大きくなっている!


 小さな工夫を積み重ねて戦う


 それがアルカディアの戦い方だ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ