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chapter 105 意識改革

ご愛読ありがとうございます

 全隊長が集まり重大な作戦会議が開かれている。


 ファリスが議事を進行していた。


「アストレーア軍の準備が整ったと知らせがありました。敵の最大拠点に総攻撃を行います」


 机上に地図が広げられ布陣が木の駒で示されている。今までと全く同じ布陣が….


「ファリス、俺の駒だけ外に置いてあるようだが?」


 負傷したジェロの穴を埋めないといけないはずだ。


「今回の戦いは今までとは違います。敵はかなり手強いと思われます。失礼ですがナック様の武力では足手まといになります。安全な後方の村に本陣を置きますので待機していて下さい」


「そうよナック。もう『王』の気まぐれで前線に出て来られても迷惑がかかるわ。大人しく見ていて」


 ルナからも後方に控えろと言われてしまった。この会議は各部隊の主要な者も参加している。皆、納得して口々にそうだそうだと賛成している。


 ザッジ騎士団長が皆を制した……


 ざわざわしていた場が静かになった。


「皆の言い分はわかるが『王』は剣聖ミルズを招聘して特訓をしているんだ。少しは剣技が上達したと聞いている。だが……今回は本陣に居てもらった方がいいだろう。護衛も沢山つけるからいいだろう?」


「ぐっ……護衛などいらない! 直属の配下だけで十分だ」


 ザッジはニヤリと馬鹿にした様に笑った。


「軍師ファリス、『王』が仰る通りでいいのか?」


「はい……本陣は戦地から離れてますので敵は来ないでしょう。この村は地図にも書かれていない村ですし……」


 アルカディア軍が建設した特製の村だ。地図に書かれているはずが無い。何もない所に建設したんだからな。


「では各自、作戦の準備を整えて移動を開始して下さい」


 直属の配下なんて本当は1人もいない。ミルズさんから指導を一緒に受けている各村の指導者候補達と偽の村に向けて移動を開始した。アオイとミルズさんは本当の本陣に待機してもらう。


「何だかひどい言われ様でしたね……演技と分かっていても言い返したくなりましたよ」


「ははは。実は俺も言い返しそうになったよ」


 敵の狙いは俺だ。ダンジョンマスターを倒せばアルカディアは崩壊するとでも思っているのだろう。

 エサはしっかりと撒いた。これまでの戦いで籠城しても負けるのは分かっているはずだ。必ず出撃して俺を狙ってくるだろう。


 村に到着すると本陣らしくいろんな物が設置されていた。近くで見れば偽物だと分かるが遠目で見たら本物にしか見えないな。


 予定通り、村でお気楽にお茶を飲んで待つ事にした。しばらくのんびりしているとスッと隣りにビッケが現れた。


「ナック兄、例の男が姿を消して敵の陣に戻ったよ」


「そうか。予定通りだな……ビッケはこれからどうするんだい?」


「ここで隠れて護衛をする様に言われているよ。ナック兄にはもう護衛なんていらないと思うけどファリスが駄目だって言うんだよ」


「ははは。軍師なら当然だよ。そうだビッケ。まだ時間があるだろうからちょっと訓練をやらないかい?」


「いいよー かなり鍛えているって聞いているよ。僕もミルズさんに訓練してもらうつもりなんだ。楽しみだなー」


 ビッケと2人で訓練するなんて久しぶりだ。お互いにいろんな戦いを経験してきた。


 ビッケと練習用の木剣を持って向き合った。


 相変わらずビッケの構えは自然な感じで隙が無い


 ビッケがとても強いという事がはっきりと感じられる


 お互いに手を出せずに睨み合いが続く……


「ナック兄、驚くほど鍛えたね。向き合うだけで分かるよ」


 ビッケもこちらの強さを感じている様だ


 ビッケがスッと前に出て仕掛けてきた


 流れる様に無駄の無い動きで突きを放ってきた


 それを剣で受け流し反撃を試みる


 ビッケはスッと交わして蹴りを繰り出してきた


 それを交わして剣で突きを返し、間合いを詰める


 剣が交わされた


 それは予測している さらに蹴り放つ


 ビッケは難なく蹴りを交わす……


 どれだけ攻撃してもどちらの攻撃も当たらない


「これくらいにしとこう。戦いの前に怪我をする訳にはいかないからな」


「そうだねー いい準備運動になったよ。今度はもうちょっと本気でやろうねー」


「ああ。次やる時はもっと鍛えているからな」


「えー 負けちゃうかもしれないなー」


 ビッケはとぼけているがまだまだビッケの方が強いのが分かった。ずっと鍛えているビッケに追いつくのは難しい。


 しかし、自分が変わってきているのも分かった。相手の攻撃に対して自然に反応して反撃まで出来る。心も体も乱れない。


 木剣を片付けて自分の剣をしっかりと装備する。


 アオイからこの剣を受け取った時、自分はこの剣を使うのに相応しくないと思った。だが今はこの剣を手にすると体の一部の様に感じる。


 日々の鍛錬が自信になって自分の苦手意識を消し去ってくれた。意識が変わっただけでも動きが良くなった。


 自分の戦いはこれからだ


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