神の慈悲
正直、転載をするまでに飽きられた方もいらしたと思います。そして、ここまで読んでいただいた方もおられると思います。そのどちらもこの投稿をお読みになってくださってありがとうございます。
瞳が開いた。外の景色は真っ暗だ。頭では何も考えていなかった。その残る感情だけを使い。右腕で両目を覆った。
「おぉ、起きましたか。」
聞こえるのは聞き覚えのない老人の声。
誰なんだと思い右腕をずらし声のする方を見てみる。
そこには、にっこりとこちらを見ている知らないお婆さんがいた。
右腕をずらし直した。
「えぇ⁉︎ちょっと、待って、待ってぇ。」
お婆さんが体をゆさってくる。やめて欲しい。
「ねぇ!起きてよ!せっかく生き返ったのよ?嬉しくないの?早くしてくれないと私、辞めさせられちゃうぅぅぅう‼︎」
老婆が泣いてせがんでくる。
(ん?今、なんか言った?)
「何って私辞めさせられちゃうってこと?」
(違うそのその前だよ。)
「あー、生き返るってやつね。あら?死んでる自覚無かった?」
いや、自覚も何も…ん?
よく考えると、ありえない会話をしている事に気がついた。
寝ている上半身を勢いよく上げ、老婆の方を見た。老婆は何故か顔を赤らめ、目を逸らした。ちなみに、そんなことは思っていない。
「ぼ、僕の考えてること分かるの?」
すると老婆は胸に手を当て、胸を張って答えた。
「そりゃあ、そうよ。だって私、、、」
息を吸い、胸を膨らませ、続ける。
「女神ですもの‼︎」
その発言にシーンと静まり返った。このリアクションに驚いたのか、老婆が額に汗を垂らした。
「あっれれ〜?おっかしぃぞ〜⁇もっとこう驚いたりとかは…ね?そう言ったリアクション取ってもらった方が見ている方も喜ばれると言うか何というか…。」
この人は何を言ってるのか。でも、正直驚いている。むしろ驚いてるからこそ何もリアクションが出来ないのだ。
「はぁ〜、まぁいいわ、こちらとしても早く切り上げなきゃいけないし、話を続けましょう。」
老婆は諦めたのかさっきのテンションは辞め、話を進める。
「ちょっと待って。」
「え〜、何かしら?」
老婆は期待しつつもとぼけたような顔で首を傾ける。
「何で、老婆なの?」
この質問は意外だったのか、頭からポカーンと聞こえそうな顔をしている。
「だって、僕の知ってる知識だと、女神は美しいものだって聞いてるから。」
なんと、純粋無垢な顔で女性を貶す田所。
「これが…醜いと?」
女神は片眉を下げ上目遣いで聞く。
「はい。」
その素直さが相手を傷付けていることを知らない田所は即答した。
「はぁ。前の奴はこれが好みだと言っていたのだけど、もう、人間の好みは理解できないわ。」(だ・け・ど、こいつが嫌われてた理由なら、よ〜く理解できたわ。)
女神様は肩を下ろし呆れ果てた。
「まぁいいわ、話を進めるわよ。辛い思いを経験し、自ら命を絶ったあなたに女神からの慈悲として、別の世界でもう一度生きていくことを許可する。」
急に真面目な顔で話した。
「私の力の半分をあなたに託した。その力であなたが本来得るはずであった幸福を掴むのです。」
眩い光が田所を囲った。
「それではお行き。」
光は増し、田所の姿を覆い消した。
光が段々消えていく。薄く見える地面は赤茶と赤の2色に分断されている。田所はその真ん中に座っている。そして光が完全に消えた。
次ぐらいでタイトル回収出来そうです。まだまだ根性がある方は是非、次話もお読みください。
そして、批評も忘れずに。