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ザ・王道的な奴

転移させるのにあと少しはかかりそうです。それでもどうか、お付き合いください。

 僕は田所高和。今日は転校初日目、親の都合で元の学校にはいられなくなったけど、新しい学校ではたくさん友達ができるといいな。


意味ありげに悲惨な映像が映る。


 そんな事を思っていると曲がり角からとパンを加えたキレイな少女が飛び出してきた。


「あ、」

田所が気づいたその時、


《バコバコバッコン、ズッコンバッコン》


「きゃっ」

「痛っ」

互いの体がぶつかり合い、2人はその場で転倒する。


少女は金髪のロングヘアーで頭に赤い飾りをつけている。


すぐさま立ち上がった少女が怒った顔でこちらを見て言う。

「もう、ちょっと。ちゃんと前を見て歩いてよね!

「パンを落としちゃったじゃないのよ。」

「もう…」


まだ立ち上がれていない田所は少女の発言に動揺している。


少女はこちらを気にも止めず続ける。

「あ、その制服。あんた、うちの学校ね。全く、うちの生徒ならもっとしゃんとしなさいよね。」

少女はこちらを指差し、呆れ顔である。


「あ!」

田所の腕時計をみた少女は何かを思い出した様に続ける。


「やっば〜い。遅刻しちゃう。」

そう言うと、少女は落ちてたパンを加え、慌てて去っていった。


(なんだったんだあの人は…)

地面に腰を付けたままの田所は少し驚いた様子で思った。


道を歩っても1人人っ子いない。どうやら登校時間は俺だけ遅いようだ。


校門の前、ここは  高校。今日から新しく暮らす学舎だ。


(どんな学校生活になるかなぁ。)

田所は胸が高鳴っていた。


昇降口にいくと先生が立っていた。メガネをかけてて薄毛が少し気になる。

 教室のすぐ横の部屋「進路指導室」に呼ばれた。そこでは  先生に色々と話をされた。でも正直、学校が楽しみすぎて全然話が耳に入って来なかった。そして最後に〔呼ばれたら来い。」と言われ、ドアの前で待つよう言われた。


ドアの向こうから声が聞こえる。転校生の噂を聞いてザワつく生徒。そして、それを沈める先生の声が。そして…


「入ってきて。」

その声と共に僕の心拍数が増えていった。

 ドアに右手をかけた。ひんやりとした金属製のドアノブが自分の汗と交わり合う。そのままドアを引くとそこには晴天が広がっていた。窓に映るその景色は、僕の心を宥めてくれた。


「それじゃあ自己紹介して。」

  先生がこちらを見て言う。


「はい。」

田所は元気よく答えた。


「あ、あのー、た、田所…高和と、言います。」

「親の都合で、ここへ転校することになりました。」

「好きなものは…えー、小説です。」

さっきの元気はどこへやら、下を向き左腕を掴み、目が泳いでいる。


「ああー‼︎今朝の⁉︎」

そこにはどこかで聞いたことのある声が聞こえた。


「君は⁉︎」

周囲の気恥ずかしさよりも彼女がいた驚きが先行し、大声を出す。


「こら吉岡、席につきなさい。」

先生の言葉に吉岡は不機嫌そうに席についた。


「そうだな。吉岡と会っていたなら、話しやすいだろ。あいつの隣の席に座って。」

そう言われ、不機嫌そうな彼女の隣の席についた。


「あんた、ここの転校生だったのね。」

吉岡が顔に手を当て、窓の方を向きながら聞いた。


「う、うん。」

田所は下を向いて答えた。


「そのー、何?朝の事は悪かったわ。遅刻しそうで焦ってたし。」

吉岡は少し照れながらも田所にそう言った。


「うん。」

田所は変わらず下を向いて答えた。


「吉岡、お前学校を案内してやれ。」

先生がそう提案すると吉岡は渋々引き受けた。


一階の廊下、田所と吉岡が肩を並べて歩っている。

彼女は一時限の授業を公欠し、校舎案内をしている。


「そのー、私の名前は吉岡把虎(よしおかぱとら)、あんたの名前は?」

吉岡が、廊下を歩きながら聞いた。


「田所高和…って、さっきも言ったよね?」

田所が少し笑いながらも答えると。


「うっさいわね。私は短期記憶は苦手な方なのよ。」

吉岡が恥ずかしそうに言った。


その後、長い沈黙が続いた。


「あ、あれだよね。把虎(ぱとら)って名前、結構珍しいよな。」

話題を作ろうと辿々しく口にすると。吉岡は眉を寄せると。


「そ…貴方も同じなのね。」

と、話を閉ざされた。


「ご、ごめん。そんな気にしてると思ってなくて。」

田所が彼女の気持ちに気づいたのかすぐさま謝った。


「いいのよ別に、もう慣れたものよ。」

彼女は明後日の方向を見て答えた。


「私のこの名前はね、うちのお父さんがつけてくれたの。」

把虎は突然、語り始めた。

「(お前は虎をもつかむ立派な女になるんだ。)」なんて誰もお願いしてないのにね。ふふっ、バッカみたい。」

どこか寂しげな笑顔で彼女は言った。

「この名前のせいでみんなからは珍獣扱い、誰も私を見てはくれなかった。小学校の先生なんて私を憐みの目で見てくる。それが一番、何よりも辛かった。」

彼女の手と声は震え出した。


田所は彼女の肩を寄た。


「君は立派じゃないか。」

田所は彼女の耳元で囁いた。


「私なんか、全然。こんな事、どうでもいいって分かってても未だに引きずってる。開き直れないのよ。こんなんじゃ。」

口に手を当て言った。


「いーや、立派だよ。」


田所が返すと吉岡は話を切るように言った。


「立派なんかじゃないわよ‼︎あんたに私の何がわかるって言うの。私のこの気持ちを…」

彼女は涙目で叫んだ。


すると田所は彼女を抱き寄せ言った。

「君は充分頑張ったよ。僕には君の苦しみは分からない。だけど、それを分かち合う事は出来る。…だから、これからの時間を君とらみんなでその傷を一緒に埋めていこう。」


すると彼女の目から涙が止めどなく流れた。


授業終わりのチャイムが鳴った。すると、把虎は少し前に出て振り返った。そして一言


「覚悟しなさいよ。一生かけても、あんたには頑張ってもらうんだから。」

さっきまで泣いてたせいか彼女のまぶたは赤くなっていた。そんな顔で彼女は満面の笑みを見せ去っていった。


教室に入ると、彼女の姿はなかった。少し微笑み自分の席に着き、次の時間の用意をした。そんな時、


「ねぇ。」

頭上から1人の男子の声が聞こえた。


「何かな?」

田所は顔を上げ答えた。


「今日の放課後、屋上前の廊下に来てよ。少し話があるんだ。」

そう言うと、周りのみんながざわつき始めた。


「うん。分かったよ。」

田所は少し困惑しながらも、首を縦に振った。


教室のドアが開いた。


「あー!」

開けたのは把虎だった。こちらを見て、指を指した。そして、彼女は駆け寄ると。


「あんた、なんのつもり?」

把虎が眉間にシワを寄せ、その男子に向いている。


「なんのつもりって、ただの転校生との交流だよ。」

男子は両手を上げ答えた。


すると把虎はこっちを見て。

「ダメよ。こんな奴と関わっちゃ。」

凄い形相でこちらを見てくる

その顔に圧倒され、「うん。」としか、答えられなかった。


すると、男子は呆れた声で。

「そーかい。それじゃ、また放課後で。」

そう言うと男子は去っていった。

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