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神の異端者  作者: 神道 仂
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呪いからの解放

初投稿です!

文章を書くのが初めてなので変なところが多々ありますが温かい目で見てもらえると嬉しいです。

頑張って投稿してくのでよろしくお願いします!

 そこは闇に染まっていった。

 先を見通すことも叶わぬほどであり、その空間で生命体が生きることができないことなど誰が見ても明らかであった。


 しかし、そんな場所でも生きれるものが一人いた。

 

 名を破壊神イルベリタという。


 彼女は破壊の秩序を司るものであり、それに見合う膨大な魔力を持っていた。

 この暗闇の空間も彼女の魔力によって造られた<終末の太陽>の内部であった。


<終末の太陽>は一定周期で空に昇り、この世に増えすぎた生命体を滅ぼし間引くものである。


 この世界で生きる生命体にとって、<終末の太陽>は恐怖の象徴であり、その恐怖を失くすために多くの者たちが<終末の太陽>を墜とそうと挑戦し、失敗に終わって死んでいった。


 そんな<終末の太陽>を造り出した彼女はいつも無表情である。

 どんなに壊しても、どんなに滅ぼしても、

 その表情は一切変わらなかった。


 それは何も思考をせず、感情を持たない人形を連想させるが、その考えは半分合っていて半分間違っている。


 全ての神族は<秩序を守る意思>という一種の呪いのようなものを受けている。


 誰によってかけられたのか分からないこの呪いは、秩序を第一とし、神族が自らの秩序を乱さぬように感情を封印するもので、彼女もまた<秩序を守る意思>を受けていた。


 そのため、彼女に感情はないが思考することはできた。

 しかし、感情ほどではないものの思考にも<秩序を守る意思>の影響を受けていた。


 彼女は思考する。


 「私はなんのために生まれたの?」


 それは秩序を守るため。


 「秩序を守るために私は生まれ、こんなにも生命を滅ぼさなければいけないの?」


 それがあなたの秩序。仕方が無いこと。


 「それでなんの罪のない生命を滅ぼしていい理由になるはずがない」


 それだけで十分理由になる。この世の生命は秩序によって生まれ、秩序によって滅びているのだから。


 「…………」


 心の中に響く誰の声かも分からない言葉に彼女は納得してしまう。


 それが私の秩序だから仕方がないと。

 それが私のやるべき事なのだと。


 彼女は手を強くにぎりしめて、自分に言い聞かせるようにそう思った。


 なぜ手を強くにぎりしめたのか彼女には理解できなかったが、神族以外のものが見たらそれは、悔しさを表しているものだと分かっただろう。


 彼女は思考をやめた。

 どれだけ思考しても、結果は全て同じであり無意味なことだと思ったのだろう。


 彼女は表情を変えず、己の秩序に従って<終末の太陽>を空にあげるべく準備を始めようとした。


その時


 彼女の前に光が現れた。

 彼女の魔力によって造られた、光すらも滅ぼす<終末の太陽>の内部で、である。


 その光は彼女の前で止まり、やがて彼女の体の中に吸い込まれるように消えていった。


 光によって照らされていた場所は次第に闇に染まっていったが、彼女の周りだけはまだそこに光があるかのように明るかった。


 彼女は光が消えると同時に、心に懐かしさを感じていた。

 それは不思議と安心するような温もりがあった。


 彼女は放棄した思考を呼び戻し、再び思考を始めた。


 この気持ちはなんだろう。


 この温かさはなんだろう。


 この懐かしさはなんだろう。


 しかし、いつも心に響く秩序という言葉を使って返事をしてくる声がない。


 「あれ……どうして……」


 彼女は気付いた。


 自分が涙を流していることを。


 自分の感情が戻ってきたことを。


 長年自分を縛ってきた呪いが消えたことを。


 どんな時でも無表情であった彼女の顔は、今や涙を流し、可愛らしい笑顔を見せている。


 そんな喜びを感じつつも、彼女の心にはこれまでに溜まっていた感情が津波のように押し寄せていた。


 その中でも特に強かったのは怒りであった。


 膨大な魔力を持つイルベリタにさえも効果を与えた<秩序を守る意思>は相当威力が強い呪いであり、神族の中でも魔力が低いものは、恐らく自我すら失っていると彼女は考えた。


 同胞である神族全てがこの呪いにかけられていると思うと今にも怒りが爆発しそうであった。


 すぐにでも、この<終末の太陽>から出て呪いをかけたものを殺したいが、彼女の秩序が<終末の太陽>から出ることを許さなかった。


  <終末の太陽>の内部は破壊神の唯一の居場所であり、地上に降り立てば、破壊神の力により世界が滅びかねない。


 彼女がここからでるのなら、破壊神をやめない限り外には出ることが出来ないのだ。


 彼女は自分の無力さを恨んだ。

 

 昔から何も救えなかった。


 救うべきものを救えず滅ぼしてきた。


 それこそ秩序なのだから仕方がないのだが、彼女にとってそんなことはどうでもよかった。


 彼女は救いたかった。この膨大な力を誰かのために使いたかった。


 しかし、彼女の力は滅びの力に変換される。


 その力は何かを救うことや誰かのために使うことなどできるはずもなかった。



 今もまた、同胞を救うこともできない。



 彼女は神に祈った。


 自分が神なのも忘れて。


 この力を誰かのために使いたい


 この力で救えるものを救いたい


 もし誰か私の願いをかなえてくれるのなら


 「世界を救えるようになりたい」


 (その思い、しかと受け取りましたよイルベリタ)


 突然彼女の頭の中に直接語り掛けてくる優しい声が聞こえた。


 「その声……?! あなたは……」


 すると彼女の目の前が真っ白に変わった。

 彼女はまぶしさに耐えられず目を瞑り、再び目を開けるとそこには一人の女性がいた。


 「お久しぶりですね、イル」


 美しい白い髪をなびかせて一人の女性、最高神ハエストはそう言った。

 

先ずは、この小説を見てくださりありがとうございます。

投稿頻度は不定期になると思いますができるだけ早く投稿できるように頑張ります。

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