学校
「今日から学校か......気が乗らないな.......」
そんな事を考えながら学校に向かう。とは言っても、家から学校までは距離があるから、バスで行くことになるのだが。
春の暖かな日差しの中を進むバスは、やがて町に入り、町中にある学校に着いた。その後、体育館で入学式があったが、前に読んだ漫画のように、なにか出会いがある分けでもなく、クラスの輪に溶け込めないまま学校が終わった。
「で、君は誰だ?朝からずっと付けてきてるみたいだけど。」
学校からの帰り道、バスを降りた所で、俺は後ろに向かって話しかける。
ビクッと驚くような気配。だが、そのまま動こうとはしない気配。そう、気配だ。実際は何処に隠れているか知らないが、今まで感じた事のないほど、はっきりと気配がする。
「朝家を出たときから、バスに乗っている間も、学校にいる間も近くにいただろ、警察に通報するぞ?」
そう言って脅しをかけてみる。これで相手が逆ギレして襲ってきたら困るが、相手は襲ってこない。不思議とそんな気がしてつい脅してしまった。
とくに反応が無かったので、そのまま歩きはじめる。相手み歩いてくる。すると、目の前になにかが落ちていた。
紫のヒヤシンス。なぜか一本だけ落ちていた。農家かなにかの人が落としたかとも思ったが、花言葉に「許してください」というのもあった事を思い出して、相手からの謝罪だと受け取っておいた。まあ、花言葉なんて殆ど知らないから、そういう使い方があっているかなんて知らないが。
「謝罪って受け取っても良いんだな?」
そう聞き返した時には、その気配は消えていた。
「なんなんだ、アイツは。」
考えても分からない物は分からない。
紅く染まった空の下、俺は家に向かって歩き始めた。