第2話 桜花爛漫
春陽のやわらかな日差しに、時々吹くそよ風。咲き乱れる桜の木々達は、退紅色の花びらを雪のように降り積もらせる。
「わー! 綺麗だねー!!」
声がした方へ振り返ってみるとそこには、黒漆の長い髪に見るからに清楚な顔立ちをしている、俺と同じ天王学園の制服を着用した女子がすらりと立っていた。
「君も天王に入学する子か?」
「そうだよ! あ、名乗りもせずにごめんねっ! 私は櫻木華。呼び方は華でいいよ。宜しくね! 君も新一年生だよね?」
「ああ、佐々木慧だ宜しく、俺も慧でいい」
「良かったー、友達できるか心配だったんだよね!」
華という彼女は可愛らしい笑顔でそう言った。
この笑顔を見せられて落ちない男はこの世には居ないと言っても過言ではないだろう。
「あ、私の異能力は水を操る能力だよ!」
異能力の学校ならではの自己紹介だな。普通の学校ならそんな自己紹介はしないだろうがそれは仕方ないか・・・・・・。
それにしても水を操る能力か、これまた珍しい能力だな。
「俺は雷を操る能力だ」
「そうなんだ! やっぱ凄いなぁ、天王に入る子の異能力は」
「そうだな」
「もし良かったら一緒に学校まで行かない?」
「別に構わないが・・・・・・」
本当は一人がよかったが・・・・・・
そもそもそんな誘い断れるわけがない。
断れる奴がいるなら、そいつは相当な捻くれ者だろう。
「やったっ!」
華は純粋に喜んでいる様子だった。
正門まであと五百メートル位しかないんだけどな・・・・・・。
そう思いつつも、彼女と学校に向かうことにした────